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「死刑台のエレベーター」は、言い方悪いけど隅々までバカばっか(ボロクソでございます)

今回は新作の「死刑台のエレベーター」を静岡ミラノ1で観て来ました。ルイ・マル監督「死刑台のエレベーター」は未見ですので、全く新しい映画としてスクリーンに臨みました。タダ券をもらって、どれを観に行こうか迷った結果の選択でしたが、いやー、良くも悪くもタダで観てよかったです。(理由は後述)

手都グループの会長(津川雅彦)の妻、芽衣子(吉瀬美智子)は、会長の配下でもある医師時籐(阿部寛)と不倫関係にありました。芽衣子の発案で、会長殺害計画を実行にうつすことになり、時籐は、銃を持って会長室に向かい、会長を殺し、ビルを一度は出るのですが、移動時のロープの回収のために、またビルにもどってロープをとって帰ろうとしてエレベーターに乗ったのですが、そこでビルの主電源が落ちて、エレベーターの中に閉じ込められてしまいます。一方、外では、ヤクザといざこざを起こした赤城巡査(玉山鉄二)が拳銃を奪われてしまう、そこにたまたま居合わせた美容室の店員美加代(北川景子)が、時籐の車を盗んで、奪われた拳銃を追跡します。追った先はヤクザのボス神(平泉成)と愛人朔美(りょう)の車。なんとびっくり朔美と赤城は愛人関係だったんですって。一方、時籐からの連絡がないまま、芽衣子は横浜の街をさまよっていたのです。


この先、この映画を(本気で)ボロクソに言ってますので、未見の方、またはこの映画を堪能された方はパスしてください。



名作のリメイクということなのですが、オリジナルを知らないので、期待できるところありました。タイトルでも、「オリジナル ルイ・マル監督 死刑台のエレベーター」と出ますから、正式なリメイク作品のようです。「のんちゃんのり弁」の緒方明が監督しているということで、まあ期待は半減、そこそこのデキなら御の字というつもりだったのですが。

主人公時籐は、戦争地域に病院を建設すべく会長を説得していて、会長もそれに対して前向きに相手してくれてました。という、設定に関係なく、奥さんとデキちゃったからという理由で、その奥さんのほとんどそそのかされた感じで、時籐は、会長を殺しちゃうのです。ところが証拠品回収のために一度ビルに戻ったら、エレベーターに閉じ込められちゃったから、さあ大変。と言いたいところですが、あんまり大変そうでもないんですよね。いやいや人を殺したって風情でもないし、時間に追われてるわけでもないので、共感もサスペンスも湧いてきません。ヒロインである芽衣子も、なぜダンナを愛人に殺させなきゃならないのかという説得力がないですし、ひたすら、連絡を待って横浜の街をウロウロしてるってのがかなりマヌケ。ダンナの生死くらい確認できないのかと思うのですが、ヒロインがバカというより、脚本がバカに見えてきました。例えば、主電源オフにしなきゃエレベーターを止められないし、非常電話もないエレベーターにしなきゃいけないせいか、歴史あるビルを舞台にしてますが、そういうときって、現代ならではの工夫とかするんじゃないの? 今時、主人公がたまたま車に携帯電話を忘れてエレベーターで孤立してしまうとか、盗まれた車を芽衣子が目撃して愛人に女ができたのか疑うなんて、偶然が強引すぎるんでないかい? 

並行して描かれるのが赤城巡査と美加子が、ヤクザのボスと愛人を追いかけて、ついには殺してしまうという展開です。この赤城ってのが、登場してからずっと得体の知れないビョーキキャラで、自己チューを通り越して、精神疾患の人でないかと思わせるのですよ。そんな得体の知れない気色悪い男についていっちゃう美加代って一見バカっぽいのですが、これがホントにバカ。さらに、偶然のなりゆきか、ボスと愛人と一緒に箱根のコテージに宿泊しちゃう。そして、赤城は、愛人に「私のために、ダンナを殺せる」とかそそのかされて、勢いでヤクザのボスをホントに殺しちゃう。愛人に逆上されたら、ついでに愛人も殺しちゃう。そして、美加代の家に転がり込んじゃう。どういう成り行きの話やねん、本田薫子って人が脚本書いてるのですが、正直、話がいいかげんすぎないかしら。登場人物がバカ過ぎてイライラするってことは、時としてあります。この映画の場合は、滅多にないことですが、作り手がバカすぎじゃないかってイライラしてしまいました。お話が面白かったり、役者がいいとか、音楽がいいとか、目の保養になるとか、どっかいいところあれば、そこでモトを取れるというのが、私の映画の見方なんですが、とにかく、この映画はイライラさせられっぱなしでした。(私は、オリジナル観てませんから、オリジナルとの比較はなしで、この映画、評価してます。)

そして、お話の軸が、ヤクザと愛人殺人事件に移ってしまい、現場に残っていたのが時籐の車だったので、彼が指名手配されてしまいます。一方、時籐はエレベーターに一晩閉じ込められて、朝、主電源がオンになって、外に出ることができました。で、外に出て喫茶店に行ったところで通報されて逮捕されてしまいます。一方、芽衣子は一晩中ウロウロしてただけのようで、自分のダンナが死んだことを警察からの電話で知ります。そして、美容室の女が時籐の車に乗ってたことを(ものすごい偶然に)知り、美加代の部屋に乗り込んで、タンカをきった後、部屋から出て殺人の証拠が残っている箱根の写真屋へ行く赤城を尾行します。殺人現場の遺留品のカメラから、写真の存在にきづいた柳町刑事(えもとあきら)ら警察が先回りしていて、赤城は逮捕されます。後から、写真館の現像室に入った芽衣子を待っていた柳町が、芽衣子と時籐の不倫の証拠写真を示して、もっともらしい理屈を言って、おしまい。

