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「カメラを止めるな」は観て元気になれるエンタテイメント、おすすめ。


今回は世間の評判がすごく高い「カメラを止めるな」を上大岡のTOHOシネマズ上大岡9で、ようやっと観てきました。夏からずっと継続的に公開されているのはすごいですよね。シネコンでのロングランって映画はなかなかないですもの。世間の評判の良さは知ってても、後半の展開を知らなかったのはラッキーな鑑賞でした。

廃墟の中で、低予算ゾンビ映画を撮影している現場です。ゾンビ化した彼氏を相手にした演技がなかなかできなくて、監督にボロクソ言われるヒロイン。撮影が休憩に入って、ヒロインと彼氏役とメイク係が雑談していると何か不審な物音が聞こえます。この廃墟にはゾンビが出る噂があるとかという話をしていると、外に出た助監督がゾンビ化したカメラマンに襲われます。ちぎれた腕が3人の前の転がってきて、ギャー。そこへカメラを持った監督が「これがリアルだあ、撮影いくぞ」と狂ったような大張り切りぶり。小道具の本物の斧で武装して逃げ出そうとするのですが、車のキーをゾンビと取り合っているうちに、ヒロインがゾンビに噛まれたみたい。それを見たメイク女史が目の色を変えて、斧を振りかざして彼女を殺そうとします。逃げ回るヒロイン、追うメイク女史、さらに追う彼氏。建物の屋根に逃げたヒロインを追った彼氏とメイク女史がもみ合い、斧はメイク女史の頭にグサリ。でも女史の逆襲で、彼氏もゾンビ化、果たしてヒロインは生き延びることができるのでしょうか。

これは、評判どおり面白かったです。何より、観終わって元気になりましたもの。安っぽい血しぶきが飛ぶ映画なので、万人向けとは言いにくいのですが、いかにも作り物めいているので、リアルな刺激は少な目です。まあ、全体が低予算なビデオみたいな作りになっていて、ツッコミどころも多いのですが、そのツッコミが後半で回収されるという「そうくるか」の展開になっているので、理屈っぽい映画ファンは、そのツッコミが回収される快感を楽しめますし、ライトなファンは素直にその展開に乗ることができます。「低予算を逆手にとった」という表現は、B級映画をバカにしているみたいで、私はあまり好きではないのですが、この映画は「低予算(という設定)を逆手にとって」、低予算で面白い映画を作ってるのがすごいなあって感心。この映画をほめる言葉は色々と出てくると思いますが、まず「面白い」「楽しい」映画ですから、ご覧になることをオススメしちゃいます。



で、ここから先はネタバレ上等で書き進めないと、映画も感想も書き残せないので、未見の方、ネタバレはまだ知りたくない方はパスしてください。



追い詰められたヒロインは、ゾンビ化した彼氏の首を跳ね、それを喜々として撮影していた監督も合わせて惨殺。建物の屋根に血で描かれた星型の絵の中心に立つヒロインを捉えたカメラが上へあがっていくと、そこへ「ワン・カット・オブ・ゾンビ」のタイトルとスタッフ、キャストのクレジットが出ます。そして、お話は1か月前に遡り、ゾンビチャンネルというテレビで、30分生中継でワンカットのゾンビドラマを作ろうという企画が持ち上がります。監督に指名されたのは再現ドラマでそこそこの腕前という評価の日暮(濱津隆之)で、クセの強い役者連を相手に本読みからリハーサルと進みますが、その間も妥協の連続で、監督のストレスもたまることたまること。そして、いよいよ本番の日になるのですが、監督役とメイク係役の俳優が事故を起こして来れなくなっちゃいます。今さら代役を探すわけにはいかないというので、監督役を日暮自身が演じることになり、メイク係を娘と一緒に見学に来ていた日暮の妻で元女優の晴美(しゅやまはるみ)が演じることになっちゃいます。そして、生放送は始まるのですが、カメラマン役の俳優が酔いつぶれちゃったり、メイク係役の晴美が、役に入り込み過ぎて暴走しちゃったりと、段取りは思うように進みません。でも、監督としては、放送を中断するわけにはいかないと頑張って、物語を進めていくのですが、果たして望むようなドラマに仕上がるのでしょうかというお話。

で、映画の後半は、冒頭のゾンビドラマが裏方込みで再現されるという構成で、そこに思い切り笑えるドタバタをぶちこんで楽しませてくれます。単に思うようにドラマが進行しないドタバタというだけでも楽しめるのですが、冒頭のドラマで感じた、色々なツッコミどころのタネ明かしがされるので、それがまたおかしいのですよ。何か変な演出だなあとか、演出意図が不明な間があるなあとか、カメラが倒れたままになってるところは意図的なのかなあとか、そういうのが、実は進行上のトラブルだったというのをテンポのよいドタバタで見せるのですよ。ワザとらしいセリフとか、場違いな会話とかも実は苦し紛れのアドリブだったとか、そういうメイキングを見るおかしさで笑いを取ります。カメラが横倒しになったままなのは、カメラマンがぎっくり腰になったからで、その後の絵が荒っぽくなるのは、撮影助手が代わりにカメラを担いだからというあたりのおかしさですとか、急に監督役になった日暮が、これまで振り回されてきた主役二人に、アドリブ入りでマジダメ出しをするおかしさは、映画好きには余計目に笑える展開になっています。

で、最後はみんなで生放送をやり遂げたということで、色々揉めていた連中が充実感溢れた顔で喜び合う。つまり、集団で、ものづくりのお話になっているのですよ。だから、ゾンビ生放送プロジェクトXなんです。だから、後味がいい。曲者が寄ってたかって、一つのことをやり遂げるというのが物語の柱にあるから、娯楽度が高い。その一方で、綿密に作り込まれた映像の仕掛けがとんでもなく楽しい。冒頭30分がラストで種明かしされながら再現されたときにもたらされるカタルシスは、他の映画ではなかなか見られないものです。だって、安いZ級ドラマに、上から目線で、突っ込んでいたつもりが、それが全部笑いの種で、そのネタに目一杯笑わされてしまっているという、このまんまと術中にはまってしまった奇妙な快感は、なかなかクセになります。すごい映画だとか、特別な映画だとか言うつもりはないですが、この映画、まず笑えて、最後のものつくりの部分でカタルシスがあるというところで、娯楽映画として大変よくできています。夏バテ気味で元気のなかった私も観終わって元気出ましたもの。こういう映画にもっとお目にかかりたいと思います。また、評判になったおかげで私も劇場鑑賞できたわけで、クチコミあなどりがたしという映画でもありました。

演技陣は無名な人ばっかなんですが、それぞれのキャラを好演していまして、儲け役ながら、ヒロインを演じた秋山ゆずきのかわいさが印象的で、最後にブチ切れた決め絵がなかなかにかっこよかったです。後、ホラー映画作りに現場を舞台にしたというところでは、「女優霊」を思い出しましたし、同じことを二度見せて、二度目でその種明かしをするというのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の1と2を思い出しました。色々なところで、映画ってつながっているのかも。
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コメント

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einhorn2233
かずさん、コメント&TBありがとうございます。確かに内容は一切言えない映画ですけど、私は「前半ちょっとグロいけど、最後は笑えて元気になれる映画だよ」ってオススメしてます。こういう映画がクチコミでヒットするってのはうれしいですよね。コメディ映画のヒットが最近なかったから。

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かず
内容は一切言えないけれど、ナイスアイデアでしたね!
これだけ口コミでアニメではない邦画が評判になったのが嬉しいです。
TBお願いします!

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einhorn2233
アンダンテさん、コメント&TBありがとうございます。前半で蒔いた種を後半できっちり刈り取る構成のうまさが光る作品でした。何より、笑えて楽しい映画というところで点数高かったです。

No title

アンダンテ
「熱」を感じました。前半の様々なアレッ?!が後半で全て解消されるのでスッキリでき、観客の心理をよく理解していて、それを満足させる術を心得ているなぁと感心しきり。
TBさせて下さいね。

No title

einhorn2233
もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。色々なアイデアをじっくり煮詰めて一気に作ったという印象でした。作り的には低予算でも、手間暇かけて作っているというところが、映画館でも観ても見劣りしない映画になってるんだなあって感心しちゃいました。

No title

木蓮
最初は本当に面白いのかと疑いながら観ましたが、見事にやられました。
メイキング物なのに、エンディングでそのメイキングも流れるしで、アイデアだなぁと感じました。
撮影中に苦労がいかにもありそうで、そこも面白かったです。
こちらもTBさせてくださいね。
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