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「サンチャゴに雨が降る」は美しく感動的なピアソラサウンド


1976年に日本公開された「サンチャゴに雨が降る」はチリのアジェンデ政権が軍事クーデターにより倒されるまでを描いたドラマです。詳細は30年以上前のことで曖昧なんですが、いわゆる人民政府が資本家層と対立し、軍部がクーデターを起こす内容で、講堂のような場所に集められた若者の中で、みんなを鼓舞する歌を歌いだした若者が制圧軍にボコボコにされるシーンが印象的でした。この映画の音楽を担当したのが、タンゴ界の巨匠アルトル・ピアソラです。映画公開時にサントラLPが発売されたのですが、その後CD化されていませんでした。

このCDは、「ヘンリー四世」「ローマに散る」とのカップリングなんですが、この映画の曲が6曲入っています。公開時のサントラLPが7曲だったので、このCDでほぼカバーできていると言えます。映画の中では、全曲が使われなくて、曲の部分部分が使われていたのですが、こうしてきちんと曲としてまとまったものを聴き直すと音楽としての素晴らしさを再認識できます。

テーマ曲である「サンチャゴに雨が降る」がバンドネオンによるシンプルな美しいメロディが盛り上がるとそれをバイオリンが引き継ぎバンドネオンがさらにかぶさっていきます。透明感のある音が盛り上がっていくところが圧巻です。また、シングル盤のB面に入っていた「ホルヘ・アディオス」はバンドネオンが泣きの音を聞かせてバイオリンのメロディラインと絡んでいくもので、これはピアソラのタンゴらしい音になっています。「サルバトール・アジェンデ」では静かなタッチで始まって、ドラマチックで感動的な音に盛り上がります。楽曲の中には、他のピアソラのアルバムで聞かれるものもあるんですが、全曲インストゥメンタルのこの「サンチャゴに雨が降る」は貴重な音かもしれません。

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「サスペリアPART2」はゴブリンのベスト


日本では「サスペリア」で有名になった監督ダリオ・アルジェントと音楽担当のゴブリンなんですが、そのコラボは前作の「サスペリアPART2」(邦題は続編だけど中身は「サスペリア」の前作)に始まっています。この映画では、もう一人、ジャズ系で有名なジョルジョ・ガズリーニが共同で音楽を担当しており、まず、ガズリーニ単独で音楽をつけていたところへゴブリンが後から参加したと言われています。

メイン・テーマの「Profondo Rosso」はキーボードによる不気味なアルペジオから高音域でメロディがかぶさって盛り上がっていくと、パイプオルガン風の音で大盛り上がりとなります。前半部分が大変印象的で映画の中でも殺人鬼を象徴するシーンで大変効果的に使われています。また、殺人シーンに流れる「Death Dies」というジャズ風のロックサウンドも大変見事で、速いテンポのベースにピアノとギターが大変複雑に絡み合う密度の濃い音になっています。この2曲が映画の中で大変インパクトがあるので、「サスペリアPART2」の音楽がゴブリンによるものであるという印象を与えるのですが、実際は全体の半分の音はジョルジョ・ガズリーニによるものでして、特に殺人シーンの前兆に流れる不気味な子守唄であるとか、静かなテーマ「Gianna」はガズリーニによるものです。日本で発売されたアルバムでは全曲ゴブリンによるものであるような見せ方になっていましたが実際はそうでもないというのが最近発売になった「Complete Edition」に各曲ごとの担当が明記されるようになりました。一見、ゴブリンの音にように思えた「Wild Session」「Deep Shadows」といった曲が実はガスリーニによるものだったというのが発見でした。どちらもプログレシブ・ロックの音になっていたので、ゴブリンのそれだと勝手に思い込んでいました。

映画としては、連続殺人モノをベースなんですが、ホラーっぽい仕掛けをあちこちに施してあり、アルジェントのそれまでの殺人鬼ものと「サスペリア」との橋渡し的内容になっているのですが、音楽は、「サスペリア」と比べて、サスペンス色の濃いものになっており、犯人の異常心理を描写するようなぶっ飛んだ音というよりは、異常な殺人シーンを的確に描写する音になっています。少しだけガスリーニによるオーケストラサウンドが入っていますが、これは回想シーンに流れるもので、ここだけが、ドラマも含めてノスタルジックな味わいになっています。

この後、ゴブリンは「サスペリア」「ゾンビ」へとだんだんぶっ飛んだ音に変わっていくのですが、この映画のサントラが音楽的には一番中身が濃くて聴き応えがあるように思います。

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einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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