ヒロインである芽衣子のモノローグがナレーションのごとく随所に現れるのですが、結局、彼女も最後まで事の全貌を把握していないので、お話の支えになっていません。また、緒方明の演出は、シーンのつなぎが全体的におかしいので、物語がうまく流れていきません。シーンごとに別人がバラバラに統一感のない演技をするという「のんちゃんのり弁」と同じパターンでして、登場人物の存在感が出ず、ツッコミはできるけど、共感はできない皆さんのコント集みたいな感じになっちゃいました。

つながりというのは、例えば、主人公の時籐は殺人を犯した後、エレベーターに閉じ込められるというめったにない出来事に遭遇しますが、それが翌日、彼の行動や言動に何の影響ももたらしていないようなのです。美容師の美加代は、殺人を犯した赤城と心中しようとして、ビンで彼をなぐって、自分も睡眠薬を飲むのですが、翌日は「死ねなかったー」ってゲロ吐いてるだけですし、赤城も何事もなかったようにしています。だったら、エレベーターに閉じ込められるというアクシデントも、心中し損なうという事件も、ドラマとして「なくてもいいじゃん」ということに見えます。普通、ドラマを観ていて、その流れに身をゆだねることができれば、そんなことに気付いたり、感じたりすることはありません。でも、この映画は、主要エピソードが意味ないじゃんって思えてしまうのです。これは、脚本が基本ストーリーを消化できていないのか、演出が観客を引っ張るのが下手なのかのいずれかではないかしら。

趣向としては面白いのですから、お話の膨らませ方で、ドキドキハラハラも、感情移入もできたかもしれません。でも、出てくる連中みんなバカに見えちゃう。たくさんいる登場人物の中で、それなりに役柄を貫徹できているのは、女刑事役の熊谷真美くらいで、後はみんな登場シーンごとに別人のような行動に出る、底の浅い皆様なのです。確かに映画の中で、そういうアラが出ちゃうこともあるのですが、この映画はアラばっかで、アラ以外のところがなかったという点で、私にとって非常に珍しい映画になっちゃいました。そういう映画にあたる機会がなかったことが幸運だと思うべきなのかしらん。

〔追記〕
この映画を観たあと、DVDでオリジナル版を確認しました。基本的には同じ話なのがびっくり。また、登場人物のキャラの描き込みが浅いのも同じでさらにびっくり。でも、一番びっくりだったのが、そんなオリジナル版なのに突っ込みどころが少なくて、見所聴き所がたくさんあったということ。この記事で書いた映画に対する文句(苦情?)は、オリジナル版にもあてはまるのですが、それが気にならないのですよ。突っ込む隙を与えずに、お話がサクサクと進んで、要所要所の映像や音楽で観客を楽しませるので、見終わってみれば、なかなかに面白い映画でした。やはり、映画ってのは、上映中は観客を引き込んで、あの手この手で楽しませてくれれば、多少のアラも気にならない、むしろ多少の欠点もかわいく見えちゃうってところがあるようです。
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フジサワ中央が閉館して一ヶ月  藤沢から映画館が消えて一ヶ月

もうタイミングを逸してしまった感がありますが、忘れる前に記録しておきます。2010年の8月31日に神奈川県藤沢市のフジサワ中央が閉館しました。これで、藤沢市から映画館はなくなってしまいました。昔は、藤沢オデオン系4館に、藤沢みゆき座とか藤沢中央とかありまして、映画を観に行く町だったのですが、遂に映画館のない町になっちゃいました。

フジサワ中央は、藤沢駅の北側、かつての繁華街と思われる通りの3階と地下1階にある映画館です。中央1は207席の街中の映画館としてはそこそこ立派な作りです。中央2は126席の小さな映画館で、こっちは1度行ったことあるのですが、狭くて小さなスクリーンとあまりいい印象はなかったです。

フジサワ中央1は、最近も「エリザベス・ゴールデン・エイジ」「パラノーマル・アクティビティ」を観に行きました。音響はアナログのドルビーステレオだけですが、座席数の割りに空間は広く、スクリーンもミニシアターというよりは、見上げる感じの昔ながらの映画館のつくりになっています。ビルの作りも古いと言えば古いのですが、昔の映画館のあるちょっとした敷居の高さと大人の世界っぽさが感じられます。こういうところに、小さいころたまにマンガ映画に連れてきてもらうことで、大人の世界に入った気分になり、それから、映画人生やヤンキー人生とかが始まるという、大人への入り口だったのではないかしら。今の整然としたシネコンは昔の映画館のようないかがわしさがないので、老若男女がみんな平等に並んで待っていたりするのですが、フジサワ中央のような映画館に大人向け映画を観に来ると、やはり大人の世界というか、大人優先ってこういう感じなんだよなあって実感できます。でも、その敷居の高さは、地方都市の映画館ではお客さんの足を遠ざけてしまうので、いろいろなサービス企画を立ち上げたり、いろいろなアート系映画の上映をしたり、と頑張っていたようです。私は、あまり来てなくて、これからは足を運ぼうかしらと思っていたところでの閉館でびっくり。

藤沢オデオンほど通いつめた映画館ではないのですが、昔ながらの地方都市の映画館がなくなっちゃうのは、その町の文化がなくなっちゃうように寂しく思います。(私は横浜市民ですけど)それだけ、経営が大変なのでしょうけど、町の映画館、本屋さん、喫茶店、蕎麦屋さんといったものは、その町の文化を支えていると思ってますが、最近、個人店がなくなっていくのは、チエーン店になっちゃっています。映画館で言うならシネコンがチェーン店に相当するのですが、藤沢は市外のシネコンに映画のお客さんを取られちゃった構図なので、余計目に寂しい気持ちがします。

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Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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