FC2ブログ

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」が怖い

最近の映画で、面白かったのが「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でした。

R15指定とか、暴力描写がすごいといった前評判で、結構ビビっていたのですが、それらの描写は私にとっては何とか許容範囲でした。これを観たのは銀座東劇という古い映画館でして、昔ながらの映画館らしさを持った映画館です。銀座セントラルがなくなってからは、銀座の離れ小島みたいなポジションになってしまいましたけど、アクションものとかを上映するのにふさわしい映画館です。

妻と二人の子供と平和に暮らす田舎町のダイナーの主人(ヴィゴ・モーテンセン)が、現れた強盗二人組を返り討ちにして一躍ヒーローになります。すると、そのニュースを観たマフィアみたいな連中が主人公を狙ってやってくるのです。こういうお話って、日本なら、堅気になったヤクザのもとに昔の敵が現れて、過去に引き戻されるというような話になるんでしょうけど、この映画ではそういう過去のしがらみや義理人情みたいなものをクールに切り捨て、家庭人である現在にフォーカスをあてて物語が進んでいきます。その結果、一般市民と暴力との接点が丁寧に描写されていまして、カタギの人にもわかりやすい問題提起をしてくる映画に仕上がりました。全編に渡って静かにでも高いテンションでドラマが展開して見応え十分です。鬼才と呼ばれるデビッド・クローネンバーグ監督作品ですが、今回はコミックが原作で脚本も他人が手がけているのですが、映画としての出来は素晴らしく、緊張感あふれるドラマ展開が見事でした。

そうは言っても、暴力描写はかなり過激でして、クイックショットではあるのですが、結構ドキリとさせられました。エンドタイトルを観ると、特殊メイクのクレジットがなく、CGに視覚効果スタッフが多数クレジットされていましたので、どうやらCGによる残酷ショットを作りあげたようです。

演技陣が皆見事でして、主人公の妻を演じたマリア・ベロ、リアルな暴力の中に妙なユーモアを醸し出したエド・ハリスとウィリアム・ハートがヘビーなドラマに不気味な味わいを加えています。結局、人間は暴力性を持っていて、それを代々引き継いでいく動物であり、その種の保存ともいうべき連鎖を止めることはできないという展開は見ていて痛いものがあります。ラストのタメの演出で、観客は色々なことを考えさせられます。一体、暴力の連鎖を断ち切ることはできないのか、でも、「そんなのは当たり前だ」というメッセージが感じられるあたりが怖い映画です。

音楽を担当しているのが、クローネンバーグ作品ではおなじみで、「ロード・オブ・ザ・リング」をものしているハワード・ショアです。今回はオーケストラによるホラータッチの重厚サウンドで「ザ・フライ」や「イグジステンス」のラインを継承しています。サントラCDだけ聴くと、過去の音の焼き直しのようにも思えてしまうのですが、映画の中では非常に効果的に使われています。通常の彼の音楽でドラマを盛り上げる演出ではなく、テンションが一番高い部分ではむしろ音楽を消しているので、彼のおどろおどろの音が却って箸休めのように聞こえてくるのです。

1時間37分というタイトな時間に収まった映画ではありますが、シンプルな構成でじわりとくる怖さは本物です。

スポンサーサイト



横浜東宝会館の記憶

横浜の映画館もだいぶ様変わりしてしまいました。きれいとは言えないけど、とにかくでっかい画面で大迫力だった横浜ピカデリーが閉館したときも少しは残念感があったのですが、やはり、閉館して、「ああ、がっくり」を実感したのは、横浜東宝会館です。

横浜に引っ越してきてから、映画を観るときはまずここをチェックしていました。一つの建物に、5つの映画館が入っていました。1階の横浜東宝、2階の横浜東宝エルム(「横浜東宝」の2階席を独立させたそうですが、それでも結構なキャパ)、4階の横浜スカラ座、地下の横浜東宝シネマ1とシネマ2という双子の劇場というふうに、シネコン風なつくりですが、それでもそれぞれの映画館にカラーがあったように思います。ここの映画館が好きだった理由に、最終回の終わったあとも、入り口で「ありがとうございました」と声をかけてくれて、プログラムも売っていたということが挙げられます。また、映画館が新しくはないけど常に小奇麗で、いわゆる映画館としての格が感じられる一方で、横浜、伊勢佐木町の映画館の中で一番敷居が低く感じられる劇場でもありました。

さらっと入って心地よく映画を観ることができたってのがよかったです。その心地よさの中には、相鉄系の映画館より空いていたってことがありまして、だから閉館に至ったのかなと思うと、複雑な心境になります。横浜東宝は70㎜の上映が可能でして、ここで「スターマン」「グラン・ブルー」や、最後の70㎜映画と言われる「遥かなる大地へ」なんてのを観ました。また、企画モノで、朝一回だけ怪獣映画を上映することがあって、ここでかなりボロボロのプリントの「サンダ対ガイラ」を観たのも懐かしい思い出となります。ここが閉館したのは、ワーナーマイカルみなとみらいができてしばらく経ってからでしたけど、確かに晩年のお客の入りはよくなかったようで、日曜日に横浜東宝に「ハート・オブ・ウーマン」を観に行ったら、あまりの観客の少なさに驚いた記憶があります。(映画そのものは面白いコメディだったんですが)

今、こういう映画館らしい雰囲気を持っていて、かつ親しみやすさも兼ね備えているところというと、私の近所では、藤沢オデオンの4つの映画館があります。ここは閉館して欲しくないですねえ。設備、雰囲気とか、横浜東宝会館のよさのようなものをこの映画館は持っていて、今の私のごひいき映画館です。

「映画だより」という番組の記憶

また、昔の話に戻ります。

私が子供の頃、夏休みとか春休みの前になると校門の前で映画の割引券が配られていました。東映まんがまつりの割引券は記憶にないのですが、東宝チャンピオンまつりとか大映のガメラの割引券は配られていました。なぜか、教室で先生が配るケースもあって、門の前、どっかのおじさんが配ってるのと何か違うのかなって思ったりもしたのです。どっちも怪獣映画なんですが。

当時は、静岡には民放は、静岡放送とテレビ静岡しかなかったのですが、このテレビ静岡で朝の11時ごろ「映画だより」という番組(10分から15分枠だったように思います。)をやってました。これは、映画の予告編ばっかりやる番組で、その後に「静岡東宝、浜松宝塚で絶賛上映中」とかテロップが出るというもの。夏休み、春休みには子供も観ることができるので、結構楽しみにしていました。たまにちょっとエッチな映画な予告編なんかもやって、ムフフなところもあったんですが、子供ですから、ゴジラやガメラの予告編が観られるのがすごくうれしかったです。「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」「ガメラ対深海怪獣ジグラ」といった映画の断片でも家のテレビで観られるってのは、子供にとっては至福の一時(大げさかな)でありました。ただ、邦画の予告編はなぜかみんな白黒で、洋画の予告編はカラーで放送されていまして、これが今もって謎なのです。

今はこういう番組は、ワイドショーの映画紹介にとって替わられた感はありますが、今、映画館へまめに足を運ぶようになった原点にこの番組があるように思えてなりません。また、怪獣映画の予告編だけのビデオとかDVDを買うオタクになってしまったのも、この番組のせいと言えそうです。

「エミリー・ローズ」はいいところついてる

また、新作の話ですが、「エミリー・ローズ」を川崎チネチッタで観て来ました。ここは休日はものすごい行列ができるんですが、窓口数が多いのでさっさと人がはけていきます。客筋も横浜の映画館よりいいという印象があります。

映画は、エミリー・ローズという女子大生が悪魔祓いの儀式の後、衰弱死し、その死をめぐって、悪魔祓いを行った神父(トム・ウィルキンソン)が過失致死で告訴されるというお話です。オープニングが大変静かで印象的です。荒野の中の荒れ果てたたたずまいの家に男が一人やってきます。誰もいないのかと思っていると、中から女性が現れて、男を中へと招き入れます。家の中には、若い男や中年の男女など何人もの人がいて、入ってきた男は検死医であることがわかります。そして、二階の部屋へと案内されます。ここまでの静かな展開がすごく怖いのですよ。ああ、これってすごいホラーなのかな?って思わせるのですが、場面が変わって都会のバーで強い酒を飲んでる女弁護士に話が移り、ドラマは法廷劇として展開していきます。

