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「ボーダー・ライン」のサントラは、重低音の現代音楽として聴き応えあり。


久しぶりのサントラ記事です。骨太な復讐劇を描いた「ボーダー・ライン」の音楽を担当したのは、ポストクラシカルのミュージシャンとして、何枚ものリーダーアルバムを出しており、映画音楽でも「プリズナーズ」「悪童日記」「博士と彼女のセオリー」といった実績のあるヨハン・ヨハンソンです。彼のリーダーアルバムでは、抒情的な耳にやさしい音楽が多いのですが、麻薬戦争を扱った映画では、そういう甘さを一切封印した、重くてハードな音を作り出しています。

冒頭の曲は、ヒロインが護送車で誘拐犯のアジトへ向かうシーンで流れる曲で、低音の腹に響くようなパルス音にさらに低音ブラスのような音の咆哮がかぶさるというもので、タンジェリン・ドリームの「ザ・キープ」を低音強調したような音になっていまして、このオープニングが映画全体のカラーを決定していると言っても過言ではありません。

全編、シンセの音かと思っていたのですが、CDのライナーを見ると、編曲者としてヨハンソンとアンソニー・ウィーデンの名前がクレジットされ、さらに指揮者としてウィーデンの名前が挙がっています。オーケストラ部分はハンガリーのブダペストで録音されているようです。この注釈がなかったら全部シンセの音だと思ってしまうくらい、無機質的なドライな音になっています。パフォーマーとして、パーカッションやチェロのソロ、ボーカルといった面々もクレジットされており、シンセのアンビエント音楽の枠ではくくりきれないものがあり、オーケストラとシンセによる現代音楽というのが、正しい位置づけのようです。

第一印象は効果音みたいな音楽だなあって思ったのですが、現代音楽として聞き直してみると、そこに個性の強さが感じられ、シンプルなメロディの反復だけでない、エモーショナルな顔も確認できます。しかし、悲劇的な音を歌い上げていてもそこに抑制の効いた音の絞り込みがされており、基本的には、低音部を全面にだしたアンビエント風な音楽になっているように思います。その個性の強さは、エンニオ・モリコーネの「遊星からの物体X」を思わせるものがあります。モリコーネはストリングスの使い方でその個性を出していましたが、この「ボーダー・ライン」ではパーカッションによる低音の使い方が音楽に一本筋を通しています。

これだけ、重量感のある音楽を流すと映画本編の方がその音に振り回されてしまうことがあるのですが、この映画は本編も重厚で緊迫感あふれる演出で統一されているので、その重低音がさらにドラマを盛り立てるという、いい相互作用を作り出しています。



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サントラシングル盤の記憶

実家の静岡に帰ってきているのですが、戸棚の中から昔買ったサントラシングルが色々と出てきたので、忘れ去られてしまう前に書き留めておきたいと思います。以降、オヤジの昔語りになります。

最近の人には、まずレコード盤から説明しなくちゃならないのかもしれないけどそこはパス。最近は、サントラ盤がLPで復刻されたりし始めたので、直径30センチのレコード盤の存在は知られてきていると思います。同じレコード盤でも直径17センチのシングル盤はさすがに復刻されることなく、歴史の中で忘れ去られようとしています。今、お目にかかれるのは、中古レコード店の一角でくらいでしょうか。片面に1曲か2曲、演奏時間はせいぜい3分から5分しかなく、レコード盤の真ん中の穴がでかいので、ドーナツ盤と呼ばれていました。LPレコードが1分間に33回転(正確には、33と1/3回転なんでしたっけ)なのに対して、45回転で音楽を鳴らし、LP盤というのに対してEP盤と呼ばれていました。

私がサントラ盤を買い始めた頃、LP盤は1500円から2500円、シングル盤は500円が相場でした。曲数換算から言えば、シングル盤は割高になるのですが、学生の1か月の小遣いでは、しょっちゅうLP盤を買う余裕はなく、映画で聞いて欲しいと思った曲は、まずシングル盤でゲットすることから始めました。今のように無造作にAMAZONでCDを発注しちゃうのは、当時は考えられないくらい贅沢なことだったわけです。

また、当時は映画音楽というジャンルがあって、その中にサントラ盤がありました。ということは、サントラ盤じゃない映画音楽のシングル盤もあったわけで、スクリーンミュージックリフレクションとか本命盤と呼ばれるサントラとは別楽団の演奏によるシングル盤も結構レコード屋の店頭に出ていたのですよ。スタンリー・マックスフィールド・オーケストラとかミシェル・クレマン楽団とかあまり聞いたことのない名前の楽団が演奏していたのですが、これは日本のスタジオ・オーケストラがあちら風の名前をつけていたんじゃないかなあ。

また、シングル盤のサントラ盤にも2種類ありまして、シングル盤の他にLP盤も出ているものと、シングル盤しか出ていないものがありました。LP盤も出ているサントラ盤ですと、その後、CDアルバムとして再発されることもあるのですが、シングル盤のみのサントラ盤は、後で、CDアルバムが出る機会もないまま、それきりになることが多いように思います。そういう意味で私が持っているシングル盤の中では、ジェフ・ウェインの「黄金のランデブー」、カルロ・ルスティケリの「プレステージ」、バーブラ・ストライザンドの「アイズ」なんてのは、結構貴重盤だったりします。また、サントラ盤発売時はシングル盤しかリリースされなかったのですが、だいぶ時間がたってから、CDアルバムがリリースされたものがあります。ジョン・ウィリアムズの「ミッドウェイ」、ファビオ・フリッツィの「サンゲリア」、ジョルジュ・ドルリューの「真夜中の刑事」なんてのがあります。ですが、買ったシングル盤を見ると、LP盤が買えなくて、シングル盤で我慢したと思しきものがほとんどで、「ロッキー」「ロッキー2」「イルカの日」「白い家の少女」など、後でLP盤を買いなおしているのがほとんどです。

今聴きなおしてみて感じるのは、レコード針を盤面に置いて、3分くらいで終わりになってしまうのが、すごく気ぜわしい感じです。続けて聴こうとするなら、そのたびにレコードをかけ替えなくてはならないのがすごく億劫な感じ。CDだと一度かけたら1時間近く放っておけるのに比べたら、音楽を聴く作法が昔は違っていたんだなあってのが実感です。その分、その1曲に集中して聴いていたってことになります。アイドルの歌を1曲気入れて聴くってのなら、ともかく、サントラ盤の地味な曲をシングル盤で聴くってのは、オタクな趣味だったなあってしみじみしちゃいます。

「マッド・マックス 1&2」の音楽はもっと評価されていいような気が。



「マッド・マックス 怒りのオフロード」が公開されて、また注目されている、そのオリジナルと言われる「マッド・マックス」「マッド・マックス2」の音楽を担当したのは、「ジャンボ・墜落/サバイバー」「エルム街の悪夢/ザ・ファイナルナイトメア」などで知られるオーストラリアの作曲家ブライアン・メイです。クイーンのブライアン・メイとごっちゃな扱いをされちゃうことが多いのですが、確かに映画音楽家としてのブライアン・メイは知る人ぞ知るというランク(勿論、サントラファンの間では有名人)なので、有名人のブライアン・メイに間違えられてしまうのもやむなしというところがあります。でも、サントラ紹介のところでごっちゃにされるのは面白くないなあ。

1作目の日本公開時には、メインタイトルとエンドタイトルを串田アキラの歌う日本製の主題歌に置き換えて上映されました。これがなまじかっこよかったものですから、その年の「ロードショー」の映画音楽ベストテンに「マッド・マックス」がランキングされてしまいました。私も日本製の主題歌とは知らなかったので、輸入盤のサントラ盤を買ったとき、メインタイトルの音楽が違うと不思議に思ったものです。その後、テレビ放映時に流れたのがサントラ盤の曲だったので、差し替えていたのかと納得。

さて、第一作目の「マッド・マックス」の音は、オーケストラによる、衝撃音を中心にした活劇音楽になっています。映画の暴力性をそのままオーケストラで表現したような音作りで、アクションシーンでは、打楽器と金管楽器によるインパクトある音が連発します。その中に短いテーマモチーフを入れていたり、ファンファーレのようなフレーズを入れたりして、アルバムとしても、現代音楽として聞ける音楽に仕上がっています。インパクト主体の音であっても、きちんと音楽として成立させるあたりに、ブライアン・メイのうまさを感じます。サックスやストリングスによる、マックスの愛のテーマも入れているあたりが、映画音楽として王道の構成と言えるのではないかしら。

追跡シーンの音楽もオーケストラによるパワフルな音が続きます。映像はドライで暴力的なのですが、音楽でエモーショナルな部分を補っているとも言える音作りになっています。荒っぽい音楽のように聞こえるのですが、そのドライさとエモーショナルな部分のバランスが大変うまく、単なるアクションをサポートするだけの音になっていないところに聞きごたえがありました。それでも、近未来の荒廃した空気感を、音楽が見事に表現しており、単なるヒーロー映画ではない、シリアスなバイオレンス映画としてのドラマチックな音楽に仕上がっています。




これが二作目の「マッド・マックス2」になりますと、世界がさらに荒廃し、暴力がすべてを支配するようになります。そこで、ブライアン・メイは、一作目の研ぎ澄まられたバイオレンス音楽に、世紀末的なスケール感を加えることで、映画もろとも進化させることに成功しています。一作目では金管楽器を衝撃音をサポートするような扱いだったストリングスが数も厚くなり、メインタイトルはストリングスメインのドラマチックな音から始まります。これは、状況説明のモノクロ映像のバックに流れるもので、そのスケールの大きな音から、前作の地方都市と隣接する砂漠くらいの世界観を、一気に地球規模へ広げることに成功しています。一作目が近未来バイオレンスだったのが、ここからは、近未来SFの世界へ入っていくということを音楽で見事に表現しています。

カーチェイスシーンの音楽も、前作の原始的、暴力的なサウンドから、活劇調の濃い音楽になっており、映画としても音楽としても娯楽度がアップしています。前作のような愛のテーマはなくなり、パワフルなアクションを描写するのに力がそそがれています。打楽器や金管楽器は活躍するのですが、前作のような暴力的インパクトを表現する衝撃音は少なくなり、アクションを描写し、映像を盛り立てるために、使われています。

その結果、前作より、パワフルで厚みが出て、スケールの大きな音楽になっています。オーケストラの編成も大きくなっていまして、製作費の上昇が音楽にも反映されているように思います。これが、新作「マッドマックス 怒りのオフロード」になると、音楽の物量的スケールがさらにでかくなるのですが、音はすごいけど、音楽としての厚みは、前作にかなわないかなあ。

「スタートレック3」でジェームズ・ホーナー追悼。サントラ盤としては彼のベストではないかしら。


映画音楽作曲家として有名なジェームズ・ホーナーが亡くなったということで、彼のアルバムから「スタートレック3」をご紹介します。若くしてロジャー・コーマンの下で「宇宙の7人」「モンスター・パニック」などのオーケストラ音楽を提供し、そのすぐ後、30歳になる前に、メジャー大作「スタートレック2」や「クルール」「ブレインストーム」に抜擢され、天才少年という称号をもらったいわゆる才人。音楽家としての主張よりも、その映像に一番効果的な音をつける職人として、見事な腕前を持っていましたが、その一方、色々な作品(自作も含む)パクリの多い人というイメージも強かったです。映画の中で効果を上げることを最優先するが故に、サントラ盤にすると、すごく退屈な音楽になっちゃうものもありましたけど、その確かな職人芸で、色々な監督の映画に音楽を提供し、「タイタニック」でアカデミー作曲賞まで獲っちゃったのですから、確かな実力を持った人なのでしょう。

私はパクリと言われても、その原本を知らないことが多くて、あまり気にしないことが多かったのですが、彼の作品の中では「モンスター・パニック」「ゴーリキー・パーク」「この森で、天使はバスを降りた」「マイティ・ジョー」あたりがお気に入りです。静かなタッチの音楽でもいい感じの音を作る人なのですが、「タイタニック」「アバター」「トロイ」などの大作のイメージが強い人です。一方で、「薔薇の名前」「サンダー・ハート」のような実験的な音楽も書くだけにつかみどころがない印象もあるのですが、やはり、映画を支えるアンダースコアの職人というところに落ち着くのだと思います。映画の中で、マックスの力を出す音楽だけに、サントラ盤で聞き直すと、映画館ほどの感興が得られないものも結構あるのですが、映画音楽の持つべき機能に特化した音楽の作り手という意味では、最近の効果的だけど味気ない音楽の先駆けとも言えるのかもしれません。(うーん、褒めているんだか、けなしてるんだかわからないな、これでは)

「スタートレック3」は、シリーズの3作目です。1作目は、ジェリー・ゴールドスミスが映画用の「スタートレック」のテーマを書いているのですが、2作目を担当したホーナーは、ゴールドスミスのテーマを使わず、また新しいテーマ曲を書いて、シリーズに新たな空気を呼び込むことに成功しました。3作目は2作目のモチーフを使って、シリーズものらしい音作りをしているのですが、単に音楽の再編集版になっていないところがこの映画の買いどころです。まず、オーケストラ、特にストリングスが厚くなり、全体にまろやかで芳醇な音になっているところが見事でして、指揮者(ホーナー)も編曲者(クレイグ・マクリッチー)も同じなのに、演奏も音も明らかによくなっているのですよ。まあ、2作目は活劇音楽に徹底しているから、勇ましいとがったタッチの音になるのでしょうけど、ほぼ同じモチーフで、今回はもっと奥行のある音楽になっているところが面白いと思いました。何て言うのかな、大味なホーナーの音楽の中では、細やかな音作りがされているような気がします。

メインテーマ、クリンゴンのテーマともに、フルオーケストラを縦横に鳴らすもので、きちんとメロディがあって、それが聞き手をわくわくさせる期待感があるのですよ。単にテンションを上げるための効果音ではなく、音楽としてきちんと心に届いてくる音になっているのは、最近のアクション系映画の音楽とは一味違うものになっています。ですから、音楽だけ切り取って聞いても、聞きごたえがありますし、音楽から広がるイメージがあります。そういう音楽が少なくなっているように思うのは、私が単に古い人間で、古い映画音楽へのノスタルジーもあるのですが、それだけではない音楽の違いがあると思ってます。



「おみおくりの作法」のサントラは、音楽だけでも心の琴線に触れる音。


半端に甘い結末が今一つなじまなかった「おみおくりの作法」ですが、この映画の音楽を担当したのが、「サイダー・ハウス・ルール」や「ジャスティス」で泣かせるメロディを書いたレイチェル・ポートマンです。デビッド・ネルとロバート・ズィーグラーが指揮をしてロンドンで録音されています。

主人公の単調な日々を描写する音楽がやさしさと切なさを運んできます。スパニッシュギターやピアノの奏でるシンプルな旋律に、メインテーマがクラリネットやケルティック・ハープ、アコーディオンが主旋律を順番に取りながら音楽は展開していきます。これが温かいけど胸を打つメロディなのですよ。感動を盛り上げるというよりは、心の琴線に触れる音になっています。

この音は、主人公を描写しているのですが、もっと言うと、主人公の心の動きと、彼をとりまく運命の両方を描写していると思いました。そこから、生きることの切なさが伝わってくるあたりに、この音楽が映画の向いてる方向を見事に伝えていると思います。

サントラ盤は、映画の感動を再確認するという役割で聞かれることがメインでしょう。でも、この映画の音楽は、音楽それだけを聞いても、何か心に訴えるものがあります。映画を観ていない人が、この音楽を聞いても、きっと何かを感じることができると思います。それも、テーマ曲だけ聞くのではなく、アルバム全体を聞いてみることをお勧めします。テーマ曲を聞いてみて、あ、これちょっといいかもと思われた方には、アルバムの購入をオススメしちゃいます。私も映画を観た直後に聞いたときは、ああ、あのシーンの曲だと思いながら聞いていたのですが、何度も聞き返すうちに、このアルバムの持つ音楽の力に魅了されました。(と、AMAZONのページを紹介しようとしたのですが、プレミア価格になっちゃってました。どこかで相応なお値段で発見できたら是非。)


「妻への家路」のサントラ盤はヒーリングミュージックとしてオススメ。


しっとり感動できる映画「妻への家路」の音楽を担当したのは、中国の作曲家チェン・チーガンです。中国フィルハーモニック・オーケストラをツァン・イーが指揮し、ピアノソロをリーダーアルバムも出しているラン・ランが担当しました。映画の冒頭は、愛国バレエの練習シーンから始まり、オリジナル曲は静かなシーンから徐々に流れ始め、後半になってフルオーケストラの音楽が鳴るという構成になっています。(かなり大雑把な説明ですけど)

