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「鴛鴦歌合戦」は昭和14年なのにハチャメチャで楽しい

今回はDVDで昭和14年(1939年)の「鴛鴦歌合戦」を観ました

傘張りの志村狂斉(志村喬)の一人娘お春(市川春代)は隣に住む浅井禮三郎(片岡千恵蔵)といい関係なんですが、狂斉の骨董趣味のおかげで米を買う金にも困る有様。ところが禮三郎には許婚の藤尾(深水藤子)がいて、香川屋の娘おとみ(服部富子)も禮三郎を狙っているご様子。。一方、同じく骨董趣味の殿様峯澤丹波守(ディック・ミネ)はいろいろなものを買い込んで家来に自慢している殿様。その殿様がおとみに目をつけたのがすげなくされ、今度はお春を側女にしようと画策するのです。果たして、禮三郎とお春の恋の結末は?

日中戦争が始まって、太平洋戦争へ拡大しつつあった頃の映画ですが、全体をオペレッタといういわゆるミュージカル形式で構成したコメディです。戦後も多くの作品を発表しているマキノ正博が監督し、当時の大スターの片岡千恵蔵が主演したもので、戦時色の一切ない純粋に楽しいコメディに仕上がっていまして、その面白さは今の目で観ても遜色ないものがあります。

冒頭、おとみちゃんを囲んで、男たちがお熱を上げるのをさらりとかわす一幕を全部歌で描いているのですが、これは「美女と野獣」のオープニングと同じことを昭和14年の時代劇でやっているのですから、驚きです。その後は、ディック・ミネ扮するお殿様が「僕は若い殿様~。家来ども喜べ~。」と家来を従えて歌い踊りながら登場するのですから、何とも楽しい展開となります。貧乏な狂斉が米を買えなくて壷に入れた麦焦がしばかり食べているというのがおかしく、いい加減、米を食べたいとお春が嘆くのがおかしいです。

メインの物語はお春に目をつけた殿様が何とかモノにしようとするというお話でして、家来の遠山が父親に50両の金を用立てたことから、それをカタに娘を差し出させようとするというもので、金を作れなくなった父親が夜逃げしようとしたところに、殿様が家来を連れてきて娘を力ずくでさらおうとし、さらに禮三郎が加わって大立ち回りになります。禮三郎が殿様の家来を蹴散らして、最後に麦焦がしの壷が大変な名器であることがわかるのですが、金持ちは嫌いだという禮三郎の言葉にお春はその壷を叩き割ってしまい、大団円となります。

それにしても、この映画、どんなシーンも歌にしちゃっています。殿様の家来の自己紹介も歌ですし、骨董品の自慢も歌、夜逃げの準備も歌、とにかく歌にしちゃっていて、それが滑稽味を出しているので、全体にシリアスになりようがありません。最後は「金持ち、成金は大嫌いだ」と、禮三郎が啖呵を切って、壷を割ったお春にみんなで「でかした、よかった」と歌うラストまで、ここまでよくに歌にしたものだと感心します。スタッフに脚本とは別に「オペレッタ構成・作詞 島田磐也」とありますから、物語の部分を歌に切り出していたようなのですが、バカバカしいほど何でも歌にしちゃうセンスは見事だと思いました。ロマンチックだの、ロマンスだのといった横文字まで歌詞に登場するのですから、かなりいい加減な作りなようにも見えます。しかし、そこに楽しい映画を作ろうという心意気も見えてきます

また、モノクロ画面ではありますが、美術スタッフが健闘しているのでしょうか。画面にスカスカ感がありません。歌うバックに常にモノがあるという絵作りをしていて、画面がにぎやかに作られているのです。これも娯楽映画として大事なところで、以前、近作の「オペレッタ狸御殿」の予告編を観たとき、歌うバックに何もないのが妙なスカスカ感を与えているのが何だか貧しい印象を感じてしまったのです。この映画では、セットの後ろに本筋とは関係ない通行人を配したり、必要以上に傘を置いて、傘で画面を埋めるといった工夫をしていて、楽しい映像に仕上がっています。

この映画がどの程度ヒットしたのかはわかりませんが、単純明快なストーリーに歌を盛り込んだオペレッタ映画は当時何本も製作されたようで、これもそんな中の一本だったようです。こういう楽しい映画が戦前に作られていたということは記憶しておいてほうがいいと思った次第です。ただし、戦時色が濃くなるとこういう映画が作られにくくなっていく歴史も含めての話ですが。

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Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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