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「エンジェル、見えない恋人」は他人の夢を見ているようなケッタイな映画。


今回は新作の「エンジェル、見えない恋人」を川崎の川崎チネチッタ3で観てきました。ここは傾斜がきつくて、画面位置が高いので、うかつに前に座るとすんごい画面を見上げることになる要注意映画館。まあ、チネチッタの1,2,3はほぼみんな同じ作りで、満席になる映画はかけてはいけないスクリーンです。

ルイーズはマジシャンの夫が妊娠中に失踪してしまい、メンタルが壊れてしまったらしく、病院らしい施設に入れられるのですが、彼女はそこで自力で出産し、男の子を産むのですが、その子は透明で姿が見えません。エンジェルと名付けられた男の子はルイーズのもとですくすくと育ちます。彼は、窓から見える立派な家に住む盲目の少女に気づきます。母親から、誰とも話してはいけないと言われているエンジェル、そんなことをすればみんなが怖がるから。でも、ある日、彼女は施設を出て女の子に近寄ります。すると意外にも少女の方からエンジェルに声をかけてきます。声や匂いから誰かいるってわかるんですって。そして、その少女マドレーヌとエンジェルは仲良くなり、年月が流れ思春期を迎えると二人は恋愛感情を持つようになります。ラブラブな二人だったのですが、マドレーヌは目の手術をするために旅立ちます。そして、ルイーズも亡くなり独りぼっちになったエンジェルは、彼女の家で過ごすうちまた何年も経ってしまうのでした。そして、ある日、大人になって目の見えるようになったマドレーヌ(フルール・ジフリエ)が帰ってきました。自分の存在を知らしめたいエンジェルなのですが、なかなかそれができません。彼女もエンジェルを探すのですが、消息がわからず、ルイーズの墓に手紙を挟みます。すると、その手紙に返事が返ってきます。マドレーヌはエンジェルの望み通り、目を閉じて彼を待っているのですが...。

トマ・グンジグとハリー・クレフェンの共同脚本を、クレフェンがメガホンを取ったベルギーの映画です。「トト・ザ・ヒーロー」「神様メール」のジャコ・ヴァン・ドルマルがプロデューサーとして参加しているのが売り文句になっていまして、映画のポスターの宣伝イメージだと、透明な男の子と盲目の女の子の淡い恋物語みたいなのを売りにしているのですが、それは映画の前半だけで、後半は大人になった二人の結構エロい恋愛ドラマになります。最初からこういう話だとわかってたら、もう少し素直に映画を観られたのですが、何か騙された気分になっちゃったので、その分印象悪くなっちゃいました。だって、若者になったエンジェルが、マドレーヌの寝姿の胸をはだけたり、入浴中の彼女をのぞいたりと、昔風に言うと出歯亀というか痴漢透明人間、もう少し柔らかく言うと「イヤーン、のびたさんのエッチ!」みたいな展開となります。そういう話だと思って臨めば、ケッタイな珍品としての面白さがある映画です。

透明な主人公というから、ファンタジックなお話なのかなって思っていると、冒頭から、どうにも画面が暗い。病院らしい施設の一室に軟禁状態のルイーズとエンジェルの姿は、あの「ザ・ルーム」の誘拐された親子みたいです。母親のルイーズからして、尋常とは思えないキャラで、施設の部屋で産み落とした透明な息子をそこで誰にも知られないように育ててるって設定で、夫がいなくなって精神的に弱っていたところへ、透明な息子が産まれて、頭のネジが吹っ飛んじゃったって感じなのですよ。そもそも透明人間という存在がリアリティがありませんし、どうやらエンジェルは飲み食いも排泄もしないで、並の子供なみに育っていくんですよ。ルイーズの夢のお話かなとも思えるのですが、お話は彼女が死んでからも、エンジェルの視点で続いていくので、一応、これはあったこととして描かれているようなんです。ね、ケッタイでしょ?

目の見えないマドレーヌと透明なエンジェルが仲良くなる話は、チャップリンの「街の灯」みたいな微笑ましい展開でして、友たちのいない同士がお互いを大事に思うようになっていくあたりは、絵本を読むような味わいがあります。ただ、その前の母子の描写が暗くて冷たい画面で描かれるので、素直にハートウォーミングなお話だと受け入れにくいのですよ。そして、ローティーンくらいになってくると、キスもするしお互いを恋愛対象として見るようになります。そして、目の手術をすることになるマドレーヌ。あ、やっぱり「街の灯」みたいなお話になるのかなと思いきや、これが「シェイプ・オブ・ウォーター」のような異形の恋の生臭編になってくるのに結構びっくりでした。異形の恋というのは言い過ぎかもしれないけど、エンジェルは普通の人間じゃないですからね、存在はあっても目に見えない。そんな青年と美しい女性となって帰ってきたマドレーヌの恋は、どうなるのか。で、先述のような痴漢透明人間風のシーンあり、フルール嬢もスリムなボディをたっぷりと見せてくれまして、透明なエンジェルとのエッチシーンもあります。意外と脱ぎのシーンも多くて、深夜のテレビで偶然この映画見かけたら、大当たりだね、というくらいの映画になっています。エンジェルが自分が透明なのを知られないために、マドレーヌに目隠しするあたりは、ああそういうプレイもあったなって、「ナイン・ハーフ」思い出す人もいるかも。いや、事実、この映画の中ではそういうエッチしてますから。

