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「リング0 バースデイ」のサントラは聞き応えあるドラマチックな音


「ビヨンド」「地獄の門」とホラーサントラの記事をアップして、もう一本、ホラー映画のサントラで記憶しておきたいのを思い出しました。日本のホラー、いわゆるJホラーで大ヒットになったのが「リング」「リング2」ですが、この3作目、物語的には、1作目の前日談にあたる「リング0 バースデイ」です。鶴田法男が監督したこの映画は、前2作とは趣を変えて、ショックシーンを控えめにしてその分ヒロイン(仲間由紀絵)の悲しみを際立たせることで、怖いけど悲しみに満ちたドラマに仕上がっています。

音楽を担当したのは、尾形真一郎という人で、「案山子」や「ほんとうにあった怖い話」シリーズで鶴田監督とは組んできた実績があります。(今も「ほん怖」シリーズのドラマ部分の音楽を担当してます)前2作では、川井憲次が恐怖をさらにパワーアップするシンセサイザーによる無調音楽をつけていたのですが、この作品では、非常にドラマチックな音楽をつけています。

映画の冒頭は、女子高生の噂話から、山村貞子の過去を調べる女性の行動を描くという、本筋に入るまでの前置きが長いのですが、ヒロインが登場してくると、やっと彼女のテーマともいうべき曲が登場します。アルバムでは2曲目の「プロローグ」という孤独で幸薄そうな貞子を描写する静かな曲です。薄いシンセの音に、ピアノのソロとフルートによるシンプルなフレーズが乗り、フレーズの反復が盛り上がっていきます。このフレーズはその後も何度も登場します。3曲目の「孤独」では、テーマフレーズから、さらにメロディが展開していきますが、そこにあるのは孤独で悲しみに沈むヒロインの姿を静かに描写する音楽です。

「うごめく妖気」「悲しみの井戸」「2人の貞子」といった曲では、不協和音による恐怖を前面に出してきますが、そういう曲はあまり多くありません。一方で、ヒロインを翻弄する人々を描写する「パニック~公開実験」「逃亡」「エピローグ」では、運命のテーマともいうべきメロディがドラマチックに鳴ります。オケ部分を全てシンセサイザーでカバーしてるようで、その分、音の厚みは今一つなのですが、そのフレーズとアレンジによって、ドラマをストレートにサポートしています。後半の曲では、運命のテーマの中に、ヒロインのテーマフレーズが入って、運命の中で翻弄されるヒロインの姿が浮かび上がる音作りになっています。

作曲者の尾形真一郎という人は、手がけた映画も多くないのですが、このサントラ盤を聞く限りは、オーソドックスなドラマの音楽を書ける人で、この映画でも、ヒロインのテーマが大変印象的でして、悲劇のヒロインを音楽が見事に描写しているように思います。ホラー部分も恐怖を煽る音をつけていないで、むしろ、彼女を追い詰める人間側の描写に運命のテーマともいうべき音をつけているあたりで、このドラマの構造が明確に見えてきます。音楽が映画のテーマをきちんと消化していて、さらにドラマの輪郭をくっきりと際立たせている点は、高く評価できると思います。はったりやこけおどかしを排除してまして、音楽としては地味目の音になっちゃうのでしょうけど、サントラ盤も聞き応えのある1枚になっています。

以前、別のHPで「リング0 バースデイ」の紹介記事を書いたので、リンクさせてもらいます。
「リング0 バースデイ」紹介記事
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