果たして、エミリーの死は、神父の悪魔祓いによるものなのかが法廷で争われます。エミリーは確かに奇妙なものを見たり聞いたりしているようで、精神科医にも通っていました。しかし、ある時を境に医学療法をあきらめ、神父と信仰の力にすがるようになっていきます。彼女にとっては悪魔にとりつかれたとしか思えなくても、周囲の人間からは、精神的な病気として見えてしまう。証言台に立つ精神科医は、医学的治療を中止したことが死につながったと証言します。しかし、神父自身も悪魔の姿を見、彼女の状態から悪魔憑きであると確信し、教会の許可を得て悪魔祓いを行ったのです。拒食や自傷行為に走る彼女を何とか救おうとし、医学療法も併用しようとした神父ですが、悪魔祓いの後、医学療法をエミリー自身が拒否したことがわかってきて、ラストで示される意外な真実は、なかなかに感動的でありました。

ここからは結末に触れてしまうので、ご容赦のほどを。

エミリーは病気だったのか、悪魔憑きだったのか、映画はそこんところは明確にしないまま終わります。ただ、ラストで示される彼女の手紙から、この苦しみを乗り越えるために、科学ではなく、神への信仰を選択したことがわかります。彼女にとって、悪魔だろうが病気だろうが同じこと、どちらにしても神に選ばれた彼女の試練として受け入れようとするのです。ここで、映画は、悪魔の存在云々よりも、人間が信仰に何を求めるのかという物語にすり替わる(表現よくないけどそんな感じ)のです。ここで、「へえー」と感心してしまいました。私から見れば、単に胡散臭いだけの「オーラの泉」のおっさんも逆境にある人にとっては、癒しや救いになるのかもしれないなあ、ってところに思いが至ってしまったのです。エミリーは神を信じ、神の試練を受け入れることで、死をもって、悪魔に打ち勝つことができたのです。宗教とか信仰ってのは、ギリギリのところにいる人にとっては、時として大きな力になる、だから、神父も命がけで信仰に走ることもできるんだなあってところがなかなかに感動モノだったわけです。

ただ、この映画では、弁護士の身辺でも不可思議な現象が起こったりするというのが、余計なエピソードでした。あくまで、内面世界で、医学と信仰の間の葛藤にしとけばよかったのに、客観的に悪魔の存在が実感できてしまうと、お話の興味が「悪魔は実在するのか」という方向に行ってしまうのです。そして、悪魔の実在については、この映画は結論を出さないので、ホラー映画としてのサービスのつもりが、却ってドラマの腰を弱くしてしまったようです。

そうは言っても、オープニングの荒野の一軒家という絵がまず見事でして、法廷劇の部分は見応え十分で、映画としての総合点はかなりいい線いってます。主演の弁護士を演じたローラ・リニーや神父役のトム・ウィルキンソン以外でも、キャンベル・スコットの検事、メリー・ベス・ハートの判事、さらに証言台に立つ、ヘンリー・ツァーニー、ショーレ・アグダシュルーといった面々が説得力のある演技を見せて、映画の格を上げています。特にエミリーを演じたジェニファー・カーペンターは悪魔憑きなのか精神的な病なのか、そのあたりを曖昧に見せながら大熱演しています。彼女は回想シーンでしか登場せず、それも悪魔に憑かれたシーンばかりで、正気の時に何を考えて行動していたのか、ラスト近くまで示さない構成でしたから、演技的にも大変そうでした。まあ、ホラー映画としてのハッタリ的ショックシーンもあるのですが、全体のドラマは重厚に仕上がっています。

この映画の音楽を担当しているのは、「屋根裏部屋の花たち」「ヘルレイザー」「ザ・フライ2」「ギフト」などでホラー映画では定評のあるクリストファー・ヤングです。この人、B級ホラーからどんどんメジャーに進出してきて、「ソードフィッシュ」「ラピッド・ファイア」のようなアクションもの、「スウィート・ノベンバー」のようなラブ・ストーリー、「シッピング・ニュース」「ワンダー・ボーイズ」といった人間ドラマまで手がける、いわゆる職人さん。この作品では、オーケストラとコーラスによる重厚なホラー音楽を書いており、映画のホラー的なショックはかなり音楽で盛り上げられています。サントラCDもあるんですが、これが不協和音に時々パーカッシブにストリングスが入ってビックリさせるという曲が多いので、夜のBGMには不向きかも。静かな曲もそれはそれで怖いですし。

