今昔映画館

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「トムとジェリー」は年寄りには色々と違和感があって、ちょっと冷めた目で見てしまいました。

トムとジェリー

今回は新作の「トムとジェリー」を川崎の川崎チネチッタ10で観てきました。7.1chステレオ音響での上映ということでしたが、こういう映画はやはりにぎやかに鳴ってくれるのがうれしいです。効果音を場内に回すというより、音楽で場内を満たすという音響設計は、こういう映画館での上映がふさわしいです。

ニューヨークにやってきたネズミのジェリーは新しい住処を捜し中、ストリートミュージシャンをしていたネコのジェリーの邪魔をして、トムの集めたお金をふいにしてしまいます。ジェリーを追いかけてたトムが自転車で配達していたケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)と衝突し、ケイラは職を失ってしまいます。名門ロイヤル・ゲート・ホテルのロビーでうろうろしていたケイラは、ロンドンからやってきたホテルマンの女性の履歴書をかすめ取って、ホテルスタッフの求人に応募し、何と合格してしまいます。ホテルは直近に控えたセレブカップルの結婚式の準備でピリピリしていて、マネジャのテレンス(マイケル・ペーニャ)は、ケイラのことが気に入らない様子。そのホテルに入り込んだジェリーは、壁の中に自分用の部屋を作って、優雅な生活を始めます。しかし、ジェリーが厨房で目撃されたことで、支配人からネズミ駆除命令がケイラにくだり、ネズミにはネコだと、トムを正式にホテルスタッフとして雇って、ジェリー捕獲作戦を展開しますが、まるでダメ。一方、結婚を控えたセレブカップルもホテルに入り、花嫁のプリータはなくした指輪をケイラがジュリーから取り返して見つけたことから、彼女をお気に入り。しかし、ホテルのロビーでプリータの飼い犬とトムがテレンスを巻き込んで騒ぎを起こしたことで、テレンスは休暇を取らされ、トムとジェリーは結婚式を無事に収めるために、二人でニューヨーク見物に追い出します。ところが、保健局に二人はつかまってしまい、さらにそれを知ったテレンスが二人にあることないこと吹き込んでホテルに送り込んだものですから、結婚式のパーティで、トムとジェリーが追いかけっこを初めてしまい、式は無茶苦茶になってしまい、さらに、ケイラの素性もばれてしまうのでした。

私の「トムとジェリー」の記憶は、幼稚園入る前後くらいの時、家の白黒テレビで観たのが最初です。ネコがネズミを追いかけまわすだけのマンガだと思ってみてました。これが、カートゥーンと呼ばれるアニメで、技術的にすごいことをやってるなんて知ったのは成人した後の話です。幼少の頃の記憶がほとんどなので、まず冒頭でワーナーブラザースのマークが出てビックリ。「トムとジェリー」ってMGMだよな、MGMのライオンのところがトムになって吠えるところから始まったはずだが。タイトルの途中で同じくアニメで有名なハンナ・バーベラの名前も出てさらにびっくり。どうやら、昔のアニメから色々と変遷があったみたいです。その有名なキャラを実写ドラマの中に組み込むにあたり、トムやジェリーを3Dキャラにはせず、昔からのアニメのままで、実写ドラマ、実際の人間と絡ませることにしたのは、面白い選択だと思いました。

お話としては他愛ないものと言っていいでしょうが、トムとジェリーがドラマの中心にいないこともあって、彼らが厄介なお騒がせキャラになってしまったのは狙ってたのかなあ。いわゆるトムとジェリーのご紹介番組をドラマ形式で作ったみたいな感じなんです。そういう意味では新しい世代へ向けたパイロット版としては成功していると思います。ただ、昔のアニメを観ていた私からすると、トムが弱すぎというか、ジェリーが強すぎというか、真っ向勝負してもジェリーが勝っちゃうのでは、トムの優位性がまったく感じられなくて、強い立場にいるトムがジェリーに逆襲されるおかしさとか、強いけどお人好しなトムのペーソスが生きてこなかったのはちょっと残念。それが今風なのかもしれないけど、ジェリーが最初からマイティマウスになっちゃってるのは、どこか違和感なのですよ。まあ、この映画で「トムとジェリー」がお初という、今の子供たちには違和感も何もなくて、これが「トムとジェリー」だということになるのでしょうけど。

人間側のドラマの主人公は、何とごひいきクロエ・グレース・モレッツちゃんで、彼女が出ているということで劇場に足を運んでしまいました。こういうアニメキャラと絡むヒロインって「テッド」のミラ・クニス、アマンダ・セイフライドや「ピーター・ラビット」のローズ・バーンなど、ごひいきの女優さんが多くて、それぞれに好演していて演技の幅を広げているので、今回の彼女にも期待するところありました。コメディの少ないモレッツ嬢なので、そっちの裾野が広がるいいなあくらいの期待でしたが、手堅くこなしたという感じかしら。アニメとの絡みがどこかぎこちなく見えてしまったのは演出の問題かも。ご予算の関係かもしれませんが、アニメキャラと切り返しのカットが多くて、一つの画面で絡むシーンが少なかったせいかもしれません。でも、彼女なら、この先、ライトなラブコメもいけるかもという、次の期待感は上がりました。

それに昔のアニメ表現を実写版の世界に持ち込んだのは、若い世代には説明不足じゃないかと思うことがありました。プリータの飼い犬とトムが大ゲンカを始めると砂埃と旋風が巻き起こるというのは、昔のマンガやアニメでのケンカシーンの定番表現なんですが、それを実写の3Dの世界に持ち込んでしまったので、「何じゃこりゃ?」のシーンになってしまいました。昔のマンガを知らない人が観たら、X-Menの超能力暴発シーンに見えちゃうのではないかしら。知ってる私が引いちゃいましたから、今の若い人にはどう映るのかしら。また、昔のアニメキャラのまま、今の実写画面の中で、今風の動き回るカメラワークの中で追いかけっこするのが、何か観ていて疲れちゃいました。昔のアニメでは、背景が固定か、あっても横に移動するくらいで、その中でキャラが縦横無尽に動き回るというのが定番だったのですが、この映画では、アニメのキャラが動き回る上に、同じスピードでカメラが動き回るというCG以降のテクニックが使われていて、正直、何がどうなってるのかわからないくらい画面が忙しい。VR風の見せ方と言えばそうなんですが、リアルというにはアニメキャラの動きも激しいので、動体視力の衰えたオヤジには厳しいものがありました。若い人は3D視点のアクションゲームで慣れているのかもしれませんが、年寄りにはやさしくない映画。

カラフルな映像とか、出てくる動物を全部アニメキャラにしていたり、そのアニメキャラが歌いまくるという趣向もあり、音楽を全面に出した音響設計で、観て聴いて楽しめる映画になっています。でも、若い人にはわかりにくい趣向があったり、年寄りには絵の動きが激しすぎたりと、ターゲットが絞れてないような気がします。ティム・ストーリーの演出は、ストーリーをこなしていくのが精一杯みたいに見えてしまって、映画としての満足度が今一つになってしまいました。予算か時間の制約かわかりませんが、実写側がアニメ側をうまくコントロールできてないと言ったらひどい言いぐさかしら。というわけで、私の場合は、映画館でじっくり観たら色々と突っ込みどころが出てしまいました。家のテレビでぼーっと観るくらいの鑑賞がベストなのかも。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



結婚式がメチャクチャになってしまい、セレブカップルの結婚そのものもお流れになっちゃいました。新婦が質素な式を望んでいたのに、新郎が暴走して、どんどん規模を大きくしちゃったことで、二人の間に気持ちがすれ違ってしまっていたのです。結婚式をぶち壊してしまったことに責任を感じていたケイラたちは、一計を案じ、セントラルパークにお客とスタッフを再度集め、空港へ向かう新婦をトムとジェリーが追跡して、セントラルパークに誘導することに成功します。もともとお互いを好きだった二人は、改めて結婚の誓いをするのでした。めでたしめでたし。

クライマックスは、空港へ向かう花嫁の車を追うトムとジェリーがニューヨークの街をローラーボードで走り回るというもの。ここは、派手なアクションとアニメの動きが見事にシンクロして、なかなかの見せ場で盛り上がりました。このセレブカップルももう少し丁寧に見せてくれたら、いい感じに感情移入できたのですが、全体的に人間キャラの描きこみが浅いせいか、ただの脇役以上になれなかったのは残念。ともあれ、トムとジェリーの実写版という期待を大きく裏切るものではなかったのですが、映画として楽しむというよりは、ちょっと冷めた目で観てしまったのは、私が「トムとジェリー」を楽しむには年を取りすぎたのかもしれません。「トムとジェリー」とオリジナル「メリーポピンズ」との融合といった、ノスタルジックなものを期待していたようで、今風にはついていけなかったみたい。
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コメント

pu-koさん、コメントありがとうございます。

トムとジェリーを人間世界に置くまではいいんですけど、カートゥーンのお約束を実写世界に持ち込んだり、逆に3DCGのアクションをカートゥーンの世界で使ったりしちゃったところに違和感を感じてしまいました。なんかこなれてないって感じで。シリーズを重ねていくと、少しずつ融合していくのかもしれませんし、こっちも新しいのはこういうもんだって慣れていかないとダメみたいです。

No title

うわぁ。『トムとジェリー』懐かしい。
そっか、MGMじゃなくなったんだ。

擬人化された動物キャラが人間世界で普通に暮らしているというのはアニメの世界では珍しくないし、実写とのコラボも見たことはあるけれど、これまでのトムジェリのキャラがうまく生かせていないと違和感になるかもですね。
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Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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