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「ラ・ラ・ランド」はいい感じのミュージカルだと思っていたら最後の最後で違和感が....。


今回は新作の「ラ・ラ・ランド」をTOHOシネマズ新宿7で観てきました。ここはキャパシティの割にロビーが狭いのか、人口密度の高い感が強いシネコンです。

舞台はロスアンゼルス、女優志望のミア(エマ・ストーン)はカフェのウエイトレスをしながらオーディションの日々、またオーディションで落選して気分が落ち込んで町を歩いていると、ピアノの音が聞こえてきます。その音に惹かれてレストランに入るとピアニストのセブ(ライアン・レイノルズ)が自分の好きな曲を弾いて店をクビになるところでした。セブに声をかけようとしたミアをセブは無視。ところが、その後もパーティ会場でキーボードを弾くセブにミアが声をかけ、二人は接近していきます。ミアはその時付き合っていた男と別れ、セブと付き合うようになります。セブは自分のやりたいジャズを演奏するための店を持ちたいと考えていました。そのためには金が必要で、彼は友人のバンドでキーボードを弾くようになりますが、それはセブの理想の音楽ではなく、ミアもそれを聞いてがっかり。オーディションに落選し続けるミアと、バンドのツアーでアメリカ中を回るセブの関係は気まずいものになっていきます。そして、ミアが自分のお金で立ち上げた一人芝居の初日、セブはバンドの写真撮影で、劇場に現れませんでした。さらに悪いことに舞台は大失敗。失意のミアはセブに別れを告げ、故郷へと帰ってしまいます。しかし、セブの携帯にミアの連絡先を探す電話がかかってきます。大失敗の舞台を見ていたエージェントがミアに映画のオーディションへ来るように言ってきたのです。車を走らせてミアにそれを伝えるセブ、そしてオーディションに臨むミアなのですが....。

「セッション」というなかなか面白い映画を作ったディミアン・チャゼルが脚本を書き、監督もしたミュージカル仕立てのラブストーリーです。オープニングは渋滞のハイウェイで待ち状態のドライバーたちが歌い踊りだすというもので、青空をバックの群舞がなかなかに期待させるものがあります。主人公の二人もその渋滞の中にいたという設定で、ミアとセブの物語が並行して描かれ、二人が出会って付き合い始めるとお話は一本にまとまります。ミアは、女優を夢見てオーディションを山ほど受けて山ほど落ちてるという日々、カフェのウエイトレスをしつつ、夜は友人たちとパーティに出ては出会いを夢見る女の子。一方のセブは、昔のジャズにこだわるピアニスト。かつてのジャズの名店がタパスの店になっているのを見て憤慨し、お金を貯めて店を買い取り、自分のやりたいジャズを演奏する店にしたいと夢見ています。ジャズへのこだわりはチャゼルの趣味なのかもしれません。今の若者に迎合するのはやなこった、あの時代のジャズがいいんだというこだわりは、色々なジャンルを取り込んで現代のジャズを作ろうとする友人からも呆れられてしまうのですが、腕は確かなのでバンドに誘われることになり、そこで今風のデジタライズされたジャズが当たって、そのバンドの契約に縛られちゃうことにもなります。一方では、女優としての夢を持つミアは、自腹を切って一人芝居の舞台を立ち上げます。

最初は、お互いに夢を持つ者同士という感じで惹かれあっていたのですが、セブは店を開くことよりバンドの方が忙しくなり、ミアは勝負を賭けた一人舞台に失敗して故郷へ帰り、夢から遠ざかってしまいます。そして、夢から遠ざかることで二人の関係も疎遠になっていくという展開は、ラブコメなんかでよくあるパターンです。そして、最後は結ばれるというのがパターンなんですが、そこまでのドラマの流れで、復縁のきっかけが見えにくいところが面白いところです。それに、二人の夢がかなう感じでもなさそうですし。ところが、ラストでそう落とすのかと確認すると、「うーん」という感じになっちゃう微妙な後味の映画でした。

ラブストーリーの部分は今風のラブコメタッチです。一途な恋の物語といった重さはありません、現代のボーイ・ミーツ・ガールは、女性の方も積極的ですし、男の方にはオタク要素もあります。要所要所で歌われるナンバーも愛だの恋だのを歌い上げるものではなく、むしろ夢とか町とかを歌い上げるナンバーの方が印象的です。また、ホーンセクションを贅沢に鳴らす音作りが音楽にボリュームを与えていて、なかなかに聴きごたえがありました。主演二人も頑張って歌い踊っているのが心地良く、ミュージカル映画としては、傑作かどうかはともかく、私は楽しめるものに仕上がっていました。群舞をもっと見たいとか、ダンスをフレーム内に全部収めろとか注文はありますが、そういうのが見たければ、ボリウッド映画を観ればいいわけで、「ラ・ラ・ランド」にはこの映画の良さがあると思います、ミュージカル映画としてはですね。好きなナンバーもありましたし。