テーマモティーフは大きく分けると2つありまして、ピアノソロによる「Coming Home」が映画の中では一番初めに印象に残る曲として流れます。主人公を描写するやさしい曲調で、耳に暖かな印象が残る一品となっています。もう一つのテーマは「My Beloved,In My Heart」というドラマ全体を支えるテーマ曲。こちらは女性コーラスにピアノ、さらにストリングスで演奏されたバリエーションが5曲アルバムに入っています。さらにもう一つのサブテーマとして登場する「So Near,Yet So Far Away To」もドラマを支える曲になっています。

映画の中で、音楽はそれほど大きな比重は占めておらず、地味に物語を支えるというポジションになっていまして、感情をストレートに表現するものではなく、その情景をやさしく描写する音楽に徹しています。美しいメロディではあるのですが、音楽としてアルバムを聞くと、集中できなくて、つい他のことに目が行ってしまうというのが、不思議な感じでした。音楽は美しいのですが、どこか軽さがあるようで、聞き込むよりは、BGMとして流しておくといい感じという曲が多いように思います。本屋とかマッサージ店のBGMとしていい感じのヒーリングミュージックという感じでしょうか。

ドラマとしてはヘビーな設定でありながら、ドラマチックな展開は冒頭のみの映画で、音楽の果たす役割は、ヘビーさや悲劇性を和らげるのに使われているようで、そのため、音楽として自己主張するところが少ないのが、このサントラ盤の特徴だと思いました。ですから、アルバムを聞いていると眠くなっちゃうところがありまして、就寝前に流す音楽として最適かもしれません。こんな風に書くと、作り手側はそんなつもりで作ったんじゃないと怒られちゃいそうですが、私は、安眠ヒーリングミュージックとしてこのアルバム、オススメしちゃいます。

「おやすみなさいを言いたくて」のサントラ盤は映画と同じく美しいテーマと怖い音楽が共存しています。


ホームドラマがメインのようで、サブプロットがずしんと重い「おやすみなさいを言いたくて」の音楽を担当したのは、「約束の旅路」「オーケストラ」などで知られるアルマンド・アマールです。「約束の旅路」ではドラマチックな音を鳴らして印象的だったのですが、今回は、メインとなるテーマは、家族を舞台にしているせいか、小編成によるおだやかなタッチの音にまとまっています。小編成のストリングスとピアノによって、シンプルなフレーズを繰り返していくもので、叙情的というにはどこかクールな印象もあって、ドラマと若干距離を置いたテーマになっています。

家族を描写する音楽では、ピアノをメインにバックをストリングスが支える曲が多く、家族の和気藹々というよりは、ヒロインの孤独感を感じさせる音が多いです。一方で、中東の難民キャンプや自爆テロのシーンに流れるサスペンスタッチの音楽では、シンセとパーカッションを使った不安な音を聞かせて、緊張感を高めていくスリリングな音作りがされていまして、ストリングスの使い方とかエンニオ・モリコーネを思い出させます。

中東の紛争地域を舞台にしているだけあって、中東風の打楽器やハミングを使った音も聞かれますが、そういった描写音楽にはほとんどメロディラインのない、アンビエント風の音になっています。その分、テーマ曲のメロディが際立つわけですが、実はテーマのメロディよりも、アンビエント風というか現代音楽風の曲がドラマをきっちりサポートしています。テーマがドラマから距離を置いて鳴る一方で、効果音に近い音楽がドラマに寄り添って、観客の感情を揺さぶってくるのです。最近の映画は、その効果音に近い音楽ばかりでテーマ曲のメロディ(メインとなるモチーフ)を持たない映画が多いので、こういうテーマ曲を明確に持った映画は珍しいと言えるかもしれません。

このサントラCDは日本盤でして、こういう地味な公開の映画のサントラ盤を出すのは珍しいことです。サントラの終わりには、エンドクレジットで流れる、アーネ・ブルンによる「デアリング・トゥ・ラブ」が収録されていて、これは日本盤だけのボーナス・トラックだそうです。ラストで、残酷な現実に打ちのめされるヒロインと観客の心を癒す曲として、美しいメロディを聴かせてくれています。

「ドラフト・デイ」のサントラは映画のわくわく感とカタルシスを与えるのに貢献しています。


久々の痛快娯楽編「ドラフト・デイ」の音楽を担当したのは、活劇からラブコメ、ホラーもこなす、映画音楽のテリトリーが大変広いジョン・デブニーです。そのどれもが皆水準以上の出来栄えという安打率の高い人。今回はアメフトのドラフト会議の日を舞台にし、メインテーマとなる曲はスポーツ番組のタイトルのようなわくわくするタッチのオーケストラ曲で、期待感を高めて盛り上げてくれます。一方、人間ドラマの方に入るとシンセとストリングスを主体にしたアンダースコアで、ちょっとラブコメ風の音をつけています。それでも、要所要所の厚めのストリングスで余韻を残すあたりの職人芸が見事です。

映画では、色々なチームに話が飛ぶたびにそこの本拠地の空撮が入るのですが、そのバックに太いオーケストラで盛り上がる音をつけていて、これが映画のわくわく感につながり、次の展開への期待が高まるのですよ。パーカッションを前面に出しつつ、ホーンとストリングスによるダイナミックな音が聞き応え十分。ただ、サントラ盤でも映画の尺しか流れないので、一曲長めのをCDには入れてほしかったわあ。

一方でコミカルな部分は、エレキギターのリフやピアノでちょこまかとした音をつけ、スケールの大きな音のメリハリも十分で、ドラマの緩急を音楽が見事にサポートしています。全体的に大らかなドラマを弾ませる音をつけておりまして、デブニーの音楽が映画の娯楽性に大きく貢献していると言えましょう。

作曲と指揮をデブニー自身が担当しているのですが、スコアをオーケストラ・マセドニア・ミュージック・エンタテイメントが製作しているとCDのライナーには書かれています。これが、どういう団体なのか気になるのですが、検索してもうまくヒットしませんでした。オーケストラを指すのか、それとも、楽譜を持ち込めば、オケを編成して録音までしてくれる会社なのかが不明なのですが、音としてはCDで聞いても、映画館の音に負けない迫力のあるものでした。


「リスボンに誘われて」のサントラ盤は、今年の映画音楽のベスト(だと思ってます)


今年の映画の中でもかなり点数の高い映画「リスボンに誘われて」の音楽を担当したのは、ドイツのアンネッテ・フォックスです。彼女は「4分間のピアニスト」などの作品があり、今回は、作曲、編曲、指揮を担当しています。

最近の映画音楽は、音楽というよりは、映画の効果音のような扱われ方をする傾向があります。いわゆるマンガの擬態語に近いと言えばいいのでしょうか、マンガで感情や行動の勢いを表す「ガーン」とか「ドドドド」、怖さの「ゾゾゾッ」あるいは静けさの「しーん」なんていう表現を音楽が担っている感じなのですよ。そのせいか、映画音楽もメロディを明快に鳴らすものよりは、アンビエント系サウンドのものが増えてきていますし、オーケストラを使っても、ストリングスも金管もまとめてパーカッションのようにドコドコ鳴らしてテンションを上げるものが目立ってきてます。この21世紀に入ってからの傾向で、サントラ盤も何だか全曲聴くのもしんどい感じのものが多くて、昔からの映画音楽ファンとしては物足りないものを感じていました。

そこで、この「リスボンに誘われて」なのですが、音楽のつけ方としては、ガンガン鳴らすタイプではないのですが、明確なテーマモチーフを持っていて、各々の曲で、そのバリエーションが聴けるという、私のようなオヤジが言うところの映画音楽の王道なのです。2つのテーマがありまして、それが時には静かに、要所で歌い上げるかたちで、ドラマに寄り添っていまして、心にしみる音楽になっています。最近の映画音楽はメロディラインが不明確だったり、盛り上げ方も血湧き肉踊るパターンばかりがメインになっていたので、この映画のサントラ盤を聞いたときは大変うれしい気分になりました。

オープニングは、自宅にいる主人公の絵から始まって、そこにタイトルがかぶさるのですが、そのバックにテーマモチーフの一つが流れます。ピアノの爪弾きから、バックに薄いストリングスが流れ、ピアノのソロがテーマを奏でます。そのピアノをチェロが引き継いでテーマを演奏すると、ピアノがその伴奏に回り、そしてまたピアノがテーマを奏でるという構成なんですが、音楽がドラマへの予感を語るという意味で見事なのですよ。基本的に一つ目のテーマモチーフは現代の主人公に関わる部分で何回も演奏されます。

回想シーンは、1970年代の弾圧政治時代で、こちらのテーマモチーフはもっとドラマチックなうねりを持った美しいメロディで、これが何回もアレンジされて登場します。ストリングスで朗々と流されるシーンもあれば、ピアノソロからバイオリンソロへ引き継がれる静かな曲もあります。インパクトのあるドラマチックなオーケストラ曲も登場するのですが、要所要所をきちんとテーマモチーフのバリエーションで押さえているので、ドラマとしての統一感が生まれています。

このように書くと音楽が前に出過ぎた映画のように思われそうですが、決して音楽がドラマを過剰に盛り上げたりはせず、静かにドラマを支えているという印象でした。今年観た映画の中では、音楽の使われ方、そしてきちんとメロディを持ったテーマモチーフからの展開による音作りなど、映画音楽としては一番印象に残るものでした。映画を観ているときはドラマに引き込まれて、あまり気にも留めなかった音楽ではあるのですが、サントラ盤で聴きなおすとその見事さを再確認できました。

「少女は自転車にのって」のサントラは、映像に陰影を与え、作り手の伝えたいメッセージをサポートしています。


サウジアラビアの少女のドラマ「少女は自転車にのって」の音楽を手がけたのは、ポストクラシカルというジャンルで活躍しているマックス・リヒターというドイツの人。「サラの鍵」のサントラでも美しいメロディを聴かせてくれました。ポストクラシカルというのは、ピアノやストリングスを多用してクラシック音楽の響きを持ちながら、エレクトロニクスを導入するなど新たな試みを取り入れた音楽を指すのだそうです。一時期、流行ったニューエイジからヒーリング音楽への流れが、耳への心地よさに寄り過ぎたので、一度クラシックへ戻して、そこから敷居の低い音へ向かう流れの一つのように思われます。リヒターのリーダーアルバムも何枚か持っているのですが、シンプルな旋律の反復や、静かな盛り上がりなど、宗教音楽のように聴こえる部分もあり、夜に聴く音楽として心地よいものになっています。同じくこのジャンルで有名なヨハン・ヨハンソンという人もサントラを何枚か手がけており、この先、このジャンルのアーティストが担当するサントラがたくさん出て来そうな予感があります。(もう、出てきているのかな。)最近のテーマモチーフを重視しない映画音楽の傾向からしても、静かに画面を支えるにふさわしいポストクラシカルの映画音楽へのニーズは高くなってきているようい思います。

この音楽は既成曲も3曲入ってはいるものの、後はリヒターのオリジナルによるもので、中近東風のパーカッションを入れた曲もあるものの、トータルな印象は、現代音楽とアンビエントの中間を行くサウンドになっていまして、これがポストクラシカルだといわれると何となく納得しちゃうものがあります。それは、映像とシンクロして映画を支えるというよりは、映像に陰影を与える音楽として機能していまして、淡々と進むドラマにある種の情感のうねりを呼び起こすような使われ方をしています。10歳の女の子の日常を描いたドラマに大人の目線を加えるという感じでしょうか。監督が大人の視点で付け加えたいメッセージ的なものを音楽が代弁しているという印象を持ちました。

チェロなどの生楽器とシンセサイザーを併用した音づくりは、日常的なドラマから、ぐっと引いた視線で映像を彩っていまして、この音楽があるせいで、社会派映画としての顔が浮き彫りになっているように思いました。特に、ラストで自転車を走らせるヒロインのバックに流れるやさしく力強い曲は、シンプルな構成な中に開放感を感じさせるもので、この映画の伝えたいことを音楽がかなりの部分で語っているように思います。

「兜 KABUTO」のサントラは、英国製の海洋活劇音楽です。すごく聴ける音楽で、大好き


また、最近の映画音楽へのグチになってしまうのですが、映画が音楽を立てるように鳴らしてくれないせいか、音楽自身も主張の薄い音になっていて、その分、また扱いが悪くなるって負のスパイラルになっているような気がしています。まあ、私が古いタイプの映画音楽に鳴らされてるからかもしれません。そこで、そういう古いタイプの映画音楽のご紹介です。映画のタイトルは「兜 KABUTO」というもので、1980年代後半のニンジャ映画ブームの余波で、その主演俳優ショー・コスギが主演した海洋冒険活劇の一編です。家康の部下のショー・コスギが鉄砲を買い付けるためにヨーロッパに渡ってイスパニアの悪宰相や海賊と戦うというもの。オッサンのコスギに若いお姫様が胸ときめかしちゃうという、ちょっと気恥ずかしい映画でもあるのですが、「将軍」みたいな似非文化比較映画じゃなくて、娯楽に徹しているのが買いの映画です。監督のゴードン・ヘスラーと音楽のジョン・スコットはイギリスの人で、三船敏郎とか高田美和も顔を見せていますが、大作風の構えのB級アクションという感じでしょうか。

ところがこの音楽が素晴らしいのですよ。ジョン・スコットというのは日本では、「聖母たちのララバイ」にメロディを盗作された人というのが一番有名でしょうか。その盗作された「ファイナル・カウントダウン」ですとか「キングコング2」など、作品そのものより数段上のスコアを提供する人としても知られています。この映画でも、海洋冒険活劇にふさわしい勇壮なメインテーマがまず映画を2ランクくらいアップさせています。日本人が主人公でも、琴や尺八なんかつかわない真正面からのオーケストレーションがかっこいい。旋律の中に東洋風な味わいをつけてはいますが、それはあくまで風味づけ程度で、基本はオーケストラによるスケールの大きな活劇音楽になっています。音楽としてきっちりと聴ける理由の一つは、個々の楽器がきちんと音楽のパートとして主張してくること。最近の映画音楽は、編曲のせいかミキシングのせいかはわかりませんが、オーケストラを一つのシンセサイザーのような固まりとして聴かせようというところがあります。今の方がデジタル録音で音質は向上しているのに、音楽に関しては音域が狭くなっているような気さえしてきます。この映画のサントラは、まるでライブ録音の交響曲を聴いているような趣があり、その懐の深い音が優雅に活劇を彩っているのです。この記事の下につけましたリンク先でもその片鱗を確認できると思います。

1曲目の「メインタイトル」は、ホーンセクションによる勇壮なファンファーレから始まり、そこから低音弦をバックにテーマが流れて、一気にフルオーケストラによるテーマへ盛り上がるという冒険映画らしい曲です。そこからは、活劇シーンの曲とドラマシーンの曲が続きます。テーマとしてはメインテーマに加えて主人公のテーマ、そしてラブテーマとも呼ぶべきしっとりしたテーマの3つがシーンごとに散りばめられていまして、どの曲もみっちりと鳴っているので、どの曲を聴いても退屈することがありません。ホーンセクションもストリングスも個々のパートが粒立つようにアレンジされていますので、素人の私でも、この曲にどういう楽器がどう配置されているのかが伝わってくるのですよ。オーケストラ音楽の入門編としても楽しいアルバムになっています。

こういう冒険活劇音楽の教科書と言われているものに、バーナード・ハーマンの「シンドバッド 7回目の航海」が有名ですが、それに勝るとも劣らない出来栄えだと思います。ただ、映画がマイナーなもので、音楽も埋もれてしまうというのは残念な気がします。これ、どこかのレーベルで再発売してくれないかしら。(もしかしたら既にされているのか?)




