FC2ブログ

「ドリーム・クルーズ」は怪談映画として点数高いです

今回は新作の「ドリーム・クルーズ」を新宿オスカーで観て来ました。フラットな場内でスクリーンが低いので、空いてる時でないと画面が欠けてしまう映画館です。座席の間隔はとってあるので、その点は悪くないです。音響はドルビーSRまでですが、快適に鳴っているように思いました。

弁護士ジャック(ダニエル・ギリス)は海で自分の弟が目の前で溺れ死んだという過去を持っていました。彼は顧客の英治(石橋凌)の妻百合(木村佳乃)と恋仲になっており、英治もそれに感づいているようでした。英治の前妻直美(蜷川みほ)は行方不明でそのことに百合は不安を感じていました。ある日、ジャックは英治にビジネスの件で会いに行くと、英治は妻と共にクルーザーで海に出るので一緒に付き合えと言われ、3人を乗せたクルーザーは出航します。仕事の話も済んだのですが、英治は寄港する気配を見せず、陸の見えないところまできた時、スクリューに何かが絡まったらしく船が止まってしまいます。水中に潜った英治はそこに女の髪の毛が絡み付いているのを発見します。船に戻った英治は様子がおかしくなりあらぬ事を口走り始めます。どうやら、直美の霊がこのクルーザーにとりついてしまったようなのです。果たして、ジャックと百合は無事に陸に帰ることができるのでしょうか。

「リング」で有名な鈴木光司の原作をもとに、「リング0」の鶴田法男が共同脚本・監督したホラー映画です。アメリカのマスター・オブ・ホラーというホラーのアンソロジーの一編として、60分のテレビ版と88分の劇場版が作られました。映画のタイトルは英語で出て、ドラマも英語がメインで時々日本語が混じるという構成になっています。

冒頭に2度も夢オチショック(突然ビックリさせて実は夢でしたというオチ)があったので、ちょっとビビってしまいました。この調子でビックリショックの連続だったらついていけないと思ったのですが、そこから先はまっとうなホラー映画の展開になったのでちょっと安心とはいえ、きちんと怖い映画に仕上がっています。

オープニングから、ジャックは弟の霊に悩まされており、水のあるところ、あちこちに弟は姿を現します。自分が弟を見殺しにしたという自責の念からの幻覚かもしれないのですが、とにかく、ジャックは海を恐れていて、港の水面にも弟の姿を見てしまうのです。この弟の霊が後半ドラマにきちんと絡んでくるあたり、鶴田監督の演出は丁寧で律儀とも言えます。

ストーリーはシンプルで、殺された前妻の霊が、まず英治と百合を殺そうとするという、怨霊復讐譚なのですが、その見せ方に工夫がされていて、なかなか先の読めない展開を見せます。故障したスクリューの修理に海に潜るとそこに髪の毛がびっしりという趣向は、どこかで聞いたような話なんですが、そこで何者かが突然スクリューを回すという趣向を追加して、新たな興味をつなぎます。このように、どこかで観た趣向にさらにもう一ネタ絡ませるというのが、有効に作用してまして、高山直也と鶴田の脚本には工夫のあとが見られます。この他にも「死霊のはらわた」「たたり」また、海の怪談などからの引用がありますが、それらはパクリにならないよう、きちんと消化されているのがうまいと思いました。

そして、前妻の霊が水死体としてその姿を見せてからは、クルーザーから海へとジャックと百合は逃げ回ることになります。この幽霊が、緑色のライトに照らされて、髪振り乱したおぞましい姿で、モロに怪談の世界になっています。また、幽霊だからどこでも変幻自在に行けるかとおもいきや、ドアを怪力でやぶろうとしたり、床下をおぞましい姿で這って追いかけてくる、海へ逃げた二人を海面を歩くように追ってくるなど、ドラマのお約束をきちんと踏んでいるのが面白いと思いました。

ラストは劇場で確認していただきたいのですが、ちゃんと伏線が生きる結末になっており、変なビックリショックもない、ストレートなエンディングとなります。鶴田監督は、「リング0」でも、一切ショックシーンを用いずに貞子の悲劇を描いた実績のある人だけに、冒頭を除いて、ショックシーンや音で驚かすといった演出をしていない点に好感が持てました。木村佳乃が英語を意外と達者にこなしていて、水中に潜ったまま直美の過去を目撃するシーンなど魅力的に熱演しています。また、石橋凌が得体の知れない男を前半オーバーアクトに演じていたのが、後半おかしくなってからの展開に生きていました。

いわゆる海の怪談ということになるのですが、演出がまっとうに怪談を作ろうとしているので、要所要所がきちんと怖いというのも点数高いです。音だけ聞かせて、その実体をなかなか見せないという演出もこういう映画では怖さを増幅させるのに貢献しています。シンプルな物語を過不足なく1時間半にまとめた怪談映画として、怖くて面白く、よくできていると思いました。

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR