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「沈黙の復讐」はB級アクションという枠の中では及第点の映画


今回は新作の「沈黙の復讐」を銀座シネパトス1で観てきました。ここは、広さの割にスクリーンが小さいのが難点だと思っているのですが、結構、後ろの席の端っこで観ているお客さんがいるのが、個人的には不思議です。私なんか、前後はともかく左右の中央に座らないと気がすまない性質なのですが、映画を観るベストポジションも人様々なんだなあって感心。

ルーマニアのブカレスト、麻薬特別捜査官としてアメリカからやってきたボビー(スティーブン・セガール)はチームのチーフでしたが、捜査中に相棒を失っていました。その後任としてやってきたのはスティーブというアメリカ人。麻薬密売のアジトに踏み込んだことから、ロシアからの麻薬の元締めディミトリ(ダン・バダロウ)が浮かび上がってきます。そして、ディミトリと取引のある密売人コステル(ダーレン・シャラヴィ)が強盗殺人犯であることがわかり、ボビーは、ディミトリの線からコステルを追い始めます。麻薬の金の支払いが元で、ディミトリとコステルが衝突し、コステルは、ディミトリの家を襲い、彼の息子の前で、妻を殺害します。麻薬犯人を襲撃した自動車の登録先に向かったボビーとスティーブは、そこでコステルと鉢合わせとなり、銃撃戦の末、スティーブは撃たれて死亡。そして、ボビーとディミトリが復讐のために手を組むことになるのですが.....。

スティーブン・セガールが製作、脚本、主演の3役を手がけた一品です。スタントマン、スタントコーディネーターでもあるラウロ・チャートランドが初めてメガホンをとりました。ルーマニアのブカレストに来た捜査官が麻薬組織と戦うという設定でして、セガールが脚本、主演した「イントゥ・ザ・サン」のルーマニア版と言った感じでしょうか。「イントゥ・ザ・サン」では、セガールが日本を舞台にヤクザと戦ったのですが、今回もやはり外国人の捜査官という設定で、麻薬組織を相手に戦いを挑みます。一番の敵がクレイジーな若造というところも同じです。

スティーブン・セガールの映画も、何だかんだとコンスタントに公開されていまして、シネパトスで公開されるB級アクションものとしては、チャールズ・ブロンソンやジャン・クロード・ヴァン・ダムをしのぐ息の長さを誇っています。今回の映画も、数あるセガール映画の1本という位置づけになりまして、それ以上のものではありません。でも、今回は一応殺陣もありますし、派手な銃撃戦もあり、見せ場は押さえていますし、チャートランドの演出もトントンと話を進めていきますので退屈させませんから、娯楽作品としてのまとまりはあります。ただ、やたらとカット割りを細かくしたり、インサートカット、コマ送り、コマ落としといったテクニックの多用が、絵的に安っぽくなっちゃっいました。昔のトニー・スコットの演出みたいなのを臆面もなくやられても、お話は古臭い犯罪アクションなので、どうもしっくりと来ないのですよ。テレビでの仕事が多いマイケル・ニールソンの音楽も、いかにもハンス・ツィマー一派(RC)の音、特にトレバー・ラビンのパクリみたいで、やたらと鳴ってはいるのですが、凝った画面の効果音みたいな感じになっているのは残念。音も絵も凝っているようで、実はパクリ臭がぷんぷんするのです。こういう作りがかっこいいと思われた時代もあるので、そうは悪くは言いたくないのですが、絵をいじりすぎな演出がクドいのですよ。

お話としては、麻薬捜査官と麻薬の元締めが、最後は共闘することになるというもので、ギャングものの変形パターンですが、ありそうな話を無難にまとめている点では、セガールの脚本は意外と職人芸になっています。お互いの仁義を守るみたいな展開になるあたりも無理なく見せています。また、女性陣が運び屋とか殺し屋といった実働部隊として登場するのも面白かったです。

ただ、「イントゥ・ザ・サン」で日本をヤクザの国みたいに描いたように、この映画でも、ルーマニアは麻薬の国みたいな見せ方になってるのは、当のルーマニアの人にとってはどうなんだろなあって思わせる映画でおりました。ラストで、ボビーとディミトリが、この国を去るというところでも、ルーマニアがボロクソ言われてるのは、どーなの?って気がしましたもの。