「鑑定士 顔のない依頼人」のサントラは音楽がドラマを雄弁に語っていて聴き応えあります。


最近の映画の中では、音楽の扱いが格段によかったのが、「鑑定士 顔のない依頼人」でした。「記憶の鍵」のジュゼッペ・トルナトーレ監督のミステリーですが、音楽は、彼の映画の音楽はほとんど手がけているマエストロ、エンニオ・モリコーネです。モリコーネが作曲、編曲、指揮全てを行っています。演奏がローマ・シンフォニィエッタ・オーケストラとチェコ・ナショナル・シンフォニー・オーケストラとクレジットされています。録音もローマとプラハの両方で行われたとありますから、曲によって別々に録音しているようです。ボーカルには、おなじみのエッダ・デル・オルソの他、アンナ・デ・マルティーニ、ロベルタ・フリージ、パオラ・ロンチェッティ、ラファエラ・シンスカルキが参加しています。

ストリングスが厚い音が映画全体に流れる音作りになっていまして、きちんとシーンに沿った要所要所できちんと音楽を鳴らす映画であるだけに、モリコーネの音楽が映えるようになっています。最近のハリウッド映画に多い、画面を伴奏することに徹した音楽とは一線を画す、主張する音になっています。しかし、映画は、主演のジェフリー・ラッシュとこの音楽によって、単なるミステリーより数ランクアップしていますから、音楽の力は映画をいい方向に引っ張っていると申せますし、音楽そのものを切り出しても聴き応えのあるものになっています。音楽が主人公の情念の部分にも踏み込んでくるところが圧巻と申せましょう。メインとなるテーマは、それほどインパクトの強いメロディではなく、いつものモリコーネ節ということができるのしょうけど、アルバムとしても、その世界観を堪能することができます。

1曲目の「La migliore offerta」は、メインテーマともいうべきもので、モリコーネの定番である流れるような中低音のストリングスが静かにテーマを重ねていきます。そして、2曲目の「Volti e fantasmi」が主人公が女性の肖像画に囲まれるシーンで流れる印象的なスコア。複数の女性ボーカルが重なるように絡み合い、この場面が映画の中で最も印象に残り、またこの曲が最も印象に残りました。映画ではサラウンドを使って音に包まれる感じになったのですが、2チャンネルステレオではそこまでの効果はなくて残念。この曲はアルバムの最後に別のテイクで収録されています。重なり合う女性ボーカルの中からメインのメロディが浮き上がってくるあたりの見事さは、まさにマエストロの至芸と言うべきものではないかしら。以降、ミステリーを描写するストリングス中心のスコアが続きますが、ミステリーのテーマというべき曲が、8曲目の「Alla villa」で聞こえてきます。うねるようなストリングスとボーカルが主人公の情感のゆらぎを陰から表現しているところが見事で、映像との相乗作用が聴きモノではあるのですが、これ単体のアルバムとしてもまたイメージが広がるかもです。

モリコーネの音楽を全て聴いたことはないのですが、私が知っている中では、アメリカ映画に好きなものが多くて、そのベストは「遊星からの物体X」になります。ただ、これは多くの方へのオススメ度が微妙なので、オススメできる作品としては「天国の日々」「カジュアリティーズ」「死刑台のメロディ」などを挙げます。


あえてサントラアルバムで聴く事をオススメする映画

映画音楽のサントラ盤というのは、映画の感動を追体験するといった意味合いで作られるものがあります。昔はセリフ入りサントラ盤というのが結構ありまして、有名どころでは、ブルース・リーの怪鳥音入りのサントラテーマが挙げられましょう。今のサントラ盤にはセリフ入りは見なくなり、映画の音楽を独立して楽しむという意味あいがつよくなっています。そのサントラ盤を聴いてみると、こんな音楽が流れていたのかと驚かされることがあります。その理由としては、映画のために作曲された曲が最終的に使用されなかったり、あるいは使用されたけど、曲のほんの一部分だったりというケースです。さらに、サントラ盤はアルバムとして聴くことが前提となっていて、そのための曲構成にとっているものがあります。映画で使われた音源でなく、作曲家が再録音することで、オリジナルとほぼ同じで、かつ音楽として聴き応えがあるものもあります。

実際に映画で聴くよりも音楽を堪能できるサントラ盤をいくつか挙げてみます。

1、「エクソシスト2」(作曲 エンニオ・モリコーネ)
この記事を書くきっかけになったのが、この映画をDVDで観たことでした。モリコーネがバラエティに富んだ音を書いているのですが、それが十分に映画の中では聴き取ることができませんでした。愛のテーマとも言うべき「リーガンのテーマ」は、印象的に流れるのですが、悪魔のテーマやアフリカを描写する曲などは、流れてきてもほんのちょっとでした。これがサントラ盤を聴いてみると、大変面白い音作りのされた現代音楽になっていることに驚かされます。特にビートの効いたロックナンバー、パズズのテーマはテレビのCMで流れて大変印象的で、これが映画のテーマ曲かと思ったのですが、このアレンジは本編では登場しません。サントラ盤では、映画に使われた頻度ではなく、音楽のバリエーションの楽しめる構成になっていますので、映画をご覧になって、モリコーネの音楽がリーガンのテーマだけだなあと不満に思われた方はお試しいただきたいです。



2、「エイリアン」(作曲 ジェリー・ゴールドスミス)
リドリー・スコットが監督したSFホラーの音楽は、ゴールドスミスが担当したのですが、オープニングやエンディングで大幅に差し替えが発生して、その経緯がひどいよねえって記事も読んだことがあります。映画公開時に発売されたサントラ盤は(CDじゃなくてLP)、ライオネル・ニューマン指揮によるナショナル・フィルハーモニック・オーケストラの演奏で、ゴールドスミス自身のプロデュースによるアルバムです。これがてっきり映画で使われてると思ってたら、メインタイトルからして曲が違うぞと思った記憶があります。最近になって映画で使われた音楽の入った完全盤というのも発売されたのですが、音楽として聴くには公開時のサントラ盤の方が聴き応えがあり、こっちの方がゴールドスミスの音を堪能できます。オーケストラによる静かな宇宙の描写から、ドライなテーマがうねるように展開するメインタイトルは圧巻です。この映画の冒頭に置くには鳴り過ぎなのかもしれませんけどやはり聴き応えのある曲で、この映画の音楽はサントラ盤で堪能していただきたいと思います。


3、「フューリー」(作曲 ジョン・ウィリアムズ)
ブライアン・デ・パルマ監督の超能力サスペンスものですが、ここでウィリアムスはロンドン交響楽団をフルに鳴らして交響組曲とも言える重厚な音楽を作り上げました。これは映画の中で聴くだけじゃなく、音楽として切り出して聴いて楽しみたいという意味でサントラ盤をオススメしちゃいます。最近、完全盤というのが発売されましたが、それによると公開当時のサントラ盤は映画に使われた音源とは別にサントラ盤用に録音されたようです。完全盤とかデラックスエディションいうのは、映画で流れた曲とか映画のために作曲された曲を全て取り込んだことを売り物にしているのですが、コレクターにはうれしくても、アルバムとして聴くと、何だか冗長で、公開当時に出た不完全だったり別録音だったりの方が楽しめることが結構あります。「エイリアン」「サスペリアPART2」とかの完全盤というのをゲットしたこともあるのですが、オリジナルの方がアルバムとしての完成度は遥かに高かったです。まあ、完全盤にそういうのを期待するのが邪道だと言われそうですけど。


4、「遊星からの物体X」(作曲 エンニオ・モリコーネ)
自ら音楽を書くことの多いジョン・カーペンター監督作品の中で、イタリアの巨匠が音楽を担当したという珍しい作品。シンセサイザーによるベンベンサウンド全開のメインテーマのみが印象に残りがちなのですが、サントラ盤を聴き直してみると、現代音楽の色々なサンプルが聴けて、また別の楽しみができます。メインタイトルには、モリコーネではなく、カーペンターとアラン・ハワースによるシンセサイザーによるドヨーンビヨーンな音が流れ、映画のオープニングとクライマックス前、そしてエンドクレジットには、モリコーネによるシンセベンベンサウンドが流れるもので、全編シンセサイザー音楽の印象を与えがちなのですが、その一方で、オーケストラによるミニマル音楽などもきっちりと盛り込まれているのですよ。ただ、オーケストラ音楽の方は映画の中ではちょっとしか流れないので、サントラ盤で聴き直すと、こんなに面白い音が作られていたのかとびっくりさせられます。円熟期のモリコーネは、モリコーネ節とも言うべき、ある種の定番パターンがあるのですが、この映画では、そのパターンに収まらない実験的サウンドが素晴らしく、このサントラ盤は現代音楽のアルバムとしても大変面白いと思います。


5、「カジュアリティーズ」(作曲 エンニオ・モリコーネ)
これまたモリコーネの作品ですが、ブライアン・デ・パルマ監督のベトナム戦争告発ものの一編に大変ドラマチックな音楽がつけられました。特に5分以上に渡るメインテーマの盛り上げがすごく、この1曲だけで涙が出てくる感動がありました。でも、映画の中では、フルに1曲流れるような場面はなく、この音楽の感動を味わうためには、サントラ盤をゲットする必要があります。アルバムを聴くとテーマ曲以外でも名曲と呼べる腹応えのある曲が入っており、これは音楽として聴き直す価値が大きいと思います。



最近のサントラ盤は、収録時間を長くして、使われた曲をありったけ収録しているのが多いのですが、そうすると、映画の記憶を呼び戻すことはできても、アルバムとして聴くとあまり面白くない。昔はLPの収録時間の関係もあって、30分から40分程度のものが多かったのですが、そのくらいがちょうどいいのではないかと思っています。また、今はなくなってしまいましたが、サントラのシングル盤というのも、音楽を聴くという意味ではなかなか捨てがたいものがあります。昔は映画音楽のスコアがヒットチャートにのぼることもあったそうですから、全ての音楽ファンに向けてサントラ盤が作られていたのかもしれません。(80年代の主題歌の台頭以前の、50年代から60年代のお話。)しかし、今や映画音楽のスコアはいわゆるサントラファンというマニア向けのものになってしまったので、イージーリスニング的な要素が少なくなり、いかにたくさんの曲を収録するかにその重きを置いてしまったように思います。

「終戦のエンペラー」のサントラはオーソドックスなオーケストラ音楽で映画を支えています。


「戦場のエンペラー」の音楽を手がけたのは、「ディア・フランキー」で抑制のとれた繊細な音作りをしたアレックス・ヘッフェスです。ヘッフェスがニュージーランド交響楽団を指揮しています。

日本を舞台にした映画というと、昔は必要以上に和楽器を前面に出してエスニック感を出す音作りをしたものですが、時代も変わったのか、そういうステレオタイプの音は影を潜めています。それでも、ヒロインの描写に尺八を使ったり、サスペンスフルなスコアのパーカッションに和太鼓を使ったりしているのですが、メロディはあくまで、普通のドラマ音楽を鳴らしていまして、さらりと聞き流すと日本が舞台の映画だとは気づかない音になっています。

この映画は大体3種類の音楽で構成されていまして、まず登場するのは焦土と化した日本を描写するオーケストラによるドラマチックなスコア、そしてアメリカ軍による戦争責任者の捜査を描写するスリリングなスコア、そしてピアノソロを中心にしたヒロインのテーマがサブプロットであるラブストーリーを彩ります。さらに、回想シーンに流れるシンセによるアンビエント音楽と、なかなかにバラエティに富んでいます。とくにオーケストラによるスコアは、日本全体を描写する重厚なスコアに、アメリカ軍を描写するミリタリー色も入ったサスペンスフルな音楽がつながり、ドラマにメリハリをつけるがごとく前面に音が出てきます。一方で、ヒロインのテーマは静かに画面をサポートすることに徹していまして、場面ごとに押す音と引く音の使い分けが細やかに行われています。

ドラマチックなオーケストラスコアは静かに展開するドラマに対して、かなり主張する音作りになっているのが印象的でした。映画音楽はドラマを支えるだけでなく、ドラマを語るという使われ方もされるのですが、最近の映画音楽はドラマを語るのに、規制曲、特にボーカルを使うことが多く、こういうアンダースコアにドラマを語らせるのは珍しくなってしまいました。だからこそ、この映画の音楽が印象に残って、サントラ盤もゲットしたのですが、こういう絵が浮かんでくるアンダースコアって本当に少なくなっちゃったように思います。それは作曲家の問題というよりは、監督やプロデューサーがアンダースコアに要求するものが変わってきたのではないかしら。

ラストで米良良一による主題歌が流れるのですが、これが焦土の絶望の中から希望を見出そうという内容でして、日本人を戦争の被害者のように描いた歌なのにちょっとびっくり。こういう視点が生まれるのも、9.11以降のイラク戦争の正義が揺らいできて、アメリカが攻めて行った先の住民は大変な思いをしているということがわかってきたからではないかなって気がします。正義の戦争へのアンチテーゼを9.11を題材に描くのは、被害者や家族のことを思うと難しいけど、60年前の歴史としてならエンタテイメントの枠の中で描けるのではないかと。

「パシフィック・リム」のサントラはテーマからの音楽展開が楽しい映画音楽らしいサウンド


「パシフィック・リム」の音楽を担当したのは、最近めきめきと公開作品が増えているラミン・ジャワディです。映画そのものは、オタク趣味満載だけど、ドラマ的には燃える映画。そして、ロボットが題材だけに、単なるノンストップアクションとは異なる重量感のある音が要求されるのですが、ジャワディの音楽はその期待に応える熱い音を提供しています。

まず、最近の映画には珍しいテーマモティーフを展開させているところがいいです。たった2フレーズのインパクトのあるテーマをロボットのテーマに据えています。これが2秒聞いただけで、「パシフィック・リム」だとわかるあたりは、あの「ターミネーター」のテーマを彷彿とさせます。そのフレーズから展開されるテーマ曲をベースにして、これが人間ドラマの部分では静かに、戦闘シーンでは迫力満点に展開されていきます。最近の映画音楽がシーンにマッチする音にこだわりすぎなのか、テーマ曲から展開させる音づくりが少なくなっているので、こういう音が新鮮に感じられてしまいました。

1曲めはテーマの総集編ともいうべき曲でギターが前面に出て、そこにビートを効かせたロック調に鳴らしておいて、オーケストラによるテーマフレーズが流れるというもので、そこから打ち込みとオーケストラによるRC(リモートコントロール)らしい音になるのですが、そこでいつものRC系の音のようにフルスピードで突っ走らないで、あくまでロボットの重厚な動きに合わせて間を置いた音になっていまして、巨大ロボットの動きのアクションをリードするのではなく、あくまで支える音になっているのがうまいと思います。その後も、ドラマ部分の音にもテーマ曲がアレンジされて使われていて、ストレートに展開するドラマの盛り上げに成功しています。

しかし、やはり主人公のロボの戦闘シーンで負けそうになったところから逆転に出るところで、テーマが最大ボリュームでババーンと鳴るあたりのうまさは、ヒーロー映画のツボを心得た音作りになっていまして、その盛り上げどころのうまさが、この映画を燃える映画に仕上げていると言っても過言ではありません。ドラマ部分の静かな音作りの緩急も見事で、そのメリハリのある音がきちんとシーンではないドラマを支えているのも点数高いです。

「ドリーム・ハウス」のサントラは今年最高の映画音楽で大満足


「ドリーム・ハウス」の音楽を担当したのは、「レリック」「ヴァレンタイン・デー」「アブナイ関係」などホラーからラブコメまで手がけて、ライトな音からシリアスな重厚路線まで器用にこなす職人ジョン・デブニーです。サスペンススリラーである本作では、オーケストラを使ってストリングスの厚い音を聴かせてくれています。ケヴィン・カスカが編曲し、ロバート・ジーグラーが指揮をしています。ロンドンで録音されているのですが、やはりハリウッドだと高くつくのかしら。

オープニングは女性コーラスがホラー風の味わいで始まり、そこへ木管によるテーマがかぶさってきます。シンプルなメロディながら、このテーマが全編に渡って、ある時はやさしく、またある時はドラマチックに展開されていまして、最近の映画には珍しい、一つのモティーフを一本通した音作りになっています。、ストリングスの美しい和音に、木管がやさしいメロディを奏でるもので、ドラマをきちんと語る音楽になっているのですよ。こういうきちんとした映画音楽が最近はなかなか聴かれないので、新鮮に感じられるのですが、かつてはこれが映画音楽の王道だったんだってのを、再認識させる音になっています。映画を観ているときは、画面と一体化した音楽として聞こえるのですが、サントラアルバムとして音楽だけ聴いてみると、映画の起伏以上にメリハリのある音が鳴っていることに驚かされます。

これが、物語の展開とともに、不安なサスペンスを奏でる音の変わっていきます。ストリングスの高音部と、低音のブラスとパーカッションがミステリアスな雰囲気を盛り上げています。ホラー映画風の衝撃音も入れていますが、そんなホラーサウンドの中にもきちんとメインテーマが鳴らされています。