「THE MYTH 神話」が意外な面白さ

昨日は新作「THE MYTH 神話」を観て来ました。ジャッキー・チェン主演の映画なんですが、なぜか日比谷みゆき座での公開。銀座地区も映画館のカラーが皆無になってしまいました。ちょっと前なら、ジャッキーの映画なら、日比谷映画かニュー東宝シネマでの上映と相場が決まっていたのですが、日比谷映画はすでになく、ニュー東宝シネマも有楽座として改築されてしまいまして、こういう映画を上映するにふさわしい映画館がなくなってしまいました。みゆき座はミニシアターの作りで、シネスコの画面も小さく、見易い映画館ではあるのですが、アクション映画にはフィットしません。こういう映画の似合う劇場が、銀座地区では東劇くらいしかなくなってしまったのはちょっと残念です。(後は銀座TOEI2か)

映画は秦の時代と現代を行ったりきたりする変わったつくりになってます。現代の主人公ジャッキーは考古学者なんですが、自分が秦の時代の将軍になってる夢をよくみるようになります。その夢の中でジャッキーは朝鮮から秦に嫁いできたお后とかなわぬ恋に落ちるのです。そして、別件の調査で出かけたインドの山奥でそのお后の肖像画を見つけます。どうやら、その将軍やお后は実在したらしいのですが、それとジャッキーはどういう関係があるのでしょうか、というお話で。秦の時代のシーンでは大掛かりなモブシーンもあり、またクライマックスはCGを駆使したファンタジックな見せ場もあります。監督は、私のジャッキー映画のベスト「ポリスストーリー3」の監督スタンリー・トンで、アクション監督出身らしい、見せ場をつないで飽きさせません。さらに、今回は、ヒロインに韓国のキム・ヒソン、サブヒロインとして、インドのマリカ・シュラワットを招いていて、特にキム・ヒソンの悲しいヒロインぶりがよかったです。ジャッキー・チェンのアクションも最近の彼の映画の中では、シリアスとコミカルと両方交えて頑張っていまして、ラスト近く、彼と部下の死地へと赴くシーンはホロリとくるものありました。に、しても、なかなかビックリの結末はすごいです。てっきり生まれ変わりのお話だと思っていると、実は....というオチは一見の価値あるかも。そして、エンドクレジットにはきちんとお約束のNG集も入っています。ヒソンが中国語の発音にNGを何度も出すシーンがかわいいんですよ。「発音、ムズカシー」とかって。

この映画の音楽は、ネイサン・ウォンとゲイリー・チェイスの二人がクレジットされていて、サントラCDもあります。また、別の人の手になる「美麗的神話」という主題歌をジャッキーとヒソンがデュエットしていまして、いかにもなラブバラードに仕上がっています。その他の曲は、RC(かつてのMV、ハンス・ツィマー一派)とジェームズ・ホーナーの中間あたりを行ってる感じで、オーケストラとコーラスにパーカッションのインパクトが入るというもの。RCとジェームズ・ホーナーの中間というと、ジョン・デブニーのようにも思えますが、そこまでの音の厚みがないのが惜しいところです。でも、ドラマを盛り上げるところはきちんと盛り上げていますから、この先、テレビのスポーツドキュメンタリーとかで重宝されそうな音です。(後、低予算ドラマとか)そういう意味では、感情移入しやすい親しみやすい音楽とも言えましょう。

静岡小劇場の記憶

静岡小劇場というと今や数少ないピンク映画の上映館として、ある意味では全国的にも知名度のある映画館ですが、私が幼いころは、日本映画専門の名画座でした。番組は週変わりの邦画1本立てで、250円だったように思います。邦画はあまり観なかった私は2,3回しか足を運んだ記憶がないのですが、まずビルの屋上にたってるってのがインパクトありました。そして、映画館というには、座席数100席程度でスクリーンも小さいってのが第一印象でした。今や小さな映画館なんてヤマほど見て来ているのですが、当時、オリオン座とか有楽座を映画館だと思っていた私にはちょっとしたカルチャーショックではありました。こんなのでも映画館なんだって感じです。フラットな場内の小さなスクリーンで観たのは東宝映画「東京湾炎上」でした。「日本沈没」を当てた東宝がパニック映画のブームに乗って作った映画ではあったのですが、パニックものではなくて、シージャックされたタンカーのサスペンスものに強引に特撮シーンを割り込ませた内容でして、本筋とは全然関係ない金沢碧さんがきれいだったという印象が残ってる映画です。でも、こういう形で、見逃した映画を押さえることができたのはいい時代だったのでしょう。映画界(特に邦画界)は斜陽のピークだったころではないかと思うのですが、それでもこういう映画館があったことは記憶しておきたいです。

