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意外と好き「サイレント・ヒル」

また、新しめの映画です。実家のある静岡の静岡ミラノ2で「サイレント・ヒル」を観てきました。その昔の静岡並木座の2階席を独立させたもので、できた当初よりはスクリーンを張り替えたり、一応ドルビーSRを入れたりして映画館としての体裁を整えてますが、座席幅も狭いし、スクリーンも小さめで、静岡の映画館の中ではかなりマイナー。でも、昭和の雰囲気が濃厚な映画館はレトロな魅力があります。

ローズ(ラダ・ミッチェル)の娘シャロンは、夢遊病で時に「サイレント・ヒル」という言葉を口走っています。ある日、ゴーストタウンになっているサイレント・ヒルという街が実在することを知ったローズは、夫のクリストファー(ショーン・ビーン)に無断で、娘と一緒にサイレント・ヒルへ車を走らせます。しかし、その街にたどり着いたと思ったら、シャロンが行方不明になってしまいます。灰が降っている人気のない街を娘を探しまわるローズ。しかし、異様な風体の化け物が現れて、ローズを襲います。どうやらこの街には何か秘密があって、その秘密とシャロンが深く関わっているようなのです。一方、クリストファーもローズを追ってサイレント・ヒルへと向かうのですが、ローズを見つけることができないのでした。

モトは日本製のゲームだそうでして、ゲームの製作者やコナミが映画の製作にも関わっています。いわゆるホラーゲームのヒット作だそうなんです。確かに登場する化け物(この表現が一番適切と思われるゲロゲロ系のみなさんです)はいかにもゲームの映画化のような細かいこだわりを感じるのですが、物語がその化け物の存在を納得させるほどの世界観を作りえていないのが残念でした。まず、気色悪い化け物さんと、その器であるサイレント・ヒルという街を作って、そこへ因縁話を後付けしたという印象が強いのですよ。お化け屋敷としてはよくできてるけど、物語としての面白さを語りきれなかったという感じでしょうか。そこはゲームの限界なのかなあ。

監督は「ジェヴォーダンの獣」「クライング・フリーマン」といった、リアルでない世界観の映像化に実績のあるクリストフ・ガンスです。彼の演出は、物語をふくらましきれなかった脚本の映像化にはかなり健闘していまして、モンスターだけしか印象に残りかねない物語に独特の空気感を持ち込むことで、ホラー映画の佳作としてまとめあげています。特に最近のホラーにありがちな大音響や不意打ちのショックシーンを一切使わなかったところは評価したいです。確かにグロテスクな描写は多々あるのですが、それらがきちんとドラマの空気とマッチして、必然性を感じさせている(実際はグロが突出してるのに)のは、演出の力だと思いました。

お化け屋敷としての仕掛けが、大変豪華というか手の込んだ設定になっていまして、化け物のイメージ、灰降る街、不気味なサイレンの音など、怖がらせのためのサービスは過剰なほどです。登場人物はほとんど、観客と同じく、お化け屋敷のお客になってしまうおそれがありました。しかし、ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガーといった渋いけど個性派の面々が映像先行になりがちなドラマに不思議な落ち着きを与えることに成功しています。美術、SFXとも、視覚的に大変よくできた映画ですが、キャラがなかなか明快でないのを役者の存在感で補っていると言えましょう。

ストーリーは少女の怨念が町中の人を異世界に閉じ込めているというものなんですが、その一方で、閉じ込められた人々が神の名の下に一つのコミュニティを形成していて、そのコミュニティが狂信的なカルト集団になっているというかなり込み入った設定になっています。そして、ローズを娘のところまで導く少女の正体が死神だったり、神の名の下に警官を火あぶりにしたりと、神と悪魔の境界が曖昧になっています。善悪というよりは、全ては人間の悪意によってこの物語が成り立っているとわかると、ラストのアンハッピーエンドも、結局は人間の悪意の前には神も悪魔も無力であるように見えてきます。このペシミスティックな味わいは、アメリカ映画らしからぬところがあり、ある意味爽快とも思えるスプラッタ描写とは別の不快感を残す映画になっています。