さらに不安な予感が本当の恐怖に変わってくると、活劇調となってオーケストラを縦横に使った音になっていきます。クライマックスはダイナミックなオーケストラ音楽をガンガンに鳴らしてきて、ラストまで音楽はドラマチックに盛り上げます。音楽がドラマと一体となって、のびのびと鳴っているのが素晴らしく、音楽だけ聴いても十分聴き応えのあるものになっています。ただ、このアルバムは、トータルで57分もあるのですが、中盤の曲がサスペンスを描写する無調音楽が結構入っていて、これが結構たいくつなのですよ。せっかくのテーマを生かした楽曲がいっぱいあるのですから、ただストリングスの高音を鳴らしているだけの曲はカットして40分くらいにまとめてくれた方がより楽しめるアルバムに仕上がったと思います。これも音楽がいいだけに出ちゃう苦情なわけなんですけど。

「声をかくす人」のサントラは渋めのテーマでドラマチックな音楽


「声をとざす人」の音楽を担当したのは、数多くの映画音楽を手がけてきたマーク・アイシャムです。もともとはジャズ畑の人なのですが、映画音楽は1980年代から手がけるようになり、最初は「ネバー・クライ・ウルフ」「燃え尽きるまで」「レッド・アフガン」などシンセ主体のアンビエント系の音が多かったのですが、その後、どんどん映画、音楽のジャンルを拡大し、「タイム・コップ」「ブレイド」から近作の「メカニック」などのアクション映画のスコアや、「ハイウェイ・マン」といったスリラー音楽を手がける一方で、「クラッシュ」「ネル」といった幻想的なサウンド、さらに、この「声をかくす人」のようなドラマチックなスコアも手がけるようになりました。私としては、シンセを使った幻想的なタッチが彼の持ち味ではないかと思っています。というのも、彼の映画音楽でないリーダーアルバムではシンセやフリューゲルホルンを使った幻想的な音が聴かれるからです。

ブラッド・デクターが編曲をし、アダム・クレメンスがオーケストラを指揮し、チェロのソロをゾー・キーティングが担当しています。テーマ曲はストリングスを使った重厚な音をベースに、雄大なタッチの叙事的なイメージのメロディを奏でます。このメロディが映画のあちこちで使われ、全体を静かなタッチでまとめています。暗殺シーンに、サスペンス音楽から活劇調への展開を聴かせてくれていますが、映画の内容にふさわしい、真面目な音作りが印象的でして、ちょっとジョン・ウィリアムスのタッチを思わせるところもあり、最近の彼の作品のなかでは、なかなかの聞き物になっています。

後半の展開にも、高音の弦で泣きの旋律を入れることはせず、重厚な音でそのドラマの悲劇性をすくいとっており、映画のラストでは、その音の中に歴史の重みを感じさせてくれます。映画を観ているときは、地味目の音という印象だったのですが、CDを聴いてみると、意外やドラマチックな構成になっていまして、CDとしても聴きとおせる音になっています。

「声をかくす人」 エンドクレジット
(前半はドラマチックなスコアから始まり、後半はメインテーマの鎮魂のメロディという構成です)

「オレンジと太陽」のサントラは、静かだけど力強い音が聴かせます。


「オレンジと太陽」の音楽を担当したのは、リサ・ジェラルドです。かつてゴシック音楽グループ「デッド・カン・ダンス」のボーカルであり、その後ソロ・アルバムを出しつつ、「グラディエーター」などのサントラも手がけるようになり、「ミスト」でも、彼女の楽曲が印象的なシーンに使われています。神秘的な音に彼女のボーカルがかぶさると、一種独特な空気感をかもし出します。この映画では、社会的な題材を扱っているのに、彼女の神秘的なサウンドがマッチするのかという気もしたのですが、今回は、いつもの神秘的に歌い上げるタッチではなく、控えめにドラマを支える音になっています。

アルバム冒頭は、ピアノの単音から、小編成のストリングスがかぶさって、さらにエレキギターが重なるという音ですが、その後も静かにドラマを支える曲が続きます。ストリングスにはさらにシンセがかぶさって、音に神秘性を加えています。バイオリンやチェロのソロを入れて、さらに女性ボーカルを重ねた曲などは、アンビエント音楽風の味わいもありますが、柔らかいタッチが、重苦しい空気にしていないのがうまいと思いました。アルバムも後半になるとドラマチックな曲が増えてきますが、基本的には、ピアノとストリングスによる抑えた音になっており、ドラマを引っ張る音ではなく、がっちりと支える音になっています。そんな中で、女性ボーカルが入ると、希望の光が射し込むような感動があり、静かだけど、力強さを感じさせる音は、なかなかに聴き応えがありました。

シンセの音が幻想的な味わいを加えている部分に、いつもの彼女らしさが若干感じられるものの、彼女のリーダーアルバムに比べると、おとなしめで、映画音楽らしい音に仕上がっており、ストリングスの使い方はマイケル・ダナやレイチェル・ポートマンを思わせるところもありますし、女性ボーカルの使い方には、モリコーネ風の味わいもあります。それだけ、彼女が映画音楽の作曲家としてうまさを見せるようになってきたということだと思いますし、今後の彼女の映画音楽が楽しみになってきました。

今回はCDが入手できず、アマゾンからMP3ダウンロードによる購入となりました。サントラCDを出すには、地味な映画の地味な音楽なのかもしれませんから、ダウンロードで購入できただけよしとすべきなのかもしれませんが、リサ・ジェラルドのアルバムとしては、CD化してもよかったのではないかしら。

「リンカーン弁護士」のサントラはドライなアンビエント音楽になってます。


「リンカーン弁護士」の音楽を担当したのは、スティーブン・ソダーバーグ監督とのコンビで知られるクリフ・マルティネスです。この映画では、既成の挿入曲が前面に出てきていて、彼のオリジナル楽曲はあまり印象に残りません。ですが、マルティネスはこの映画にクールでシュールな音をつけており、この音楽が前面に出れば、かなり映画の雰囲気が変わったであろうという気がします。

シンセサイザーによるドライな音に、ギターやパーカッションが入ってくるというもので、明確なメロディラインは出てきません。ライトなアンビエント音楽という感じでしょうか。全体に、荒野をイメージさせる音になっていまして、人間ドラマというよりは、砂漠のドキュメンタリー映画のバックに流れそうな音楽になっています。19曲あるのですが、各々の曲を聴くというよりは、アルバムを通して、その雰囲気を感じるような作りになっています。ところどころに人間味をちょっとだけ感じさせるメロディラインが聞こえてくるのですが、それでも、全体的には乾いた空間を音楽で表現しているように思えます。「ソラリス」でも、彼は似たタッチの音楽を書いているのですが、そういう意味では、SF映画の音のようにも聞こえます。その場合でも、静寂と神秘性に満ちた宇宙を描写するような音という感じです。

映画が、サイコスリラーであったならば、こういうドライな音もマッチしているのでしょうが、映画がコミカルな味わいも持つ裁判映画になったために、マルティネスの音楽が後ろに下がったような気がします。最初は、サイコスリラーの設定で、ドライな音楽をつけたものの、路線変更したために、音楽のカラーがあまりに映画にクールすぎて、既成音楽を前面に出す音楽構成に変えたような印象なのです。そういう意味では、映画本編を観て、このアルバムを聴きなおすと、映画と音楽の関係を考えさせられるところが面白いアルバムだと思います。ホント、映画の中では、ほとんど印象に残らない音楽なんです。縁の下の力持ちという言い方もできますが、やっぱり映画の当初のカラーが作っているうちに変わったんじゃないのかなって気がしました。

「恋と愛の測り方」のサントラ盤は、夜に聴くのをオススメな、心をとらえるサウンド。


「恋と愛の測り方」の音楽を担当したのは、「レクイエム・フォー・ドリーム」「月に囚われた男」など色々なジャンルの映画を手がけて、どこかクセのある音を耳に残してくれるクリント・マンセルです。この映画でも、かなり音楽を前面に出してきていまして、映画の中でも音楽が大変印象に残る作品になっています。既成曲を使っているのかと思わせて、実は彼の作曲だったというのもありました。

オープニング、ジョアンナとマイケルがパーティへ行くバックに、ピアノソロによる曲が大変に印象的です。ドラマチックなようで、クールな音は、これから起こるであろうドラマを想起させます。どこか孤独と癒しを感じさせるメロディは、音楽としても聴き応えのあるものになっています。ラスト近くでは、もう一つのテーマに歌がついて流れるのですが、これもいいんですよ。

この他にも全体的に静かなタッチでピアノにシンセ、そしてチェロを交えた音が流れます。どこかコミカルだったり、環境音楽風だったりと、映画の展開に合わせて展開する音楽ですが、どこか別世界の音のような味わいは、リアルな男女のやり取りを描いた映画とは一線を画している筈なのですが、映像と見事にマッチしているのですよ。

映画のサントラ盤してもよいのですが、クリント・マンセルのリーダーアルバムとして、聴いても思わず引き込まれるものがあります。ピアノソロというのは、夜聞くと、心をどこかに持っていかれる気分になれますけど、このサントラ盤もそんな感じです。収録時間は短めですが、それでも密度の濃いアルバムに仕上がっています。映画をご覧になっていない方にもオススメしちゃいます。


「アナザー・プラネット」のサントラは、映画の雰囲気とは距離を置いていて、でもマッチしている不思議な音。


不思議なSF風映画の音楽を手がけたのは、FALL ON YOUR SWORD という音楽ユニット。ウィル・ベイツとフィル・モッサンの二人によるもので、ジャンル的には、ハウス・ミュージックというか、環境音楽というか、とにかくシンセによる打ち込みサウンド。チェロやヴィオラ、バイオリンにボーカルもフィーチャーしていますが、全体に雰囲気は、アンビエントと環境音楽のあいのこという感じでしょうか。といいつつ、ちょっとクラブ風のパーカッシブな音も入っているという、なかなか面白いアルバムに仕上がっています。

孤独なヒロインと、虚空に浮かぶ惑星のイメージなんですが、静かな音よりも、パルス音やシンセのパーカッシブな音は、プログレッシブ・ロックみたいな雰囲気もあります。私はこの類の音には疎いのですが、ぜい肉をそぎ落としたタンジェリン・ドリームという感じでしょうか。鋭さの中に、どこかエモーショナルな味わいを残しているところが印象的です。一応、ドラマの流れに沿った音作りになってはいるので、映画のイメージをかきたてるサントラ盤になってはいるのですが、音楽の切り込み方が画面をサポートするというよりは、画面と並列的に鳴っているという感じの音になっていまして、その分、音としての主張が強く、サントラ盤としてよりも、FALL ON YOUR SWORD のアルバムとして楽しめるサウンドになっています。そういう意味では、「ドラゴンタトゥーの女」みたいなんですが、あのCD3枚分聴き通すのに比べたら、聴きやすくて、またバリエーションに富んだ音になっていると思います。

エンドタイトルで、オープニング曲がもう一度流れるのですが、これがパーカッションをベースにしたなかなかにかっこいい曲でして、映画の雰囲気とはちょっと違うかなという気もするのですが、最後の最後でテンションを上げようという演出の一部なのかもしれません。ラストカットにはいろいろと含みがあるんだぜいってのを音楽で表現しているという感じでしょうか。

ちなみに、Googleで検索してみたら、メディテーションサウンドですって。瞑想するときに流す音楽にしては、結構リズミカルでノリがいいんですけどね。でも、この音が、この映画にマッチしてるってのは不思議な感じです。映像と音楽の関係ってのを考えさせられてしまいました。

「いつか来たる君へ」のサントラは、重い題材を美しいメロディで支えています。


ポスターや予告編の内容とは裏腹に、ドイツ軍によるイタリアの村での虐殺を題材にした映画「やがて来たる者へ」の音楽を担当したのは、マルコ・ビスカリーニとダニエレ・フルラーニです。完全に共作なのか、曲毎に分担したのかは不明なのですが、曲調が変わる部分があり、場面ごとに担当分けしているように思いました。CDでは入手できず、ダウンロードでの購入でした。

水滴のような音から、始まるメインテーマはどこか不安げだけど美しい旋律で、その先のドラマを予感させるものです。そのテーマはバイオリンやギター、子供のハミングなどで繰り返し登場します。それは、物悲しく素朴でこの映画の舞台であるイタリアの山村にマッチしていました。感情的にならない、静かなメロディが印象的です。一方で、のどかな村の様子を描写した曲も登場しますが、どこか戦争の影を感じさせる音になっています。

ドラマに戦争がどんどん侵食してくると、音楽はそれに合わせて陰鬱なタッチになってきますが、それでも、メロディアスな旋律を維持しているのが聴き応えのある音になっています。事件が起こったとき、少年のコーラスをパーカッションみたいに聞かせるシーンがありまして、一瞬、音楽ではなく効果音かと思ってしまったりしたのですが、そういう現代音楽的なテクニックは少しだけ使って、虐殺シーンにあえてドラマチックな曲を流さず、全体を美しいテーマを中心に構成した音楽は、サントラ盤としても聴き応えがありました。

「TIME タイム」のサントラは、意外とドラマチックなところが好き、オススメ


滅法面白いSF映画「タイム」の音楽を担当したのは、「ラブ・アクチュアリー」「ボーン・コレクター」「ムーラン・ルージュ」などを手がけたクレイグ・アームストロングです。この人、映画音楽以外でもリーダーアルバムを出していまして、それもまた聴き応えのあるものになっています。ビョークやマッシブ・アタックのアレンジャーだった人らしいですが、そのスコアは重厚でメロディアス。聴く者の心をとらえて離さないところがあります。

今回はSFアクションということもあって、アップテンポのアクションをサポートする曲も書いているのですが、やはりこの人のよさは、厚いストリングスによるドラマチックな盛り上げにありまして、この映画でも、SF映画とは思えない人間ドラマとしてのスコアを提供しています。特に、中盤の母親の死のシーンの盛り上げなどは、最近の乾いたスコアに慣れた耳には大時代的に聞こえるかもしれませんが、私はそこの今風でないところがファンです。

アクションシーンでは、シンセによる打ち込みや女声コーラスを入れたりしてはいますが、そのバックにきちんとストリングスを鳴らしているのが彼らしい音になっています。その味わいを表現すると最近の映画音楽に少なくなった人間味が感じられるということ。ラブストーリーとか人間ドラマでないこういうジャンル映画で、そういう味わいを持った音楽を書ける人はこの人くらいではないかしら。映画を観ている間は気がつきにくいですが、聞き返すと、こんな音楽が鳴っていたんだと驚かされます。

「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」のサントラは作曲家の職人芸がお見事


「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」の音楽を担当したのは、「レミーのおいしいレストラン」「カールじいさんの空飛ぶ家」などのアニメ映画を担当しつつ、「モールス」「クローバーフィールド」などの様々なジャンルの映画を手がけているマイケル・ジアッキノです。もともとラロ・シフリンの「スパイ大作戦のテーマ」という名曲があり、また、ミッションの経過を描写する「ミッション」というおなじみにフレーズがあります。このシリーズはそれらのシフリンの曲を織り交ぜつつ、担当作曲家のオリジナルの楽曲で構成されてきました。ちょうど、007でどの映画でも必ず007のテーマが使われるのと同じ音楽の組み立てとなります。

メインタイトルは当然おなじみの「スパイ大作戦」のテーマになっているのですが、オリジナルのシャープな感じとは違うアレンジがされており、ブラスセクションが前面にでてきて、パーカッション部分もブラスで鳴らすという音になっています。そのまま、ブラスバンドの曲として使えるアレンジになっているのがなかなかの聴きものです。ブラスバンド用の譜面が出るんじゃないかしら。

その他のアクションスコアもブラスセクションがメインになっている曲が多く、それが、この映画のアクションに勢いを与えています。メインメロディをブラスとストリングスでフルに鳴らすというハンス・ツィマー系とは一線を画す音になっているのが印象的でした。また、アニメで実績のある人らしく、映像の動きにシンクロさせた音をつけていくうまさがありまして、それが時としてコミカルな味わいにもつながっているのが面白いと思いました。

モスクワ、ドバイ、ムンバイと舞台を移動していくのですが、その国に合わせたご当地サウンドをつけているのですが、これが他の音楽と比べて浮いてしまっているのはご愛嬌というべきでしょうか。007が世界中どこへ行っても自分の音楽をつけていたジョン・バリーに比べると、音の統一感という意味では今イチかもです。ただし、その分、音楽的には華やかになっているのも事実ですから、そこは好き好きといったところです。