普通に映画を上映することもあって、ここで、「史上最強のカラテ」と「ビッグマグナム77」の二本立てを観た記憶があります。

静岡カブキの記憶

また、静岡の映画館の話です。

今は静岡は七間町近辺に映画館が固まっているのですが、そのもう少し県庁寄りに向かって、両替町へ行く手前を右に折れると静岡カブキという映画館がありました。私が映画を観るようになった頃は、洋画の成人映画(いわゆる洋ピン)の専門館になってまして、純朴な青少年には近寄りがたい映画館でありました。ところがここはもう一つの顔を持ってまして、ディズニーの映画を上映するときがありました。「ファンタジア」とか「くまのプーさん」とかを夏休みは上映してました。後、「女体の神秘」なんてのもやっていたのかな。そして、さらにまれに普通の映画を上映することもありまして、私がここに初めて入ったのは「セント・アイブス」と「暁の七人」の二本立てでした。座席数は1975年の映画年鑑によると、422席でして、キャパとしては、有楽座や名画座と同等ですが、スクリーンの大きさは両者の中間くらいだったように思います。一つの建物が1つの映画館というつくりでした。当時でもそういう一戸建て(?)の映画館は少なくて、他は静岡東宝くらいでしょうか。小劇場も一戸建てといえなくもないですが、ビルの屋上に一戸建てですからね。

「セント・アイブス」は、当時のビッグスター(に陰りが出始めた頃の)チャールズ・ブロンソンが主演の探偵アクションもの。近々、DVDが出るようですが、J・リー・トンプソンの手堅い演出と、脇の役者の面白さもあって、今観ても結構楽しめる映画になってます。「暁の七人」は第二次大戦のチェコを舞台にドイツ高官の暗殺からその報復を描いた戦争映画で、かなり重い内容ながら、アクションあり、ラストに主人公(ティモシー・ボトムズ)が教会に立てこもる悲壮感あふれる展開は、ドラマチックな音楽(デビッド・ヘンシェル)のサポートもあって見応え十分でした。こうしてみると、どちらも最近、公開されることのないタイプの映画と言えそうです。

その後、静岡カブキがなくなり、一時期、並木座の二階席を独立させて、そこを静岡カブキとして、洋ピンを上映していた時期がありました。これは、今のミラノ2の前身です。

立体音響の記憶

私が学生の頃、静岡の映画館で、立体音響の設備があった映画館はそう多くはありませんでした。

まず、最初から設備を持っていたと思われるのは、オリオン座と有楽座、そしてアートシアターミラノでした。その他の劇場にはなかったと思います。いわゆる磁気4チャンネルステレオの設備です。「スターウォーズ」も静岡では磁気4チャンネルステレオ音響で上映されました。その後、「影武者」が、有楽座と静岡東宝の両方で上映された時に、静岡東宝にも磁気4チャンネルステレオ音響の設備が入ったと覚えています。また、静岡名画座にも、「野性の証明」の時に磁気4チャンネルステレオ音響の設備が入りました。静岡名画座はその頃から封切館として固定したように思います。

やっぱり、映画館で立体音響ってのはうれしいもので、音が周囲から聞こえるとそれだけでうれしくなります。私が静岡で観た映画で磁気4チャンネル立体音響だったのは、オリオン座で「キングコング」「ザ・ディープ」「黄金のランデブー」「ワイルドギース」「ハリケーン」「地球が燃えるつきる日」があり、有楽座で「ガントレット」「コンボイ」、アートシアターミラノで「未知との遭遇」「サスペリアPART2」「ポルターガイスト」、名画座で「野性の証明」「復活の日」「ハロウィン」「テイクオフ」といったところです。「ポルターガイスト」はドルビーステレオが定着してきたころだったのですが、静岡で公開されたのは磁気4チャンネルステレオ版でした。これは、いわゆる磁気テープの音を拾うようなものなので、テープのヒスノイズが聞こえるときがありました。

今や、ドルビーステレオが当たり前、多くの映画館がデジタルサウンドの設備を持つようになりましたけど、当時は、立体音響は珍しかったように思います。特に、東京での公開では立体音響なのに、静岡に配給されるフィルムがステレオじゃないことも結構あったように思います。静岡でリバイバル公開時に観た「2001年宇宙の旅」はモノラルでした。

その後、静岡の映画館でもドルビーステレオの設備が徐々に普及していkます。

ちょっと「クラッシュ」の話

昔の映画館ばかりでなく、最近も映画は観ているので、そこから一つ。

アカデミー賞作品賞を取った「クラッシュ」を横浜ニューテアトルで観ました。横浜伊勢佐木町に残っている数少ない映画館の一つ。小奇麗とは言い難いし、スクリーンも小さいし、音響もデジタルじゃないけど、ちょっと映画観るにはいい映画館。

「クラッシュ」は現代のアメリカを舞台に様々な人間の悩みや愛情、善意や悪意を、群像ドラマの中に見事に散りばめた一級品の映画。好き嫌いはあるかもしれないけど、「よくできてる」ってことは認めざるを得ないと思います。特に、予告編がすごくよくできてるんです。シリアスな群像ドラマであることが示され、映画のシーンが次々と現れるんですが、それが、まさか本編でこうなってるなんて、という驚きと感動は、予告編を観ていると倍増します。

黒人の自動車泥棒コンビが差別について一席ぶつところ、黒人テレビディレクターとその奥さんが白人警官から受ける屈辱、その白人警官の父親は前立腺を患ってつらい思いをしている、ペルシア人の雑貨店主は不当な差別から拳銃を買い込む、エリートの検事は不正警官の事件をもみ消そうとする、その事件を追う刑事は母親から行方不明の弟のことで責められる、と、もう出てくる連中はみんな不幸かさもなくばロクでもないようなのばっか。それなのに、人と人との衝突が生み出すのは、不幸だけではなく、善意もあれば、奇蹟もあり、一方にさらなる絶望を生み出します。そんな混沌の中で映画は終わるのですが、それでも、どこかに希望の灯を感じさせるところにこの映画のうまさがあります。映画を観に来てくれたお客に、現実の厳しさをしっかり感じさせつつも、ほのかな暖かな後味を残すのは、娯楽映画としてきちんと作ってあるからでしょう。登場人物に距離感を持たせる設定(不幸、病気、差別、被差別など)を描きながら、それでも、どこかで彼らに共感できる瞬間を持たせた脚本と演出の勝利だと思います。それは、「押しと引きのバランス」とも言えるものです。ポール・ハギスは、観客にお金を払って観る価値のある娯楽映画を作ったと申せましょう。

演技陣では、黒人ディレクターのテレンス・ハワードと、警官役のマット・ディロン、ライアン・フィリップが光っていましたが、その他の面々も大変いい仕事をしています。

音楽を「ネル」「ネバー・クライ・ウルフ」のマーク・アイシャムが担当しています。この人はオーソドックスなオーケストラ音楽から、自らフリューゲルホルンを奏でるジャズタッチのものなど、映画によって様々な音楽を書く職人さんですが、本作では、久々にニュー・エイジ・ミュージックというか、アンビエントというか、初期の作風に戻った幻想的な音作りで、リアルなドラマに一種別の神の視点を感じさせてくれます。

特殊音響センサラウンドの記憶

当時の映画はギミックというか仕掛けでお客を呼ぼうというものが結構ありました。

その中で私が実際に映画館で観たものにセンサラウンドがありました。

これは、特殊スピーカーを映画館に持ち込んで、爆発や振動の特殊効果を出そうというものです。
低音を目一杯効かせた音と思えばいいのでしょうが、家のオーディオでこれをやれば、家中が
鳴ってしまうのと同様、映画館の建物全体にその低音が響いてしまいます。特に一つの建物に
複数の映画館が入っているとその振動が他の映画館にも聞こえてきて、結構迷惑な仕掛けでした。
センサラウンド方式の第一作は「大地震」でしたが、これは未見でして、その後、公開された
「ミッドウェイ」「ジェット・ローラー・コースター」「宇宙空母ギャラクティカ」をこの
方式の上映で観ています。「ギャラクティカ」は予告編もセンサラウンドでした。この方式を
上映する前に「ご注意」という字幕が出て、これによりいかなる身体的影響を受けても一切責任
持ちませんよというようなナレーションが入ってた記憶があります。