ラストの華々しい阿鼻叫喚シーンを観て、レニー・ハーリン監督の「プリズン」を思い出したのですが、復讐の怨念が爆発するという点でも似たところがあるのかもしれません。

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「ロシアン・ドールズ」はおもろいが、もてるダメ男ってのは不満だぁ

ちょっと新しめの映画の話です。静岡シネギャラリーで「ロシアン・ドールズ」を観てきました。ここは、お寺さんの施設の中に座席数60ほどの小さな映画館が2つあります。ミニシアターをさらに小さくした映画館ですが、ドルビーデジタルは入ってるし、スクリーン位置が高くて前の人は気にならないし、東京のミニシアター系映画を上映してくれるので、映画ファンのサロン的な位置づけの映画館です。昔の静岡だとこの類の映画はミラノで上映していたのですが。

映画は「スパニッシュ・アパートメント」の後日談です。小説家を目指すグザヴィエも若いとは言えもう30。物書きとしては、人の自叙伝のゴーストライターやったり雑誌の記事を書いたりして何とかやりくりしてるけど、人生何だか停滞気味。最近は恋人もいなくて、昔の彼女マルティーヌの子供の世話をしたり。そんな彼にドラマの脚本の話が舞い込んできます。英語モノということで、かつて同居人だったウィリアムの姉アンジェラと共同で脚本を書くことになります。彼氏と別れたところのアンジェラとグザヴィエは急接近。ところが一方、モデルの自叙伝を書くことになったグザヴィエ、そっちもなんとなくつまみ食いしながら、関係を続けようとするのですが、そうはうまくは行きません。何となく年を重ねていくグザヴィエのダメぽい恋愛模様はどうなるのでしょうか。

前作の「スパニッシュ・アパートメント」は劇場で観ているのですが、あまり印象に残っていなくて、この映画についていけるのかなという不安もあったのですが、特に前作を知らなくても堪能できるドラマに仕上がっています。監督のセドリック・クラピッシュや、グザヴィエ役のロマン・デュラス、マルティーヌ役のオドレイ・トトウらは皆前作からの引き続いての登板です。

物語はあってないような感じでして、グザビエの30を迎えた日々を淡々と綴っていくという感じでしょうか。ドラマチックになりそうな要素はいくらでもあるのに、ちっともドラマチックにならない。出会いがあっても、ハッピーエンドになったとは言いがたいし、別れがあっても、それが永遠の別れとは思えない、そんな、人生の通過点をスケッチしたような内容です。主人公が電車の中で、自分の最近の出来事をパソコンに書き連ねているという設定が、そのままドラマの構成になっているというのはなかなか面白いと思いました。クラピッシュの演出は、グザヴィエの周りでだけ時間がゆっくりと回っているような見せ方をして、なかなか年相応に成熟しない主人公を突き放しているように見えます。

とはいえ、グザヴィエは女にモテるんですよ。ホントにダメな奴なら、こんなに女にもてるわけはない、マルティーヌのような女友達ができるわけはない、そのあたりが、私のようなシリアスダメオヤジからすれば、かなり不満。それに、仕事だって、自分の夢の周囲をウロウロしているわけで、決して夢から覚めたわけではない。こんなおいしいポジションでぐずぐずしていられるグザヴィエ君は、かなりうらやましい存在です。アンジェラから想いを伝えられて、それに応えられずに気まずくなるのを、いかにもダメ男のように描いているのですが、ホントのダメ男は女性から相手にもされず、想いを告げられるなんて、一生ありえないのですから、これをダメ男のように描かれると、我が身がものすごくミジメに見えてきます。

そういう身につまされる部分を除くと、この映画はなかなか面白い映画に仕上がっています。特に、主人公の元カノを演じたオドレイ・トトウが面白いキャラで印象的でした。この人、年を取ると急に老け込むタイプなのかなあって思ってたところあるんですが、子持ちの30女が結構ガラにあってて、その上かわいくて魅力的。「堕天使のパスポート」「ダヴィンチ・コード」のような訳アリヒロインよりも、こういうリアルな脇キャラで光ることがわかったのが収穫でした。

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Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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