クライマックスの駐車場でのアクションシーンでも秒刻みサスペンスに走らず、ダイナミックなアクションに重きを置いた、ホーンセクションを縦横に鳴らした音作りにジアッキノらしさを感じさせ、ラストの決めの部分で、オリジナルのテーマ曲のコーダを持ってくるあたりの遊び心も見事に決まりました。この映画の流れ順に曲を並べたアルバムを聴くと映画の大体の様子がわかりますから、それだけジアッキノの映画音楽職人の腕が良さがよくわかるサントラ盤だと思います。

「サラの鍵」のサントラは美しいメロディが聴きもの


凝った構成の重厚なドラマ「サラの鍵」の音楽を担当したのは、新作の「パーフェクト・センス」が控えているマックス・リヒターという人。彼が作曲、編曲、指揮を担当しました。

大体、ドラマの流れに合わせてアルバムは構成されているようで、冒頭のシーンでラジオから流れる歌が一曲めに入っています。それから、サラの一家が競技場から収容所へと移送されていくシーンに流れる重厚でドラマチックな音楽が続きます。サラのテーマともいうべき物悲しい重いテーマがバイオリンによって奏でられます。このテーマ曲が美しく、要所要所で流れます。映画を観ているときは、ドラマに気を取られていたのですが、この曲だけ聴いてみると、改めて胸を打つ名曲だと実感します。

それから、現代のドラマに移っていくと、孤独なヒロインをテーマにしたような、ストリングスとピアノを中心にした静かな曲が続きます。ピアノによる切なくも美しいテーマ曲がアルバムの中盤で聴くことができます。最近の映画音楽の中では珍しく、きちんとしたモチーフをもった曲が複数盛り込まれているところが、アルバムとしての聴き応えがあります。映画の中では、それらがあくまで控えめに使われているところで、さらに好感度があがりました。

美しさと重厚さを持った音楽ながら、映画の中ではあくまで控えめに鳴ることでドラマを支えているのですが、こうやってサントラ盤で聴きなおすと、その素晴らしさを実感できるという映画音楽としての、最高の楽しみ方ができる逸品です。

サントラ盤の最後の曲は、収容所でサラの友人が、サラを元気付けるために歌う歌が入っています。そういう意味では、映画を堪能された方も満足できるサントラ盤と言えるのではないかしら。

「ザ・ウォード 監禁病棟」のサントラは、カーペンター映画の音楽としては物足りない


ジョン・カーペンターの新作「ザ・ウォード 監禁病棟」の音楽を手がけたのは、カーペンター本人ではなく、意外や「ツォツィ」のマーク・キリアンです。編曲もキリアンが担当しています。やはり、これまでのカーペンターサウンドを意識して作られているところはあるものの、ホラー映画の定番の音になっています。

ドラマとは独立したメインタイトルに流れるテーマ曲は、シンセによる衝撃音から、女性ボーカルをフィーチャーした物悲しいメロディが始まります。シンセだけでなく、小編成のストリングスも加えて、ホラー映画らしい、おどろおどろしい音楽は、どちらかというと無機質的でクールなジョン・カーペンターの音楽とは一線を画しています。カーペンター風のシンセのパルス音を入れた曲も登場しますが、それは、音楽のメインではありません。むしろ、サブテーマとして登場する女性ボーカル風による子守唄風の曲が不気味さを加えるのに一役買っています。

ヒロインたちと怪物の追跡シーンでは、活劇調の音で、サスペンスを盛り上げていまして、最近の映画の定番というべき、シンセとオーケストラをパーカッションのように扱う音楽で、ホラー映画というよりもアクション映画の音作りになるところが印象的でした。実際、映画もアクション映画的な見せ方になっているので、画面をサポートするという意味でも成功しています。また、ショックシーンも結構あるのですが、音楽もそのショックシーンに合わせて衝撃音を鳴らして、画面を盛り上げています。これまでのカーペンターの映画では音楽でショックシーンを煽る演出はなかったので、ちょっと鳴らしすぎじゃないのという気もします。それだけ、ドラマとシンクロした音作りになっているということが言えるものの、これまでのカーペンター映画に比べると、潤いを欠く音になっているのが意外でした。これまでのカーペンター映画の音楽は、シンセによる無機質な音が基調だと思っていたのですが、無機質なりの厚みを持っていたということになるのでしょうか。

ショックシーンの衝撃音の曲が多いと、アルバムとして聴いたとき、聴き心地がよくないのは事実でして、そういう意味では、今イチかなって、気がしました。ショックシーンの多い音楽だった「13日の金曜日」のサントラ盤の方がまだ、音楽として聴いていて面白かったですもの。クライマックスなどは、反復音楽で、サスペンスを盛り上げようとしているのですが、そこに人間の持つリズム感をさえぎる様に衝撃音を入れてくるのですよ。そういう不連続な音楽もあるのでしょうけど、ホラー映画だからって、人の神経を逆なでするような音楽を入れるのは、どうなのかしら。

「ハンナ」のサントラは、映画との相性は今イチでも、音そのものはかっこいい


美少女殺し屋映画「ハンナ」の音楽を担当したのは、テクノポップで有名なケミカル・ブラザーズです。(と、今回、ウィキペディア検索して初めて知りました。)グリム童話をイメージさせるファンタジックな音楽(クリンペライみたいな感じの音)とビートの効いたアクション音楽が交互に入ったアルバムになっています。美少女殺し屋とテクノサウンドというとエリック・セラの「ニキータ」という先達がいるのですが、映像とマッチしていたかというとこれが微妙な感じでした。映画自体は絵が小奇麗で、ヒロインがまだ固い蕾のようなキャラなんですが、その割に、アクション映画の音が先走り過ぎているという感じでした。ビートを効かせた鋭い音作りが映像とマッチしていないのですよ。スタイリッシュな映像にしなやかなビートを絡めた「ニキータ」の方に一日の長があると言えましょう。

映画の中でも音楽が耳についてしまったので、映画との相性は今一つという印象だったのですが、1枚のアルバムとして聴いてみると、映画音楽の枠とは別にテクノポップのアルバムとしてなかなかいいのですよ。童話チックな音とアクションシーンの硬派なテクノサウンドが不思議な緊張感を生み出していて、聴き応えがありました。この音楽、もっとハードなアクションものに使われたら、その力を映画に貢献できたのかのではないかしら。何しろ、最近のアクション映画のバックに流れる音楽はワンパターンが多いので、こういう鋭い音で描写されると新鮮かも。ただ、映像も音楽にまけないシャープなものである必要があるのですが。


「コンコルド」は映画はダメダメでも音楽はなかなかの佳曲、愛聴盤の一枚です。



1979年と言いますから随分と昔の映画「コンコルド」のサントラは、イタリアの職人作曲家ステルビオ・シプリアーニの手によります。映画は、「食人族」のルッジェロ・デオダートが監督し、主人公にジェームズ・フランシスカス、悪の黒幕にジョセフ・コットン、墜落したコンコルドのスチュワーデスにミムジー・ファーマー、危機に陥るコンコルドの機長にバン・ジョンソンと、イタリアB級映画らしい顔ぶれをそろえています。それでも、一応パニック映画の体裁をとっているのですが、やっぱり安い。そんな映画に、シプリアーニはメロディアスで美しい音楽をつけました。

メインテーマは、パニック映画らしい緊迫感のあるリズムにテーマのメロディが流れるもの。今のような勢いで押し切る音楽ではなく、きちんとメロディが前面に出てきます。この後の曲では、ゆっくりとしたリズムにメインのメロディが流れるというもので、これが当時のサントラ盤の必須アイテムであった「愛のテーマ」になっています。最近の映画音楽がやたら殺伐としてるのは、「愛のテーマ」をアルバムに入れないからじゃないあかという気がしています。その後の曲も「愛のテーマ」のバリエーションが多く、緊張感のある曲のバックにも、愛のテーマのメロディが流れていまして、その徹底ぶりはお見事と言うべきでしょう。クライマックスでコンコルドが遭難しかけるシーンはドラマチックなオーケストラサウンドをつけており、下手をすればC級になっちゃう映画をB級レベルにまで救い上げています。中盤のリゾートサウンドも楽しいですし、同じ愛のテーマを、やさしいラブテーマとドラマチックサウンドに使い分けているあたりの職人芸も堪能できます。

映画公開当時に、日本盤のサントラLPが発売されましたが、今回、別編集のアルバムが発売されました。といっても、mp3ダウンロードだけの販売のようです。曲数もぐっと増えて、サントラLPよりもサスペンス色が強い曲が増えています。でも、アルバムとして聞くには、曲数の少ないサントラLPの方がBGMとしても楽しく、シプリアーニの美しいメロディを堪能できます。使われている曲をありったけぶちこむサントラ盤も映画の再現として楽しいのですが、どちらかというとマニア向けになりがちです。アルバムとして聞くには、それなりに聞き手の立場に立って楽しめる音でまとめるというやり方もあると思いますし、BGMのCDとしてはそっちの方が楽しめたりします。最近、昔のサントラ盤を未収録曲を加えて再発売するケースがよくあるんですが、正直アルバムとしてバランスはよくないように思います。

「ジェリー・ゴールドスミス 生誕80周年記念コンサートライブ」はCDとDVDで大盛り上がり


私が映画のサントラファンになったきっかけになった作曲家、ジェリー・ゴールドスミスの生誕80周年記念コンサートのライブ盤です。2004年に亡くなる前に、日本でも2回コンサートで神奈川フィルを指揮していたことを思い出します。今回はTENERIFE FILM ORCHESTRA AND CHOIR(発音がわからないので、そのまま書いちゃいました) による演奏で、マーク・スノウとディエゴ・ナヴァロが指揮しています。このアルバムのうれしいのは、CDと同じ曲目のDVDがついていること。曲だけでもテンション上がるのに、演奏画面付だと、もう盛り上がること。好きな人にはたまらない、興味ない人にはたぶん二束三文のアルバムと言えましょう。

1、「スタートレック:ファースト・コンタクト」 エンドタイトル
スタートレックの映画シリーズの新シリーズの映画版。有名な第一作めのテーマ曲が流れた後に、この映画のための厳かなテーマに変わり、さらに再度メインテーマに戻って終わります。こういう音楽が映画についた時代を知らない若い人がかわいそうと思える名曲。

2、「カプリコン1」 メインタイトル
映画はポリティカルサスペンスアクションの傑作でしたが、それについた音楽もまた傑作。ダンダンダンとはったりだけで鳴らすのかと思ったら、美しいテーマ曲に変わる、パワフルで繊細、メリハリのある音作りは見事。

3、「いれずみの男」 メインタイトル
映画は未見ですが、日本でのコンサートでも演奏されたSF映画の曲のようですが、女性ボーカルが入り、小編成による幻想的な現代音楽という感じでしょうか。

4、「猿の惑星」 クローズ・スナッチャーズ
「猿の惑星」は原始的な現代音楽ともいえる曲の宝庫なのですが、この曲は、服を盗んだ何者かを追跡するシーンの曲で、映画の前半で流れます。メロディラインはほとんどないに等しいのですが、そこに緊張感をみなぎらせるあたりが絶品です。

5、「猿の惑星」 ハント(狩り)
「猿の惑星」の中でも前半のクライマックスの人間狩りのシーンに流れる曲で、ピアノの連弾をバックにトランペットやパーカッションが絡みあい、そこへストリングスが入ってくる複雑な音つくりになっています。メロディアスじゃないけど、テンションが上がって盛り上がる音楽の典型。打ち込みのシンセでやったらこういうテンションは出ません。

6、「トータル・フィアーズ」 ミッション
女性ソロボーカルによる美しいメロディラインから、オーケストラがテーマを奏でて、さらにフルコーラスへつなぐ盛り上げが見事。日本でのコンサートでもこの曲を聴いたときは鳥肌立つような興奮がありました。政治サスペンス映画にこんな美しい曲を入れちゃうのもすごい。


7、「スウォーム」 エンドタイトル
蜂の大群がアメリカを襲うパニック映画「スウォーム」自体の出来は、それほどのものではなかったのですが、ゴールドスミスの音楽だけは、オーケストラで蜂の大群を描写して見事な音をつけていました。でも、このコンサートでは蜂を描写した曲ではなく、エンドタイトルの曲を演奏しています。これが、テンション高いフィナーレにふさわしい曲になっていまして、演奏的にもかなりの盛り上がりになっています。

8、「ポルターガイスト」 キャロル・アンのテーマ
ホラースペクタクル大作のテーマ曲にゴールドスミスは大変やさしいメロディをつけました。サントラは子供のコーラスがメロディを奏でていて、美しくてちょっと怖い音になっていたのですが、ここでは木管がメロディを担当し、ホーンセクションがテーマを盛り上げる編曲になっていまして、オリジナルとは印象が変わってしまったのがちょっと残念。

9、「グレムリン」 組曲
かわいいギズモから、おっかないグレムリンがどんどん増えて行くというホラーコメディ。ギズモを描写する愛らしいテーマと大暴れするグレムリンのラグが楽しい曲です。グレムリンのラグをもっとたっぷり聴かせて欲しかったなって思う編曲でした。

10、「オーメン」 組曲
ゴールドスミスがアカデミー作曲賞を受賞した作品。悪魔の聖歌隊がおどろおどろに歌い上げる「アベ・サタニ」は、主題歌の部門でもノミネートされました。このテーマ曲も素晴らしいのですが、嵐の中で神父が殺されるシーンの曲も入ってまして、これがまた盛り上がるのですよ。そして、中盤には、愛のテーマ「パイパー・ドリームズ」も流れて、最後はまた悪魔のテーマで大盛り上がり。


11、「トータル・リコール」 メインタイトル
シュワちゃん主演の悪趣味系、でも知的なSFアクションのテーマ曲は、よくドキュメンタリーでも使われる勇ましい曲です。サントラでは、シンセをオーケストラのパートとして音に厚みを出していたのですが、生オケだけだとちょっと印象が変わっちゃうのは残念だったかな。

12、「オーメン 最後の闘争」 エンドタイトル
ゴールドスミスの作品の中で、私が一番好きなのがこれ。オーケストラとコーラスをフルに鳴らして、悪魔のテーマを高らかに歌い上げるのが圧巻。このコンサートでは、エンディングの神の勝利を歌い上げる曲から、テーマ曲へと移っていきます。映画としての評判は今一つなんですが、音楽の評価は大変高い、コンサートの最後を飾るにふさわしい名曲です。でも、できれば、テーマ曲がもっと長く聴けるメインタイトルをやって欲しかったというのは贅沢な注文かしら。


彼の作品には、他にも名曲、それもコンサートで演奏するに足るだけの力を持ったものがいっぱいあります。このコンサートはオケをたっぷり鳴らす曲でまとめた感じですが、こういう企画はもっとやって欲しいと思います。最近の映画音楽に物足りないと思うものが全部入ってるって感じなんですよ。輸入盤でしか入手できないのが残念なんですが、映画音楽って、すごいんだぜえってのが、再確認できるアルバムでした。

「クロエ」のサントラは、抑制されたドラマを見事にサポートしています


小品ながらも映画としての旨味が詰まっていた「クロエ」の音楽を手がけたのは、アトム・エゴヤン監督作品にはずっと参加してきているマイケル・ダナです。その他にも「長距離恋愛 彼女の決断」「(500)日のサマー」「ニュースの天才」など、色々な映画を手がけている他、ケルト音楽のリーダーアルバムも出しています。あまり、ドラマチックな音をガンガン鳴らすタイプではなく、ドラマに静かに寄りそう形の作品が多い人だと思います。ニコラス・ドッドとダナが編曲し、ドッドが指揮をしています。ダナ自身もギターを演奏しています。

オープニングでは、娼婦であるクロエが着替えるシーンに彼女のモノローグが流れます。それがメインタイトルとなっていて、バックに「In My Line of Business」がかかります。ストリングスの流れる音(シンセも入ってるかも)をバックにつまびくようなエレキギターの音がシンプルなテーマを奏でます。どこか、物悲しげで都会風なタッチで始まり、そこにピアノとバンスリ(竹の縦笛みたいの)が入ってきます。この映画全体に流れる孤独感を音楽は見事に表現していまして、そこにある種の切なさと焦燥感が入ってきます。