静岡での上映で、「ミッドウェイ」と「ギャラクティカ」はオリオン座の上映でした。劇場内の
前と後ろにでっかいスピーカーが増設されていました。爆発シーンの迫力はビリビリくるすごい
ものでして、これはすごいと思ったんですが、下の有楽座で映画を観てたら、上からその轟音が
ビリビリ響いてきて、「ダメだな、こりゃ」と思った記憶があります。また、「ジェット・
ローラー・コースター」はオリオン座よりずっと小さな静岡東映パラスでの上映でしたが、
ちゃんと、センサラウンドのスピーカーが1台だけ置かれていまして、オープニングの爆発
シーンに迫力を与えていました。その後、公開作品がないんですが、使った映画に恵まれな
かったようです。「ジェット・ローラー・コースター」はサスペンス映画としてよくできたいた
んですけど、センサラウンドのおかげで、パニック超大作として公開されてしまったのが、
気の毒な映画でした。

静岡名画座の記憶(1)

私の通った静岡名画座は、今の静岡ピカデリー2にあたります。

初めて名画座の存在を意識して、観に行った映画はディズニーの「海底二万哩」でした。1本立てで
料金は200円(当時は中学生でした。大人は250円だったかな)でした。つくりとスクリーンの
大きさは今と変わらないのですが、座席は今よりもずっと多かったです。今、静活のHPによると
315席ですが、当時の映画年鑑によると420席とあります。中央通路からスクリーン寄りの2列が
女性席とあって、ちょっと新鮮でした。今もそうですが、スクリーンが奥まっていて、大きさも
小さいので、後ろの方に座るくらいなら、最前列でもいいやって気分になる映画館です。

「海底二万哩」は、カーク・ダグラスとジェームズ・メイスンの主演で、シネスコの画面と
色彩が大変きれいだったという印象があります。また、嵐の海での大イカとの格闘シーンが
迫力ありました。たぶん、リバイバル上映のプリントだったのでしょう。

この後、名画座は、2本立て上映となり、封切館と変わっていき、その後、静岡松竹と名前を
換えていくのですが、私がここでよく映画を観たのは、封切館へと変わっていく時期となり
ます。

引っ越してきた頃の横浜の映画館

横浜に引っ越してきた頃は、まだ伊勢佐木町にも映画館がたくさんあったころでした。

まだ、横浜駅前のムービルも今の位置ではなかったのですが、そこではあまりたくさん映画を
観ていないので記憶が曖昧です。

当時の映画館としては、横浜東宝会館、横浜ピカデリー、横浜オスカー、横浜日活、
横浜オデオン座(オデオンビルの上の小さい映画館)、イセザキシネマ(今の横浜
シネマリン、かな?)、横浜ニューテアトル(これは今も健在)、横浜日劇、シネマジャック、
シネマベティ、横浜松竹、伊勢佐木町東映、横浜セントラル、西口にっかつ、西口名画座、
関内アカデミー といったものがありました。このうち、横浜松竹、伊勢佐木町東映には
入ったことはなく、ごひいきだったのは、横浜東宝会館でした。これらの映画館の
ほとんどが閉館してしまっているんですが、その中でも、横浜東宝会館がなくなったときは
痛かったというか、残念でした。

物心ついた頃の静岡の映画館

まずは物心ついた頃の映画館のお話を。

私が最初に親に連れられて観に行った映画は「サンダ対ガイラ」という怪獣映画だったんですが、
これがインパクト強くって、同時上映だった「ジャングル大帝」はほとんど印象に残っていません。
これを上映していたのが、今はシネセブンという映画館集合ビル(シネコンと呼ぶにはちょっと)
になっている静岡東宝という映画館。コンクリートの床だったかな。小学生の頃は東宝チャンピオン
まつりという怪獣映画と数本のアニメの取り合わせばっかり観てましたから、小学生の頃の
映画館の記憶はここばかりということになります。家の白黒テレビの画像に比べて、映画館の
スクリーンは、その大きさよりも、画面のシャープさの印象が強かったです。

子供の頃、親に連れられて行った映画館というと、それ以外には、静岡東映(今は建て替えられて
ます)、静岡有楽座(これは今も健在、考えてみるとすごい)、静岡日活(今は静岡ミラノ3)、
静岡松竹(今の静岡オリオン座)、静岡大映(今の静岡ピカデリー1)くらいでしょうか。
当時はまだ、静岡にも白鳥や駒形劇場といった映画館があったようなのですが、これは通りかかる
ことはあっても、入ることはありませんでした。

プロフィール

einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR