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「恋愛睡眠のすすめ」はうらやましい困ったちゃんのお話

新作に「催眠恋愛のすすめ」を渋谷シネマライズで観て来ました。全席指定というのはちょっと面倒なんですが、そこそこの大きさのスクリーンでデジタル音響もあり、フラットな1階席に対してスクリーン位置が高いところにあるのは、評価できる劇場でした。

ちょっとばかり変わり者ステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)が母親に言われて母親が大家のアパートに引越し、カレンダーの製版係になります。最初はデザイナーと思っていたのにそうでなくってちょっとがっかり。そのうっぷんを夢の中で晴らしています。また、隣に引っ越してきたステファニー(シャルロット・ゲンズブール)と何となくいい雰囲気になるのですが、その想いをうまく伝えられずにいて、夢の中で関係が進展してます。現実よりも、夢の中の方にリアリティを感じてしまい、現実のステファニーとうまくいかないステファンの恋の行方は?

「エターナル・サンシャイン」で、恋愛映画の変化球を投げたミシェル・ゴントリーが脚本、監督した本作はまたしても変化球。夢の中に逃げ込んでばかりいる、シャイで変わり者ステファンの恋のお話。相手のステファニーもちょっと夢見る不思議ちゃんみたいなところがあって、釣り合いがとれていそうに見えて、ステファンの変人ぶりがちょっと危ないレベルなものだから、恋の成り行きもなかなか危うくて、見ていてはらはらさせられるという寸法です。

ステファンは何かというとママへの依存度が高くて、災害シーンのイラストカレンダー「災害論」をアピールしたり、夢と現実がごっちゃになって、現実の恋のチャンスすら逃がしそうになったりと、かなり困ったちゃんです。映画の中でも、どこまでが夢で、どこからが現実なのか曖昧にしているところがあるので、どこまで真に受けていいものか迷うところもあるのですが、とにかく夢に振り回された挙句に、彼女を失いそうになるのですから、これはビョーキと言ってもいいでしょう。夢が現実世界での行動を妨害するというのは、考えてみれば怖い話なんですが、映画はそこを深追いしないであくまで主人公の困ったちゃんを微笑ましいレベルで描きます。

ステファンの夢は、アニメを中心に描写されて、どこかノホホンとした味わいがあります。CGとかで想像を超えるようなモンスターを出したりしないで、紙細工の町とか自動車、粘土の火山など手作り感のある映像はなかなか魅力的です。ステファンが空を飛ぶシーンはいかにも特撮という絵作りをしてますし、その拙い感じが、ステファンのある種の幼さという見せ方をしているのがうまいと思いました。

では、二人は破局を迎えてしまうのかというと、そうはならないのが、正直言って不思議です。ステファニーがきちんと一人の人間としての存在感があるおかげで、ステファンの一人空回りのような恋をうまく着地させています。ステファンの存在感がどうにもあやふやしていて希薄なのに対して、ステファニーは演じているシャルロット・ゲンズブールの好演もあって、不思議ちゃんなのに存在感があるというのに感心しました。彼女あって、強引なラストが生きたという感じでしょうか。

でも、ステファンのように夢の世界の中で遊んでいられたら、幸せなんだろうなあって思います。この映画のなかで、半分はステファンは寝てるわけです。そして、カレンダーの製版という仕事の方が現実感が希薄なんですもの。誉められた生き方ではないけれど、何だかうらやましい、ガエル・ガルシア・ベルナルが幸せそうに演じているので余計目にそう感じてしまいます。

ただ、ミシェル・ゴンドリーがそんな夢の世界に遊ぶことを単に「どう?楽しいでしょ」という見せ方しかしていないのには不満も覚えました。現実に直面することも大事だという見せ方もできましょうし、夢の中にこそ人の幸福があるんだという見せ方もできたでしょうが、そのあたり、どうにも中途半端なので、結局オモチャの馬に二人が乗って旅立つ絵を見せたかっただけのように思えてしまうのでした。それとも、私が夢を素直に楽しめないつまらない大人なのかも。

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einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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