ドラマからある程度の距離を置いて、ドラマの空気感を表現する音楽になっています。ストリングスをベースに、ギター、ピアノ、パーカッションが、ある時はアンビエント音楽風にまたあるときはジャズタッチで音の色づけをしていきます。ギターやパーカッションが前面に出るときはアンビエント風ですが、ストリングスが前面に出る曲はドラマを描写する音楽になっています。ドラマの淡々とした流れの中に、ミステリーやサスペンスの空気を出すためにも音楽は機能していますが、それでも音楽が前面で出てくることはなく、縁の下の力持ちに徹した音作りがされています。クライマックスはサスペンスタッチの音楽になります(「Your Parent's Room」)が、衝撃音や不協和音による煽りはなく、ドラマの支える音にとどまっています。

それでも、最近の映画音楽の効果音みたいな音とは一線を画する音楽とした潤いを持ったサウンドになっていまして、地味だけどいい感じの音楽に仕上がっています。抑制の効いたドラマの中で、余韻を生む効果も上げていますから、音楽としての力があるのでしょう。


「ブラック・スワン」のサントラ盤は、ホラーとバレエ音楽の相性の良さがわかります。


「ブラック・スワン」の音楽と言えば、もちろんチャイコフスキーの「白鳥の湖」なんですが、サントラ盤は、クリント・マンセルによるオリジナルスコア盤ということになっています。中身は、要所要所でバレエ音楽として使われる「白鳥の湖」、あるいは劇伴音楽としてアレンジされたものに、マンセルによるオリジナルスコアが混然となったものになっています。「白鳥の湖」のアダプテーションとアレンジには、クリント・マンセルとマット・ダンクリーがクレジットされており、編曲と指揮はダンクリーが担当して、ロンドンで録音されています。

「白鳥の湖」については、子供の頃、聞いただけなので、もうメインテーマ以外の記憶がないので、この映画の音楽がどこまでチャイコフスキーの原曲を使っているのか、私には判断つかないのですが、全体を聞いた感じでは、いかにもバレエ音楽という曲が、ドラマのバックにも流れています。そんな中で、ピアノが入ってくると、現代音楽の味わいになってきて、ホラー映画の音になっています。ショック音楽も入ってますし、バレエ音楽の中にも奇妙なノイズ系の楽器を入れたりして、神経症的なピリピリとした音が結構出てきます。すごく、かわいそうなヒロインのお話なんですが、音楽はあまり彼女にシンパシーを寄せておりませんで、悲劇と恐怖を歌い上げる形になっています。ヒロインの孤独やかわいそうな感じは音楽ではほとんど描写されていません。「白鳥の湖」のテンション高い音楽が、ヒロインを追い詰めるようにガンガン鳴っているあたりは、ホラーとバレエの相性って意外といいんだということを再認識させられます。

クライマックスでは、見事に白鳥を舞うヒロインのシーンに当然「白鳥の湖」が流れるのですが、ここでやっとストレートな美しい演奏が聴かれます。ヒロインを素直に美しく彩る音楽になっているのです。そして、フィナーレを迎え、画面が暗転した後、「白鳥の湖」のテーマがピアノソロにアレンジされたものが物悲しく響きます。それまで、バレエの盛り上がりと同様にドラマを煽ってきた音楽が始めて静かにヒロインに寄り添う音楽を奏でます。ちょっぴり少女趣味も入ったような物悲しい曲は、暴走してきたドラマを孤独なヒロインに戻すような趣がありました。しかし、そのバックにガラスの割れるようなノイズを入れたりしているので、結局はホラー音楽になってしまいます。映画そのものが、ヒロインをいたぶっているような印象があったのですが、音楽もそれに加勢して、一緒になって、ヒロインを痛めつけているという印象でした。その際に、「白鳥の湖」の音楽は、流麗なメロディと残酷なパワーの両面を持っているので、大変有効だったように思います。ホラーとバレエ音楽のコラボということで、なかなかに聞き応えのあるサントラアルバムになっています。

「抱きたいカンケイ」のサントラは、中身の割にはライトなラブコメ定番風味


お下品な設定のラブコメ(と私は思ってます)の「抱きたいカンケイ」の音楽を手がけたのは、「バレンタイン・デー」「プリティ・プリンセス」などのラブコメの実績もあるジョン・デブニー。でも、この人、「アイアンマン」「プレデターズ」などのSFアクションもやりますし、かつて、ロンドン交響楽団をフルに鳴らしまくった「カット・スロート・アイランド」なんていう武勇伝(?)もありまして、何でも手がける職人さんのようです。ブラッド・デクターが編曲をし、デブニー自身がタクトを振っています。

アルバムトップの「Golf Date」のどこか、すっとぼけた感じの曲が、いかにもラブコメかなという味わいでして、それ以降の、セフレ生活のカットバックに流れる「Making Love」などもシリアスさのない味わいです。映画の展開をサポートするライトなスコアが多いのですが、愛のテーマとも呼べるものは、二人が始めてちゃんとデートするシーンで流れます。(「I'D Choose Adam/First Date」)この曲はちょっとフランス映画っぽい味わいもありますが、音楽自体の扱われ方が映画の中で小さいので、意外と聞き逃してしまいそうな佳曲です。この愛のテーマのフレーズは他の部分でも何度か顔を出すのですが、なかなか曲としてまとまらない、それがデートのシーンでやっと1曲通して聞かせるという演出で、ラブコメの王道を行くやり方ではないかしら。

静かな部分では、エレキにアコースティックギターがメロディを奏で、それをストリングスがフォローし、さらにピアノソロをかぶせてきます。決して厚い音にはしないけど、そこで、いろいろな思いを込めようとしているように聞こえます。軽いタッチの音だけど、どこかに感傷的な余地というか含みのある音は、聞き流しちゃうとそれでおしまいだけど、ちょっと耳を傾けると、「おや?」と思わせる味わいがあります。今時、30分にも満たないアルバムってのも珍しいですが、その中の聴き所はさらに半分くらいかしら。それでも、サントラ好きだと買ってしまうのですよ、こういうサントラ盤。

「私を離さないで」のサントラは音楽そのものがオススメ


何だか、意表を突いてくるすごい映画だった「私を離さないで」の音楽を手がけたのは、「ショコラ」「サイダーハウス・ルール」「ジャスティス」など佳作の多いレイチェル・ポートマンです。ポートマンとジェフ・アトマジアンが編曲し、デビッド・スネルがオーケストラを指揮し、ロンドンで録音されています。

なかなかとっつきどころの難しい映画なのですが、そのハードルを下げてくれているのが、美しい映像と、このポートマンの音楽でした。テーマはバイオリンのソロから、バックにストリングスとピアノが入ってくるというものなんですが、これが、どこか知らない世界へ入り込んでいくような幻想的な味わいになっています。変な言い方ですが、物語そのものは主人公の生と死の葛藤を描いているのですが、音楽は、そこの感情的な部分とはあえて距離をおいて、ドラマを支えています。彼らの人生には、すごく非倫理的な枠がはめられているのですが、その枠を甘くぼやかしているということもできます。音楽が、もっと登場人物に寄り添ったドラマチックなものだったら、映画のカラーが非道なシステムを告発するような映画になったのでしょうが、あくまで、音楽は美しく、悲しみや不安を描写する音はあっても、激情や怒りを表現していません。そういう意味では、この音楽は映画に不自然なカラーを与えているのかもしれません。とは言え、感傷的に泣きの音楽にしていないところは、ポートマンのセンスだと思います。ドラマチックな音楽は、時として、その音楽が、観客の感情を高揚させたり、感動させたりするのですが、この映画での音楽は、あくまでドラマの周りの空気を支えるもので、それ自体で感情を揺り動かすことはありません。(そういう使われ方をしていない、というのが正解かも。)


でも、サントラのアルバムと聞くと、いいのですよ、これが。バイオリンソロによるテーマが美しく、小編成のストリングスをバックに紡がれる音は、心を洗われるような気分にしてくれます。不安を描写した部分の陰影もほどよく音としてのメリハリとなっていて、ヒーリングミュージックとして、聴き応えがあります。アルバムには、終わりに、子供たちの歌う校歌と挿入されるジュディ・ブリッジウォーターの「わたしを離さないで」がついてますが、ポートマンの音との連続性はないので、この2曲をカットして、iPodに入れなおして聴くのがいいかも。


「ザ・ライト エクソシストの真実」の音楽は、映画同様で地味です


現代風リアル「エクソシスト」っぽく見せようとしたけど、本家にリアリティではまるでかなわかった「ザ・ライト エクソシストの真実」の音楽を手がけたのは、アレックス・ヘッフェス。この人、セガールの「ICHIGEKI」や「消されたヘッドライン」に「ラスト・キング・オブ・スコットランド」と、色んなジャンルを手がけてます。「Dear フランキー」の音楽がものすごくよかったので、そういうメロディアス系の人かと思っていたのですが、この映画はきっちりホラー音楽を書いていますから、いわゆる職人さんなのでしょう。編曲をジェフ・アトマジアン、アンドリュー・キニー、ベン・ウォルフィッシュが担当し、ヘッフェスがオーケストラを指揮しています。

冒頭は、主人公の実家の葬儀屋での死化粧のシーンで、ここはピアノと小編成のオケによるピンと張り詰めた緊張感のある音に、ちょっとだけピアノがメロディを奏でます。ただ、このメロディがテーマではなく、後半は聞こえてこないのは残念。主人公がローマにやってくるシーンが音楽としては一番印象に残ります。その後、悪魔祓いのシーンはオーケストラによる打撃音中心の現代音楽風の音が多くなるのですが、要所要所にきちんとシリアスなドラマとしての音楽をつけていまして、ただの怖がらせるためだけの音になっていないのは評価しています。また、編成の大きなオーケストラを使っているようで、音に厚みがあるので、恐怖シーンの曲もシンセによる神経を逆なでするような音になっていません。ホラーな音から、ドラマチックな曲調への転調も自然でして、安い音になっていません。ストリングスだけに頼らず、ホーンセクションもきちんと使って、ドラマとしてのうねりを出すことに成功しています。同じような悪魔祓いを題材に扱った「エミリー・ローズ」では、クリストファー・ヤングが、恐怖を前面に出した音作りをしていて印象的だったのですが、こちらは若い神学生が主人公ということもあってか、全体を控えめだけどエモーショナルな音にまとめています。

とは言うものの、地味な映画だけに、音楽にも派手さやハッタリはなく、地味にまとまったという印象は否めません。音楽としての山場は、全ての終わった後の、神父と神学生の別れのシーンに集約されていまして、ここで、やっとテーマらしきメロディも顔を出しますし、音楽としての盛り上がりを聞かせてくれます。ここだけは、ホラー映画とは思えない美しい音が、映画としての後味をホラー映画から人間ドラマへと変えてくれます。そして、この映画が悪魔祓いを通した主人公の成長物語だったということを、再認識させてくれています。

でも、こんな映画のサントラをよくCD化したなあって気はします。CDになっちゃったってところが記憶に値するって感じです。

「無縁社会」のバックに流れていた曲に聞き覚えがあって


NHKの特集で放映されている「無縁社会」シリーズは、シングルオヤジの私にとっては、他人事ではない切実さを持って迫ってくるものがあります。シャレにならない話というのが正直なところなんですが、そんな気の滅入る番組で、どっかで聞いたことのある曲が流れていたのに気付きました。

非常に印象的なシーンで流れる曲なんですが、これが、ティム・ストーリーの「The Lure of Silence」という曲。ウィンダムヒルレーベルの「緑色のガラス」というアルバムに収められた曲で、シンセサイザーによる音楽なんですが、透明感のある音色と、シンプルなメロディラインがすごくよいのですよ。もともとはサントラアルバムではないのですが、アルバムの曲それぞれにイメージが感じられて、まるで映画のサウンドトラックのような味わいがあります。

この人、何枚もアルバムは出しているのですが、出すに連れて、アンビエント音楽の方に走ってしまって、いわゆるドヨーンビヨーン系の音になってしまったのが残念。「緑色のガラス」は彼の初期のアルバムでして、その透き通る空気感が、ウィンダムヒルレーベルの音にマッチしていて、なかなかの聞きものです。AMAZONでも中古盤しか入手できないようですが、このアルバムに、まさか「無縁社会」で再開するとは思わなかったので、強引に記事にしてしまいました。

「The Lure of Silence」 無縁社会のテーマ(?) (1分20秒あたりから使われてます)

その他にもこのアルバムにはこんな曲もあります。


どれも夜の静寂が似合う曲とでも言いましょうか。すごくイメージをかき立てられるものがあります。

「愛する人」のサントラは静かな環境音楽と言う感じかしら


ロドリゴ・ガルシア脚本監督の女性映画「愛する人」の音楽を手がけたのは「鳩の翼」「光の旅人 K-PAX」などの作品を手がけ「パッセンジャーズ」でガルシアとも組んだ実績のあるエドワード・シェアマーです。

この作品では、音楽は非常に控えめな使われ方をされており、テーマがドラマを歌い上げることはありません。(まあ、最近、そういう映画は少ないですが)ピアノやギターのつまびきのような曲が、多くそこにシンセサイザーや木管の音がかぶさって、ある意味環境音楽的な音になっています。

曲のタイトルも登場人物の名前のものが多く、そのキャラクターを描写する音楽になっているのですが、孤独な主人公をあるときはクールに、あるときは希望を持たせるような暖かな音作りがされています。ピアノの高音が、登場人物の孤独を表現し、やわらかい木管(オーボエかな?)の音が暖かい希望の空気を描写しています。木管の絡む曲は、ちょっとウィンダムヒルレーベルのニューエイジミュージックを思わせるところがありまして、静かな雪の中のBGMのような趣もあります。

一応、シンプルなメロディがテーマのように聞こえてくるのですが、それが前面に出てくることはありません。アルバムは前半の静かな曲調が、後半になるとドラマの展開に伴って、生気を帯びた曲調に変わっていくのですが、それでも、映画音楽としては控えめな音作りになっています。それに聞き入る音楽ではありません。本屋で流れるBGMと言ったら酷な言い方かもしれませんが、不思議な心地よさも持った音楽になっています。こんな音楽がアルバム化されるんだというところに映画音楽の面白さがあるとも言えましょう。

「メッセージ そして、愛が残る」はテーマが美しい、名曲です。


超自然ホラーに信仰と愛の物語をブレンドした不思議な映画「メッセージ そして、愛が残る」は、死の扱い方に今一つしっくり来ないものがありました。そんな映画の音楽を担当したのは、「スズメバチ」「記憶の棘」「ジュリー&ジュリア」やさらにハリ・ポタ最新作など、フランスからハリウッドへも進出してきている才人アレクサンドル・デスプラです。デスプラとジャン・パスカル・ベインタスが編曲し、デスプラがオーケストラを指揮しています。また、デスプラ自身がフルート、ピアノ、シンセのプログラミングを担当しています。

アルバム1曲目の「The Wonder of Life」で流れる美しいテーマが大変印象的です。弦のリフをバックにピアノソロが美しくも不安げなメロディを奏でて、そこへストリングスが重なっていきます。音が厚くなると同じ旋律がやさしい味わいに変わっていくところが面白く、さらにストリングスがサビのメロディを奏でると、美しい愛のテーマとなります。2010年に聞いた映画音楽ではベストスコアではないかと思ってますが、ホント、映画とか関係なくいいのですよ、この曲が。

ドラマをサポートする音楽は、映画の展開に合わせた、ミステリアスで、ちょっとホラー風味が入ったものです。映画の中では、何だか陰気な曲だなあって思ったのが多かったのですが、アルバムで聴き直してみると、意外といい曲が多いので驚かされました。単なる雰囲気描写だけでなく、音楽としての奥行きがあるもので、言い方を変えると、かなり勿体ない使われ方をしているとも言えます。でも全体としての音は、テーマ曲を除くと地味な作りと言えましょう。ドラマチックな展開にも音楽は抑制の効いた抑え目の音作りになっています。

「ぼくのエリ 200歳の少女」のサントラは繊細さと重厚さの両方を併せ持った逸品


ホラー映画でありながら、ジュブナイルのような趣もあり、さらに恋愛映画のテイストも持った「ぼくのエリ 200歳の少女」の音楽を作曲したのは、スウェーデンのヨハン・ソーデルクヴィストという人。「ある愛の風景」「アフター・ウエディング」といったスザンネ・ピア監督作品も手がけているので、私にとっては初お目見えではないのですが、本作の音楽の素晴らしさで、改めて存在を再認識しました。編曲及び指揮をハンス・エクが担当し、スロヴァキア・ナショナル・シンフォニー・オーケストラが演奏しています。

切なく美しいメインテーマは、ストリングスやギターソロで何度も演奏されまして、これが映画のカラーを決めていると言えましょう。このテーマは、映画の中では意外や、主人公が普段別居状態の父親と会うシーンで効果的に使われていまして、切なさよりも心の安らぎを感じさせる音として使われています。

また、主人公を描写する音楽では、静かなピアノソロ(演奏は作曲者自身)にストリングスがバックを支えるというもので、どこか暖かみのある音になっています。フルオケを使っているだけあって、ストリングスに厚みがあるので、ドラマチックな部分も聞き応えがあります。一方では、環境音楽的な音作りをしていますが、シンセではなく、オーケストラを鳴らすことによって、音の統一感が出ました。ホラー部分は、オーケストラを前面に出したオーソドックスな映画音楽になっているものの、アルバムとしては、怖いけど美しい音に仕上がっています。

映画のカラーとしては、ホラー色が強いのですが、音楽に美しいメロディを盛り込むことで、ファンタジックな味わいを与えています。さらに、オーケストラの厚い音をつけることで、ドラマとしても厚みを持たせることに成功しています。

「リミット」のサントラは、オーケストラがドラマチックに鳴らす聞き物


今回はサントラ盤と言いつつ、盤ではなく、音楽データのダウンロードでゲットしたものの紹介です。後で、調べたら後日サントラ盤も発売されるようなのですが、お値段はダウンロードの方が安いので、まあ、いいかなってことで。

棺の中に閉じ込められた男の話って言っても、オープニングだけだろうとタカをくくっていたら、ホントに棺の中だけでドラマが展開する「リミット」の音楽を手がけたのは、ビクター・レイスという人。スペイン映画の人のようです。シンセサイザーも交えていますが、メインは、アダム・クレメンス指揮のシティ・オブ・プラハ・フィルハーモニックが演奏しています。このオケは、映画音楽のカバー演奏で多くのアルバムを出しているのですが、映画のサウンドトラックもたくさん手がけています。

最近の映画には珍しくちゃんとしたオープニングタイトルがあります。そのデザインされたタイトルバックに、緊張感あふれるオーケストラサウンドが流れるあたりは、なかなか新鮮でした。こういう出だしは、「モーテル」以来かしら。いわゆるヒッチコックタッチを狙っているところがありまして、テーマも、ちょっと60年代の映画風で、パーカッションを派手に鳴らしつつ、基本はストリングス中心にテンションの高い音を聞かせてくれます。メロディラインはないのですが、これから何かが始まるぞという期待感を煽る音楽になっています。

この後、ドラマはホントに棺から外に出ないのですが、音楽の方は、こういう変化球のドラマに正攻法というか、かなりドラマチックな音をつけています。安直にシンセ主体の音にしなかったのは大正解だったようで、緻密でサスペンスを積み上げる音になっているのは見事でした。舞台がイラクのせいで、中東風の音が混じったり、コーランが聞こえたりという細かい味付けもあるのですが、パーカッションの使い方にもメリハリがあり、音楽だけ聞くと、アクション映画かと思わせるくらいの音が鳴っていまして、場面が変わらないドラマに動きと盛り上がりを与えています。

一方で主人公を描写する部分では、エモーショナルな音を聞かせてくれて、クライマックスの畳み込みでは、フルオケがパワフルに鳴って、ドラマを盛り上げてくれます。映画を観ていたときも音楽ががんばっているなあって印象だったのですが、サントラ盤で聞きなおすと、ここまでガンガンに鳴らしていたのかとびっくりさせられました。

「リング0 バースデイ」のサントラは聞き応えあるドラマチックな音


「ビヨンド」「地獄の門」とホラーサントラの記事をアップして、もう一本、ホラー映画のサントラで記憶しておきたいのを思い出しました。日本のホラー、いわゆるJホラーで大ヒットになったのが「リング」「リング2」ですが、この3作目、物語的には、1作目の前日談にあたる「リング0 バースデイ」です。鶴田法男が監督したこの映画は、前2作とは趣を変えて、ショックシーンを控えめにしてその分ヒロイン(仲間由紀絵)の悲しみを際立たせることで、怖いけど悲しみに満ちたドラマに仕上がっています。

音楽を担当したのは、尾形真一郎という人で、「案山子」や「ほんとうにあった怖い話」シリーズで鶴田監督とは組んできた実績があります。(今も「ほん怖」シリーズのドラマ部分の音楽を担当してます)前2作では、川井憲次が恐怖をさらにパワーアップするシンセサイザーによる無調音楽をつけていたのですが、この作品では、非常にドラマチックな音楽をつけています。

映画の冒頭は、女子高生の噂話から、山村貞子の過去を調べる女性の行動を描くという、本筋に入るまでの前置きが長いのですが、ヒロインが登場してくると、やっと彼女のテーマともいうべき曲が登場します。アルバムでは2曲目の「プロローグ」という孤独で幸薄そうな貞子を描写する静かな曲です。薄いシンセの音に、ピアノのソロとフルートによるシンプルなフレーズが乗り、フレーズの反復が盛り上がっていきます。このフレーズはその後も何度も登場します。3曲目の「孤独」では、テーマフレーズから、さらにメロディが展開していきますが、そこにあるのは孤独で悲しみに沈むヒロインの姿を静かに描写する音楽です。

「うごめく妖気」「悲しみの井戸」「2人の貞子」といった曲では、不協和音による恐怖を前面に出してきますが、そういう曲はあまり多くありません。一方で、ヒロインを翻弄する人々を描写する「パニック~公開実験」「逃亡」「エピローグ」では、運命のテーマともいうべきメロディがドラマチックに鳴ります。オケ部分を全てシンセサイザーでカバーしてるようで、その分、音の厚みは今一つなのですが、そのフレーズとアレンジによって、ドラマをストレートにサポートしています。後半の曲では、運命のテーマの中に、ヒロインのテーマフレーズが入って、運命の中で翻弄されるヒロインの姿が浮かび上がる音作りになっています。

作曲者の尾形真一郎という人は、手がけた映画も多くないのですが、このサントラ盤を聞く限りは、オーソドックスなドラマの音楽を書ける人で、この映画でも、ヒロインのテーマが大変印象的でして、悲劇のヒロインを音楽が見事に描写しているように思います。ホラー部分も恐怖を煽る音をつけていないで、むしろ、彼女を追い詰める人間側の描写に運命のテーマともいうべき音をつけているあたりで、このドラマの構造が明確に見えてきます。音楽が映画のテーマをきちんと消化していて、さらにドラマの輪郭をくっきりと際立たせている点は、高く評価できると思います。はったりやこけおどかしを排除してまして、音楽としては地味目の音になっちゃうのでしょうけど、サントラ盤も聞き応えのある1枚になっています。

以前、別のHPで「リング0 バースデイ」の紹介記事を書いたので、リンクさせてもらいます。
「リング0 バースデイ」紹介記事

「地獄の門」のサントラは音楽としても「ビヨンド」の姉妹版として楽しい


この前の記事で「ビヨンド」のサントラを紹介しましたが、同じく最近DVDがリリースされたのが「地獄の門」です。「ビヨンド」と同じく、イタリアのルチオ・フルチが監督したホラー映画で、「ビヨンド」と同様に地獄とこの世がつながってしまう恐怖を描いていて、グロテスクな特殊メイクと病的とも言える演出ぶりが有名です。音楽は、「ビヨンド」と同じファビオ・フリッツィが担当しています。

音楽の構成は「ビヨンド」と似ていまして、冒頭で、ストリングスとギターによる不安をあおるテーマが流れます。ドラムを前面に出すというところも同じでして、チープなようでいて、きちんとホラー映画の音になっています。シンセによるコーラスも加えているというところも同様ですが、それでも「ビヨンド」と同様、音楽としての美しさが感じられるところもあり、イタリアンホラーあなどりがたしという感じです。

ドラマをサポートする曲では、シンセやギターによる衝撃音を入れてショッキングな音も作っています。ショックシーンそのものでは音楽を入れない(ビヨーンといった効果音は使ってますが)演出なので、全体としてはきちんと音楽として成立しています。中身のえげつなさに比べたら、まっとうな映画音楽と言えましょう。

この映画のメインテーマとも言うべき曲は、主人公たちが謎の正体に闘いを挑むシーンに流れるもので、シンセのコーラスによるちょっと陰影のある、でも勇壮な感じのテーマが流れた後、マイナーコードのファンファーレのようなフレーズの反復によるミニマルミュージックに転調します。これがなかなかの聞き物でして、これまでの他のホラー映画にない味わいのある曲になっています。この曲のパターンから、勇ましさを取り除くと、「サンゲリア」のテーマになるのですが、それはまた別の逸品となっています。「ビヨンド」と同様、エグいホラーでも音楽はなかなかに聞かせるものになっていまして、サントラ盤も聴き応えのある1枚になっています。これも、何種類もサントラ盤が出ているようで、私が持っているのは、「悪魔の墓場」とのカップリング盤です。「悪魔の墓場」の方はフリッツィによるものでなく、聴いていて、それほど面白くないのが残念。


「ビヨンド」は映画はゲロゲロだけど音楽は名曲(だと思う)



最近、DVDが再発売されて、その趣味の方(含む自分)には話題になっているのがルチオ・フルチ監督のイタリア映画「ビヨンド」です。1980年代のホラービデオブームの時に劇場未公開作品としてリリースされて、その残酷メイクとわけわからん演出で、カルトムービー化しました。音楽を担当しているのは、フルチ監督作でしか日本では知られていない、ファビオ・フリッツィという人。この人、ギャングものや子供向け映画も手がけているようで、ホラー専門ではないようです。

ピアノのアルペジオに、フルートやギターがかぶさって、じわじわと盛り上がっていくテーマがまず印象的です。いわゆる不安を煽る音になっていまして、さらにドラム、ストリングス、シンセサイザーが絡んできます。これから何かが起こるぞという雰囲気を盛り上げる曲でして、ドラムが前面に出てリズムを刻んでいくあたりは、ゴブリンと通じるものがあります。

この映画のメインテーマになっているのは、タイトルバックに流れる、シンセサイザーをコーラス風に使って、幽玄な雰囲気を盛り上げていきます。曲はさらに転調して、実際のコーラスと交えてさらに地獄のテーマとも言うべき展開になります。編成が小さいので重厚さはないのですが、大変、印象的なメロディで、映画本編がある意味グダグダなのに比べて、音楽のクオリティは高いです。

その他の曲も、小編成のオケながら、きちんとドラマをサポートするメロディを持っていまして、最近のシンセによるどよーんびよーんだけの音楽とは一線を画するものです。サントラ盤として聞いても楽しめますし、耳に残るテーマは、最近のホラー映画に比べて、ある意味、豊かさを感じさせるもので、他のサントラ盤と比べても聴き返すことの多い一枚です。(ヘビーローテーションまではいきませんけど)サントラ盤は何種類も発売されているようで、以前発売されたDVDにも同じ内容が「アイソレーテッド・スコア」特典として収録されています。

「月に囚われた男」のサントラは聞き返すと発見があって面白いです


今年公開された映画の中で、かなり印象に残った作品「月に囚われた男」のサントラ盤が発売されていました。音楽を担当したのは、「レクイエム・フォー・ドリーム」(テーマ曲が映画の予告編でよく使われます)や「ファウンテン」「レスラー」などが有名なクリント・マンセルです。

映画の舞台が静寂の宇宙だけに、大々的なテーマメロディで歌い上げる音楽ではありません。だからと言って、硬質なシンセサイザーだけの音になっていないのが面白い音楽に仕上がりました。1曲目のテーマからして、シンセサイザーによるミニマル音楽にピアノの単音によるメロディがかぶさって、さらにドラムが16ビートを刻んでいきます。単調な曲でありながら不思議な躍動感のある音楽は、ドラマと距離を置いた感じです。現代を描くドキュメンタリー映画で使われそうな曲なのです。このテーマ曲は結構耳に残るもので、映画とこの曲がイメージとしてつながります。

ドラマを支える部分では、シンセサイザーによる乾いた環境音楽が中心なのですが、その中にピアノやチェロによるアコースティックな音楽を入れています。静寂と暖かさが共存した音は、ドラマに情感を与えるのに成功しています。また、アコースティックな音とシンセサイザーを掛け合わせることで、ドラマチックに盛り上げる曲を入れるなど、映画のイメージとは違って、バラエティ豊かな音を聞かせてくれます。基本的には、静寂な宇宙を描写する硬質な音楽なのですが、その要所要所にエモーショナルなアクセントを入れていて、ミニマル音楽になっていないのが面白いと思いました。

こういう宇宙を舞台にした映画の音楽で思い出すのは、マイケル・ナイマンの「ガタカ」、クリフ・マルチネスの「ソラリス」があります。これらが、静寂で無機質な宇宙を描写するという点では共通しているのですが、それぞれにそこからの発展の仕方が違うのが面白いところです。「月に囚われた男」はラストがデッドエンドではないということもあって、どこか明るさというか希望が感じられ、また、ドラマとの距離を取ったシニカルな視点も見えるという面白さがあります。聞き返すと、音楽が色々な顔を見せてくるのが、サントラ盤としても楽しめる1枚と言えましょう。


「遥かなる帰郷」のサントラは、個人と歴史との関わりを音楽で語っています


「ジャスティス」のサントラ記事を書いていて、まだ収容所を扱った名曲があったのを思い出してのご紹介です。フランチェスコ・ロージ監督、ジョン・タトゥーロ主演の「遥かなる帰郷」という映画は、捕虜収容所が解放された後のユダヤ人がどうやって、自分の故郷まで帰ったのかを描くドラマでして、あまり描かれない視点からのドラマが見応えありました。音楽を担当したのは、「続 荒野の用心棒」や「イル・ポスティーノ」などのルイス・バカロフです。バカロフ自身が編曲、指揮も担当し、ブルガリア交響楽団が演奏しています。

アルバムの1曲めは、主人公のプリモのテーマです。パンフルートによって、演奏されるテーマがまず心をうちます。そのバックにゆるやかに弦がかぶさっていきますが、重厚さよりも、素朴な人間の生き様を感じさせる音作りが、この映画に見事にはまっています。そして、2曲目の映画のテーマともいうべき、雄大で重厚なオーケストラ曲が鳴ります。こちらは、民族の運命といった味わいの重い曲ですが、これが、主人公のテーマとの対比となっていまして、音楽が映画の奥行きを描写していると言えましょう。

劇中、この2つのテーマが何度も、リード楽器や編曲を変えて登場します。ピアノやハーモニカ、バイオリンソロに小編成オケを加えた、プリモのテーマは叙情的な味わいを濃くしているのが耳に残りますし、もう一方のテーマは小編成のオーケストラによってうねるようなストリングスが鎮魂曲のような味わいも加えています。

映画は、主人公を大きな歴史の中の小さな生き証人という捉え方をしていまして、音楽もそれを忠実に再現していると言えます。大きな歴史を描写する叙事的な重厚な曲と、主人公プリモを描写する素朴で人間臭い曲とをうまく交錯させることで、音楽が映画を語っていると言っても過言ではないでしょう。


テーマ曲は下記アドレスから聞くこともできます。
「遥かなる帰郷」よりサウンドトラック

また、映画の紹介記事を、以前、HPにアップしたものがありますので、よろしければご参照下さい。
「遥かなる帰郷」 HP紹介記事

「ジャスティス」のサントラは戦争映画とは思えない泣ける名曲


前回、ブルース・ウィリス主演の「コップアウト」のサントラ記事を書きましたが、ウィリス主演の映画ということで、忘れてはいけない映画を思い出しました。2002年の「ジャスティス」です。「オーロラの彼方に」のグレゴリー・ホブリット監督による戦争モノ、それもドイツの収容所モノです。重厚な画面が見応えありましたが、ラストの感動が出来すぎな感もありまして、映画としての出来はそこそこという感じでした。

音楽を担当したのは、「エマ」でオスカーを取ったレイチェル・ポートマンです。「ショコラ」「サイダー・ハウス・ルール」「イルマーレ」「妹の恋人」などの女性向け映画にたくさんの名曲を提供している彼女にしては、男ばっかの戦争映画というのは珍しいのですが、ここで大変力のこもったスコアを書いています。ジェフ・アトマジアンが編曲し、デビッド・スネルがオケを指揮しています。

戦争映画とはいえ、勇ましい曲は一切ありません。寒々とした雪の中の収容所を描写する静かな曲と、脱走計画を巡るサスペンスフルな曲の2つの流れで音楽は展開していきます。その中でも、メインテーマの曲が本当に素晴らしい。トランペットソロによる鎮魂のメロディが重厚なストリングスをバックに奏でられるところから始まり、そのメインの旋律を木管とストリングスが引き継ぐと、さらにトランペットが旋律を展開させて盛り上げていき、さらにフルストリングスがうねるようにテーマを奏でるのです。バックの和音のストリングスに、さらに木管とストリングスが旋律を重ねていくという音作りが見事です。

テーマとしては、上記の他に、ストリングスが3拍子のリズムを刻みながら、木管が哀愁のあるメロディをかぶせる曲もあるのですが、メインテーマがとにかく圧巻でして、映画の詳細は置いといて、このテーマ曲を聴くだけで、涙腺がうるっときてしまうのですよ。重厚な音楽ですが、どこか、女性作曲家らしい、やさしさというか、しなやかさ、そして切なさといったものが感じられる私にとって、心の琴線に触れる名曲となりました。

サントラCDは、AMAZONでは購入可能なようです。

「瞳の奥の秘密」のサントラ盤はオススメです。


濃いドラマが見応えあった「瞳の奥の秘密」の音楽を担当したのは、Emilio Kauderer とFederico Jusidです。(発音がわからないのでそのまま書きました。)作曲者の二人が編曲もし、ブルガリア・シンフォニー・オーケストラをDeyan Pavlovが指揮しました。

テーマ曲とも言うべき「The Dought」が静かなストリングスから、情念のうねりのように盛り上がっていくのが圧巻です。そして、曲の終わりは再び静かなストリングスにピアノの響きが暖かな印象を残します。今は亡きジョルジュ・ドリュリューの楽曲を思わせる、ダイナミックで繊細な音作りは、この映画を大きく支えていると申せましょう。殺人ミステリーの部分を描写する音も、ストリングスとピアノが不安な音を重ねるという正攻法ながら、ある種の格調の高さを感じさせるものです。コーラスの使い方も、それを前面に出して歌い上げるのではなく、オーケストラの1パートとして使っていて、それが音楽全体の厚みを増すことに貢献しています。

これは、オーケストラの演奏のよさもあるのかもしれません。ブルガリア・シンフォニー・オーケストラというのは、どちらかというと低予算B級映画の音楽を演奏することがあるのですが、ここでは、大変厚い丹精な演奏が素晴らしく、時としてドロドロとした方向に走りそうなドラマに格調と気品を与えていると言えましょう。本編と同じくドラマチックな展開をする音楽ですが、全体として、感情に流されない節度が感じられ、歌い上げているようで、抑制の効いた丁寧な音作りが見事です。この音が日本人の耳に馴染みやすいということもあるのかなという気がしました。メロディの美しさに加えて、情感と抑制のバランスが素晴らしいのですよ。

最近のハリウッド系映画では、こういう重厚な音楽が聴けなくなっていることもあって、ここ数年のサントラ盤の中では、最高の聞き物と言えます。日本盤は出ていませんが、輸入盤は、下記アマゾンから入手可能です。(2010/09/22現在)

「インセプション」のサントラはハッタリかましてるのが聴き所


クリストファー・ノーランの夢オチかもしれない大作「インセプション」の音楽を担当したのは、「バットマン・ビギンズ」「ダーク・ナイト」で、ジェームズ・ニュートン・ハワードと音楽を共作したハンス・ツィマーが、単独での登板となりました。ツィマーとハワード・スカーがシンセサイザーのプログラミングをし、オーケストラをマット・ダンクリーが指揮しています。

オーケストラとシンセの低音を思いっきり鳴らすことにより、映像を背後から支えるような音になっています。音楽的には、ドラマとシンクロして物語を盛り上げる音楽と、夢の世界観を音楽にしような環境音楽の2つのラインで構成されているようです。デジタル録音の低音部を最大限に使っているようで、よく言えば重厚、悪く言えばやたらとうるさいとも言えると思います。音楽的には現代音楽の響きがありまして、夢の世界の描写音楽は、フィリップ・グラスの「コヤニスカッティ」を思わせるものがありました。非日常の世界を描いた記録映画の音楽のように聞こえてくるところが面白いところです。

ツィマーの音楽は、ハリウッド以前のシンセサイザー中心のドラマチックな音作り、そして90年代のアクション映画で、シンセとオーケストラを同等にあつかって厚い音で映像を煽るような音が印象的でした。最近では、「リング」に代表されるような環境音楽のような音も盛り込んで、さらに奥行きを増してきたように思います。かつては、重厚だけど鳴りっぱなしという印象が強かった彼の音楽も、最近ではいい意味でメリハリがついてきているように思います。(「フロスト×ニクソン」なんか、そういう意味でかなり好きな音です。)

夢の中のインセプション作戦を描写する部分では、シンセパーカッションとオケによる秒刻みのサスペンス音楽をつけており、画面の動きよりもテンポの速いリズムを刻むことで、緊迫感を煽っています。最近のサスペンス映画における、定番とも言える音ではあるのですが、楽器をこれでもかと重ねていて、音としての圧力が強いことが、ツィマーの特徴になっています。これは、ある意味、映像以上のハッタリを含んでいるのですが、この映画では、そういうハッタリがいい方に作用していまして、夢の世界が現実とものすごく離れたところにあるというのが、音楽で表現できています。

この映画は、ドラマとしての起伏は全てアクションで描写されていますので、エモーショナルなシーンはほとんどありません。音楽も、感情とか情緒といったものをばっさり切り捨てていますので、ある意味潤いを欠いているのですが、それにより、アルバムとして聴いてみると、アンビエント風環境音楽という趣が出ました。その昔の映画音楽というと、どんなジャンルの映画でも、メロディラインが前面に出る「愛のテーマ」が入っていたのですが、最近はあまり見かけなくなりまして、このアルバムにも、愛のテーマと呼べる曲はありません。現代の映画は、愛も希望もない味気ないものになったのかということも可能かも知れませんが、それよりは、愛を描写したシーンに音楽をつけて盛り上げる演出をしなくなったように思えます。

こういう重厚で幻想的な音楽は聴いていてイメージが広がるので、音楽としても聴き応えがあります。同様のサントラというと、最近では「シャッター・アイランド」、先述の「コヤニスカッティ」、クリフ・マルチネスの「ソラリス」、ハワード・ショアの「コップ・ランド」などがあります。

「コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら」は懐かしいバブル期サウンドだけど若い人には新鮮かも


知る人ぞ知る監督による「コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら」は、一見さんには、ゆるーい刑事ものにしか見えないのですが、その音楽を担当したのが、ハロルド・フォルターメイヤーというのがちょっとビックリ。「トップ・ガン」「ビバリー・ヒルズ・コップ」などを手がけた人で、いわゆるバブル時代のBGMとしてしっくりする音を書く人です。

この映画でも、まず主人公を描写するテーマが、「ビバリー・ヒルズ・コップ」の続編かと思わせる似た曲調になっています。シンセパーカッションによるゆっくりしたビートに、キーボードによるシンプルなテーマがかぶさっていく、いわゆるフュージョン系サウンド。映画音楽でフュージョン系というとデイブ・グルーシンがいますけど、グルーシンがジャズ寄りなにの、フォルターメイヤーはロック寄りという違いがあります。軽めの音だけど、ノリのいいサウンドは、心地よく、サントラアルバムはBGM代わりにも使えます。パティ・ランベルの歌も1曲最後に入っていますが、これもフォルターメイヤーの手になるものなので、全体のトーンに合った、なかなかにかっこいい曲です。

ドラマ部分をサポートする音楽は、パーカッションが軽やかにリズムを刻みながら、キーボードの音が絡んでいくというものです。90年代以降、ハンス・ツィマー一派(メディア・ベンチャーズ→リモート・コントロール)がより、テンポを速めて、ビートを重くした、今風のアクションスコアが幅を利かせてくると、フォルターメイヤーの音はハッタリ不足なのか、段々と廃れて行ってしまいました。それでも、久々にこういう音楽を聴くと、これはこれでありだよなという気になるから不思議です。特にこの映画のようなライトコメディには、きっちりとはまるのですよ。


「グリーン・ゾーン」のサントラはとにかくドコドコ鳴っている


アクション映画の音楽というと、主人公のテーマなりがあって、それにアクションシーンのテーマがつくといったパターンがあります。007シリーズなんてのはその典型なのですが、最近のアクション中心の映画は、明確なテーマをつけないまま、打撃音をつなげて、ドラマの効果音のような扱いのもの多いように思います。まあ、最近の映画はラブストーリーでも明確なテーマメロディが出てこないものもありますから、アクション映画に限ったことではないのですが、それでも何だかつまらないご時世になったような気もします。

「グリーンゾーン」もその最近の映画の一本でして、明確なテーマは聞こえてきません。音楽を担当したのは、「ボーン」シリーズや「ユナイテッド93」で、ポール・グリーングラス監督とは何度も仕事をしているジョン・パウエルでして、この人「チキンラン」「シュレック」などのアニメでも実績のある人で、その場面場面をフォローする音楽を書かせるとうまい人です。その分、あまり耳に残るメロディはないのですが、この映画でも、その職人的なうまさは発揮されています。映画自体は、政治的サスペンスものではありますが、全編にわたってアクションシーンの見せ場が散りばめられています。そして、音楽はかなりの頻度で鳴っているのですが、あまりにも地味な、影のポジションに徹しているので、映画を観ている最中はほとんど耳に入ってきません。

ところが、サントラ盤で聞きなおすと、相当に鳴っているのですよ。パーカッション中心で、シンセやストリングスも打撃音として使われ、ちょっとだけ中東っぽい味付けはされているものの、徹底してドライ。情感のかけらもないような音楽ですが、徹底して事件を追っているドラマと見事にシンクロしているのです。アクション音楽のパターンとしては、アクションを音楽が引っ張っていくような場合があります。007のテーマなんてのはあの曲がシーンのテンポを決定づけているとも言えるのですが、その一方で、アクションシーンでも、編集のテンポよりやや遅めの音をつけて重量感を出す場合があります。「グリーン・ゾーン」では、編集の呼吸と音楽のテンポがきっちりと合うことで、映画を観ている時は音楽をほとんど意識しないのですが、実際は相当テンポの早い音がドコドコ鳴っているのです。それも、腹に響くような低音だけでなく、高音部もかなり鳴ってるのが驚きでして、これくらい鳴らしても、実際の効果音がバリバリに鳴っているので、音楽だけが先走っていないのですよ。うーん、そんなにやかましい映画だったのか。デジタル6チャンネル音響もいいけど、ひょっとして私たちはその分大きな音に鈍感になっているのかもしれません。

音作りとしては「ユナイテッド93」と似たところがあって、徹底してドライな音をドラマの盛り上げに合わせて積み上げているのですが、戦闘シーンが多い分、そこは激しい音になっています。とにかく、どの曲も全力疾走しているような音ばかりで、メリハリは欠くのですが、どの曲もリズム部分が明確でそれが観客のテンションを上げるのに貢献しています。こんな効果音みたいなのは音楽じゃないなんて昔は思っていたのですが、効果音に徹した音楽もまたありなのかなっていう気がしてきます。ただ、この音楽は、テレビのドキュメンタリーなんかでは使えにくそう、とにかくテンポが早いですもの。普通の絵にこの音をつけたら、音楽だけが先走っちゃいますもの。

「FILM MUSIC 2009」は選曲が楽しくて、演奏もグッド


年に1回発売される映画音楽のアンソロジーアルバムです。演奏はシティ・オブ・プラハ・フィルハーモニックが中心で、フルオケならではの厚い音が聞けますし、その年の映画音楽からの選曲がなかなかに面白いのですよ。この2009年の音楽集も選曲の面白さもありますし、こうして聞いてみると最近の映画音楽もいい曲があるなあって再認識することができます。このシリーズは変にオーケストラのカラーを出すことなく、基本的にサントラに忠実な演奏をしていまして、その点でも評価が高いです。

1、「アバター」より「WAR」
これは、言うまでもなく、大ヒット3D映画の音楽で、ジェームズ・ホーナーが思いっきりオケとコーラスを鳴らしています。その中でもラストの戦闘シーンの曲をコーラスも加えて演奏していまして、サントラと肩を並べる熱い演奏になっています。

2、「トランスフォーマー/リベンジ」より「Prime / I Rise, You Fall」
「トランスフォーマー」の続編の音楽をスティーブ・ジャブロンスキーが担当しました。コーラスを交えた重厚なテーマが聞けます。いかにも、ハンス・ツィマー一派(RC)らしい音になっていまして、「ザ・ロック」の続編のテーマだと言われても納得しちゃいそうな一曲です。

3.「Let The Right One In」 より「Eli's Theme」
日本未公開の切なめバンパイアホラーの音楽を担当しているのはヨハン・ソダービストです。サントラはシンセによる美しいテーマが印象的なのですが、これをオーケストラで演奏していて、スケールアップ。このアルバムでも一番の聞き物になっています。映画は結構血みどろらしいですが、切なくも美しいテーマはラブストーリーを思わせて、ホラー映画もあなどれないと改めて感心。

4、「スペル」より エンドクレジット
サム・ライミ監督のゲロゲロホラーの音楽を担当したのは、ホラー映画の実績が多いクリストファー・ヤング。最近は、メロディラインが曖昧な音楽が多かった彼の作品の中では、明快なテーマを打ち出しているもので、バイオリンのソロとコーラスがおどろおどろしいテーマを彩っています。こういうホラー映画の音楽はオーケストラの厚みがハッタリとなって効いてくるのですが、ここでは、エンドクレジットの長い曲できっちりと聞かせてくれます。

5、「ワルキューレ」より「They'll Remember You」
全編英語のドイツ軍秘話の音楽を手がけたのは、編集もする映画音楽職人のジョン・オットマン。どちらかというと、地味な描写音楽という印象の強い人なんですが、ここではコーラスも交えた重厚なテーマを聞かせていまして、まるでレクイエムのような音が聞き物です。

6、「レボリューション・ロード」より エンドクレジット
トマス・ニューマンによる独特のサウンドが印象的な映画でしたが、ピアノの反復音にストリングスが絡んでいく音をこのアルバムでもサントラに忠実に再現しています。

7、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」より 「Postcard / Daisy's Ballet Career」
ブラピ主演のドラマの音楽を手がけたのは、フランスからハリウッドに進出してきたアレクサンドラ・デスプラ。流麗なワルツが印象的です。

8、「デファイアンス」 より 「The Exodus」
シリアス戦争ドラマに、硬軟両方使い分けるジェームズ・ニュートン・ハワードが硬派な音をつけました。地味でもいい音楽なのですが、この曲、どっかで聞いたことあるような気がして。

9、「スラム・ドッグ・ミリオネア」より「Latika's Theme」
オスカー受賞のインドを舞台にした映画の音楽を手がけたのは、ハリウッドでも実績のあるA.R.ラフマーンが手がけました。シタールの音を交えたりしてインド風のタッチを出してはいますがメロディラインはアメリカ映画風のラブテーマになってます。8と9の曲は、ロンドン・ミュージック・ワークスが演奏しています。

10、「ニュームーン/トワイライト・サーガ」より「The Meadow」
バンパイアものですが、青春恋愛映画のカラーが濃い映画の音楽をアレクサンドラ・デスプラが手がけました。ピアノソロによるテーマはホラーというよりは恋愛映画風ですが、それでもどこか陰影があって、甘苦い予感がいっぱいな感じ。

11、「スタートレック」より「Hella Bar Talk / Enterprising Young Man」
新しいスタートレックの音楽を手がけたのは、近年乗りに乗っているマイケル・ジアッチーノです。明確なテーマはあるものの1フレーズより先の展開が弱いように思うのは、ジェリー・ゴールドスミスの「スタートレック」になじみ過ぎてしまったからかな。

2009年のサントラスコアの総決算というと大げさですが、重要なところを押さえていますし、演奏も聞き応えがあります。昔、日本のスタジオオーケストラが演奏した映画音楽のアンソロジー盤がたくさん出回っていました。20曲1500円のLPを何となくお得感もあって買って聞いてましたけど、最近はあまり見かけなくなっちゃいました。映画音楽、特にスコアものは売れなくなっているのかと思うと寂しい限りですが、その一方でこういう企画盤が出るのはうれしく思います。

プロフィール

einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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