こういう映画はいわゆるB級アクションというジャンルに入るものなのでしょうけど、大当たりは基本的にはないです。職人芸で手堅い作りになっていると当たりかなって気分になれる、ハードルの低いジャンルと言えましょう。スティーブン・セガールの映画は、とにかくセガールがムチャクチャ強いので、物語のバリエーションがつきにくいのですが、その中では超自然の力まで使って戦う「沈黙の聖戦」が割と面白かったように思います。ヒロインの魅力とか、大金かけた屋台崩しといったものはないので、魅力限定ではあるのですが、観る方が広い心で楽しむ気持ちがあれば、そこそこいけるという映画です。昔はこの類の映画は結構劇場にかかっていたのですが、ビデオ時代になった1980年代以降は段々と劇場ではお目にかかれなくなっています。また、こういうB級アクション映画の添え物ヒロインという立ち位置がなくなった分、女優さんの楽しみ方も減ってしまいました。ホラー映画のスクリームクイーンとも違う、いわゆる場末感のある女優さんが少なくなっちゃったように思うわけです。いわゆる時代の流れということになるのでしょうけど、こういう映画を劇場で観たいと思うのは、シネコンじゃない映画館で映画を観たいというのと一糸通じるものがあると思ってます。若い人にはわからないだろうけど、そういうニーズがあってもいいよねって感じなんですが、伝わるかしら。

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「ぼくのエリ 200歳の少女」のサントラは繊細さと重厚さの両方を併せ持った逸品


ホラー映画でありながら、ジュブナイルのような趣もあり、さらに恋愛映画のテイストも持った「ぼくのエリ 200歳の少女」の音楽を作曲したのは、スウェーデンのヨハン・ソーデルクヴィストという人。「ある愛の風景」「アフター・ウエディング」といったスザンネ・ピア監督作品も手がけているので、私にとっては初お目見えではないのですが、本作の音楽の素晴らしさで、改めて存在を再認識しました。編曲及び指揮をハンス・エクが担当し、スロヴァキア・ナショナル・シンフォニー・オーケストラが演奏しています。

切なく美しいメインテーマは、ストリングスやギターソロで何度も演奏されまして、これが映画のカラーを決めていると言えましょう。このテーマは、映画の中では意外や、主人公が普段別居状態の父親と会うシーンで効果的に使われていまして、切なさよりも心の安らぎを感じさせる音として使われています。

また、主人公を描写する音楽では、静かなピアノソロ(演奏は作曲者自身)にストリングスがバックを支えるというもので、どこか暖かみのある音になっています。フルオケを使っているだけあって、ストリングスに厚みがあるので、ドラマチックな部分も聞き応えがあります。一方では、環境音楽的な音作りをしていますが、シンセではなく、オーケストラを鳴らすことによって、音の統一感が出ました。ホラー部分は、オーケストラを前面に出したオーソドックスな映画音楽になっているものの、アルバムとしては、怖いけど美しい音に仕上がっています。

映画のカラーとしては、ホラー色が強いのですが、音楽に美しいメロディを盛り込むことで、ファンタジックな味わいを与えています。さらに、オーケストラの厚い音をつけることで、ドラマとしても厚みを持たせることに成功しています。

地方で映画の2館同時上映って珍しかったという記憶

「エクソシスト」のBDを観て、封切公開の時、あまりの混雑に、他の映画館も急遽番組を「エクソシスト」に変えてたことを思い出しました。静岡で、同じ映画を2館で公開するというのは、当時はなかったのではないかと思います。静岡で一番大きなオリオン座で上映していたのですが(しかも当時は2本立て)、あまりに人が溢れてしまい、向いにある、名画座でも上映することになって、係員が「名画座でも上映してますのでー」って叫んでいました。

東京ですと、「スター・ウォーズ」を日劇とテアトル東京で同時に公開するといったことはよくあったのでしょうが、地方ではそういうのは少ないのではないかと思います。今は、静岡でも、「ハリー・ポッター」シリーズなんてのが、オリオン座と有楽座という洋画2トップの劇場で同時公開されるようになりました。いわゆる、映画街全体を一つのシネコンみたいに扱うようになってからは、そういう上映も普通になっちゃいましたが、まだ、私が子供の頃は、映画館ごとのカラーが明快だったように思います。

私の記憶で残っているのは、70年代ですと「キングコング」がオリオン座で字幕版、名画座で日本語版が同時公開されていたのを思い出します。名画座という映画館は、2館公開のサブ的な位置づけで使われることが多く、「エイリアン」「スーパーマン」「復活の日」「野性の証明」などは、メイン館+名画座という公開になっていました。名画座は、メイン館に比べるとスペック(スクリーンの大きさ)が格段に落ちるので、かなり格差のある興行だったのですが、私はこれらの映画を全部名画座で観ました。「未知との遭遇」はオリオン座とアートシアターミラノとの同時上映でしたが、この組み合わせは珍しかったように思います。

もう一つのパターンで、違う興行会社が競合するケースもあります。黒澤明の「影武者」が、有楽座と静岡東宝で同時公開されたときは、別興行会社による興行でした。また、「E.T.」の時も、有楽座と東映パラスでの競合状態での興行でした。大ヒット(を想定された)映画の場合、興行側でも取り合いになるんだなって納得した記憶があります。

どっちにしても、地方都市の静岡で、2館同時公開ってのは、昔は珍しかったです。今となっては、地方の映画館が全てシネコンになってしまうと、複数スクリーンでの上映なんて当たり前になっちゃってますから、そういうのが珍しいと思っていた記憶を書き留めてみました。

「リミット」のサントラは、オーケストラがドラマチックに鳴らす聞き物


今回はサントラ盤と言いつつ、盤ではなく、音楽データのダウンロードでゲットしたものの紹介です。後で、調べたら後日サントラ盤も発売されるようなのですが、お値段はダウンロードの方が安いので、まあ、いいかなってことで。

棺の中に閉じ込められた男の話って言っても、オープニングだけだろうとタカをくくっていたら、ホントに棺の中だけでドラマが展開する「リミット」の音楽を手がけたのは、ビクター・レイスという人。スペイン映画の人のようです。シンセサイザーも交えていますが、メインは、アダム・クレメンス指揮のシティ・オブ・プラハ・フィルハーモニックが演奏しています。このオケは、映画音楽のカバー演奏で多くのアルバムを出しているのですが、映画のサウンドトラックもたくさん手がけています。

最近の映画には珍しくちゃんとしたオープニングタイトルがあります。そのデザインされたタイトルバックに、緊張感あふれるオーケストラサウンドが流れるあたりは、なかなか新鮮でした。こういう出だしは、「モーテル」以来かしら。いわゆるヒッチコックタッチを狙っているところがありまして、テーマも、ちょっと60年代の映画風で、パーカッションを派手に鳴らしつつ、基本はストリングス中心にテンションの高い音を聞かせてくれます。メロディラインはないのですが、これから何かが始まるぞという期待感を煽る音楽になっています。

この後、ドラマはホントに棺から外に出ないのですが、音楽の方は、こういう変化球のドラマに正攻法というか、かなりドラマチックな音をつけています。安直にシンセ主体の音にしなかったのは大正解だったようで、緻密でサスペンスを積み上げる音になっているのは見事でした。舞台がイラクのせいで、中東風の音が混じったり、コーランが聞こえたりという細かい味付けもあるのですが、パーカッションの使い方にもメリハリがあり、音楽だけ聞くと、アクション映画かと思わせるくらいの音が鳴っていまして、場面が変わらないドラマに動きと盛り上がりを与えています。

一方で主人公を描写する部分では、エモーショナルな音を聞かせてくれて、クライマックスの畳み込みでは、フルオケがパワフルに鳴って、ドラマを盛り上げてくれます。映画を観ていたときも音楽ががんばっているなあって印象だったのですが、サントラ盤で聞きなおすと、ここまでガンガンに鳴らしていたのかとびっくりさせられました。

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einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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