もともとエンジェルはマドレーヌが好きですし、マドレーヌもエンジェルが好き。ですから、両想いではあるのですが、彼女はエンジェルが透明人間だとは知らない。で、エンジェルとしてもできる限り隠し通そうとするのですが、いつまでも目隠しプレイをしているわけにもいかないので、その正体を彼女に見せることになります。シーツを被っているエンジェルがいて、マドレーヌがそのシーツを取ると中身がない。私、こういうのん「ヘルハウス」で観ましたけど、他のホラー映画で似たシーンはいくらでもあるでしょう。で、マドレーヌ、ウゲゲの大ショック。でも、彼女もなかなかのタマで、あなたのことを見ないようにするわ、って、透明な恋人を受け入れようとします。ここまで、エンジェルって、マドレーヌが好きという以上のキャラを与えられていないので、どこかふわふわした存在感だったのですが、彼女も何だかつかみどころのないふわふわした存在に見えてきちゃいました。何かリアリティの感じられない二人のかなりケッタイな恋愛ドラマが後半は結構シリアスに展開するので、前半の薄暗いファンタジーという変な展開からは想像つかなくて、かなり意表を突かれました。

ストレートに1本の映画として観た時、こういう設定ならこうなるだろうなという、こちらの期待を変な方向へ裏切っていくので、そこを楽しめれば、面白い映画ということになりましょう。私には、面白いと呼ぶにはケッタイさが先に立ってしまいました。少年少女の淡い恋物語、透明人間編だという先入観がよくなかったのかしら。まあ、前半のルイーズの登場シーンの薄暗い陰気な映像で、普通の映画じゃないとは思ったのですが、そっちへ行くのかーという意外性が、私にとっては、快感というよりは、珍品感が大きかったです。全体をひっくるめて、不思議系ファンタジーと呼ぶこともできるのですが、腑に落ちるところが少ないので、変なものを見たという後味になっちゃうのですね。何と言うか、他人の夢の話を聞かされたような気分とでも言うのでしょうか。そういう味わいの映画だと思えば、それなりの味はあります。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



エンジェルは、書置きを残して、マドレーヌの前から姿を消します。(← 初めから消えとるやんけ、というツッコミは置いといて)マドレーヌは、自分の感覚を頼りにエンジェルを探します。そして、かつて彼と来た、彼の母親のいた小屋へやってきて、湖のほとりに隠れているエンジェルを見つけます(!?)。そして、湖に身を投げたエンジェルをマドレーヌは救い、幸運にもエンジェルは息を吹き返します。二人は改めて結ばれ、子供も生まれ(これが盲目でも透明でもない普通の子)、マドレーヌは透明なエンジェルと組んで、マジシャンと生計を立て、二人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

結局、二人は一緒になってハッピーエンドになるんですが、そのどこかあっけらかんとした感じが、リアルじゃないというか、どこか映画で観たような話だなあって結末になります。このあっけらかんとした感じ、フランス映画で観たような気がします。というわけで、この映画、前でも色々述べたように、いろんな映画を想起させる部分が多いのですよ。ケッタイだけど既視感がある、ありえないけど観た事あるような、不思議な感じです。色々な映画を思い出すあたり、何ていうのかな、映画ファンの観た夢を映像化したような映画とも言えそうな気がします。他人の夢の話を聞かされるのは苦痛でしかないんですが、映画ファンの見た夢の話なら、多少の興味を持てるかもってところに、この映画へのとっかかりが見つかりそうな気がします。そんな風にこじつけてみたくなるあたりが、やっぱりケッタイな映画なのでしょう。これまで観てきた映画の中では、すごく特異で変な感じの映画でした。合理性はないし、ファンタジーのようで、画面は薄暗いし、純愛ドラマのようでそこそこエロい、悲劇のようで、結末はあっけらかんとしていて、いろんな映画の要素を全部乗せしましたって感じなのかなあ。とにかく、どのドラマのパーツもあまり真に受けない方がいいと思わせるあたりが、普通の映画ではありません。好きかと言われると、そこまで行かないし、駄作だと呼ぶには色々と感想が出てくる映画だし、まあやっぱり珍品なのかなあ。どっか、真に受ける部分があると、この映画の評価も決まるのでしょうが、そういうところが見つからなくて。
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Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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