主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは、かなり頑張っていますが、絵に描いたような美男美女ではないのは、この映画の全貌がつかみにくいってところがありました。いわゆる昔の映画を現代のドラマによみがえらせるという趣向の映画なのに、主演二人がリアルに地に足のついたキャラになっているのは、何か居心地が悪いような気がしてしまって。監督の望むところはどういうものだったのかしら。舞台は現代なんだけどスマホ以外は時代を感じさせるものがなくて、ミュージカルとしての作りは今風でないので、何だかつかみどころがない感じなんですよね。主人公二人にも、感情移入するには愛嬌不足という印象で、夢をガンガン追うわけでも、相手をバリバリ愛しちゃうわけでもない、そこそこリアルなキャラクターなのが、今一つのめりこみにくいのは残念でした。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



ミアがオーディションを受けて、お話は5年後に飛びます。大スターとなったミアは、セブではない男と結婚してかわいい娘がいます。そして、ある晩、夫婦でパーティの帰りに、通りかかった地下のバーに入ります。その店の名は「セブの店」というもので、中ではジャズを演奏しています。演奏が終わり、今度はオーナーのセブがピアノの前に座ります。客に向けたセブの視線の先には夫を連れたミアがいます。そして、セブはピアノを弾きながら歌い始めると、それはセブとミアが歌い上げるナンバーとなり、二人が添い遂げた別の人生がフラッシュバックされた映像が流れます。そして、歌が終わり、夫とともに店を去るミア。扉の前で振り返るミアとセブの視線が交錯し、小さくうなづくセブ、店を出ていくミア。ドーンと「ジ・エンド」の文字が出て、エンドクレジット。

結局、二人は別々の道を歩んで、ミアは大スターとなり結婚して幸せそう。一方のセブもジャズの店を開いて夢をかなえていました。何だ、二人ともうまいことやってるじゃんと思うと、もう一つの人生を見せて歌い上げるラストの曲に、何だこりゃという印象を持ってしまいました。どちらか、もしくは二人ともが夢破れた状態だったら、二人が添い遂げたもう一つの人生を歌いあげることに、共感やペーソスを感じることもできたのですが、万事うまくいってる二人に、もう一つの人生を歌い上げる必要はないんじゃないの?って思えてしまったのです。ひょっとして、ラストのナンバーで示される、もう一つの人生が実は本当の二人の姿なんだと解釈もできるのですが、それなら、ラストのナンバーが終わったところで、その勢いのまま、映画を終わらせて欲しかったです。実は、二人がずっと付きあい続ける人生が本物なんだよというところで、ドラマを終わりにすることで、映画の魔法とパワーを感じることができたでしょう。ところが映画はそのナンバーの後、二人が視線を交錯させるシーンを入れて、別れた人生がリアルであることをダメ押しするのですよ。それなら、ラストナンバーは歌い上げるのではなく、もっとしっとりと聞かせて欲しかったなという気がしたのです。夢をかなえた二人のちょっと切ない過去への想いくらいの見せ方をしてくれたらなあって。

というわけで、ラストの処理が私にはしっくりこなくで、この映画の後味は微妙なものになってしまいました。5年後のエピローグ前まではすごく好きな映画だったのに、ラストの処理で、「何これ?」な後味になってしまいました。別れた後の二人の人生をどう見せるかという、その見せ方の微妙なさじ加減に、私が乗れなかったということなので、あくまで好みの問題ではあります。でも、こういう繊細なタッチで作られた映画は、ラストの処理が難しいんだろうなって思わせるところもありました。5年後に別々の道で夢をかなえた二人をどう見せるかというところで、二人が一緒になっていたらというナンバーを入れるのはどうなの? 入れるならその後をどう締めくくるの? というあたりの見せ方はなかなか難しいんだろうなって気がします。映画はヒットしているのですから、このラストはありだと思う人が多いのでしょうけど、成功者が過去の恋愛へのノスタルジーを歌い上げても、共感できなかったのですよ。これって、私が人生の負け組だからなのかなあ。
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einhorn2233

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Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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