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「テイカーズ」はクールに決めた犯罪ドラマの佳作、いやプラスアルファありかな


今回は横浜ブルク13シアター13で、新作の「テイカーズ」を観てきました。デジタル上映ばかりのこの劇場にしては珍しいフィルム上映でした。

ゴードン(イドリス・エルバ)率いる5人のチームは大胆な手口で銀行強盗をやってのけました。捜査を担当するウェルズ刑事(マット・ディロン)は何とかして犯人をつかまえようと躍起になりますが、彼らの尻尾を押さえることができません。奪った金を山分けしてた5人のところに、かつての仕事で警備員に撃たれて逮捕されたゴースト(チップ・T・I・ハリス)が出所してきます。ゴーストはロシア人から現金輸送車のルートを手に入れ、これをもとに輸送車からの現金強奪をやろうと持ちかけてきます。実行日まで5日しかないのと、ゴーストを信用していいものかとためらう5人ですが、最終的にやろうという話になります。作戦は映画の「ミニミニ大作戦」と同じく、爆薬を使って、現金輸送車を落とし穴に落とそうというもの。一方、ウェルズは、別の事件から、チームが作戦会議をした後を発見し、その中の写真にゴーストの刑務所での認識票を発見、ゴーストをマークすることになり、マークと接触したゴードンを特定するのですが、それだけでは、ゴードンを引っ張ることはできません。そんなことをしているうちに輸送車強奪の日はやってきました。果たして、この事件の決着はいかに。

ジョン・ラッセンホップが脚本と監督を兼任した、犯罪ドラマの一編です。特定の主人公はいない群像ドラマのスタイルをとっていて、5人の強盗チームと、それを追う刑事、そして出所したばかりの元チームの男といった面々が絡み合う群像ドラマとなっています。特定の主役がいないのですが、その中で、刑事のウェルズと強盗団のリーダー格のゴードンが、プライベートな部分まで描かれていて、比重のかかった描き方になっています。ラッセンホップの演出は派手な追跡シーンといった見せ場も入れながら、ハードボイルド系の犯罪ドラマに仕上げていまして、娯楽映画として上々の出来栄えと言えましょう。いわゆる泣きの展開にならずに最後までクールな線から外していないのが、面白さにつながったのだと思います。

この強盗団は、やることはクールで鮮やか。映画の冒頭で見せる銀行強盗の手際の良いこと。貫禄あるゴードンに、血の気の多そうなジェイク(マイケル・イーリー)とジェス(クリス・ブラウン)の兄弟、二枚目のA・J(ヘイデン・クリステンセン)、そしてゴードンをクールにサポートするジョン(ポール・ウォーカー)というチームは慎重に仕事を選ぶ、いわゆる強盗のプロです。そんな彼らに出所してきたゴーストが持ち込んできた仕事は、準備期間が短いものでした。一仕事終えたばかりにすぐ次の仕事に手をつけるのは、彼らの本意ではないのですが、それでも、服役してきたゴーストに負い目があるのか、その仕事に着手することになります。信号機の操作や、爆破装置を仕掛ける準備が必要な大仕事です。

ウェルズは相棒のジェイ(エディ・ハッチャー)と共に、銀行強盗を捜査します。そして、別件の捜査から、次の仕事が計画されているらしいこと、それにゴーストの存在が浮かび上がってきます。しかし、それだけでは逮捕する理由にはなりません。休みの日、娘を連れて遊びに行こうという時に、ゴーストが保護司に会うという連絡があり、娘を乗せた車で彼を尾行し、ゴーストがゴードンたちと接触するのを目撃します。そのまま仕事モードに入ってしまって、娘と遊びに行くのがオジャンになってしまいます。一方のゴードンは、ヤク中の姉ナオミ(マリアンヌ・ジャン・パブティスト)がリハビリ施設から予定より早く退院してくるは、勝手に金を持ち出して、ヤクを買って警察に保護されたりと、仕事の準備以外にも心配事を抱え込んでいます。ウェルズとゴードンに丁寧なキャラ作りがされていることは、ドラマに厚みを与えていまして、犯罪ドラマに奥行きを与えています。特にマット・ディロンの、時に過剰な暴力を容疑者にふるってしまう不器用なオヤジぶりが印象的でして、子供連れでカーチェイスをやっちゃうあたりが痛いキャラになっています。

ウェルズはゴードンまでたどり着いているのですが、彼と強盗を結びつけるものがありませんでした。そして、強盗の当日の監視ビデオから、ゴードンが事件と関係していることを確信した時には、現金輸送車襲撃の当日でした。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



強盗団は信号を止めて、そこに警官の扮装をしたゴーストが交通整理に立ち、輸送車を待ちます。ゴーストの情報が偽ならば、彼を殺すためにジョンが狙撃銃を構えてします。もう限界かと思ったとき、現金輸送車が交差点にやってきます。ゴーストは輸送車を爆弾をしかけたエリアへ誘導します。しかし、爆破のタイミングで自転車が道路を横切ったために輸送車は減速し、爆破してできる落とし穴の手前で輸送車は止まってしまいます。爆弾が爆発したので周囲は大混乱、落とし穴の中に構えていたゴードンたちと、輸送車の警備員の間で銃撃戦となります。ジョンが後続の輸送車を乗っ取って、金を積んだ輸送車を押して、無理やり落とし穴に落として、金を奪うことに成功します。現場についたウェルズは、強盗団が地下を逃げたことを知り、最寄の地下鉄駅に向かうと、そこにはゴーストと接触していたジェスを発見、追跡しますが逃げられます。

奪った金を持って、ホテルへ集まった面々。金は空港へと運ばせるのですが、そこにロシア人の強盗団が襲ってきます。ゴーストが彼らをロシア人に売ったのでした。激しい銃撃戦で、A・Jが死亡。生き延びた面々は各々空港へ向かおうとするのですが、面が割れてしまったジェイクとジェスは家で警官隊に包囲され、正面突破しようとして、蜂の巣にされてしまいます。一方、ゴードンは、ゴーストが奪った金を狙っていると読んで、空港へ向かいます。ウェルズはゴードンの家に向かい、彼の車が去るのを見つけて追跡します。ゴーストは空港で金を運んできた運び屋を射殺し、金を運び出そうとするのですが、そこへゴードンが現れます。さらに、ウェルズも現れ、3人の間で銃撃戦となり、ウェルズとゴードンが撃たれて、ゴーストがとどめを刺そうとしたとき、ジョンの銃弾がゴーストをしとめます。そして、ジョンは負傷したウェルズは殺さず、ゴーストと車で去っていくのでした。

2時間弱の映画の割には結構盛りだくさんな内容でして、サブプロットとして、ウェルズの相棒が賄賂を取っていたというエピソードや、ゴーストの元カノが今はジェスの彼女になっているなどがあり、「アバター」のゾーイ・サルダナが彼女役でちょっとだけ登場したりしています。大仕掛けな現金輸送車襲撃はなかなかの見せ場になっていますし、その後のロシア人との銃撃戦も迫力がありました。そして、ラストも、腹に弾をくらっているゴードンとその姉ナオミを乗せて車を走らせるジョン、ナオミに「もう大丈夫だ」というゴードン、というのがなかなかにクールでかっこいいのですよ。特に、儲け役とは言え、ジョンを演じたポール・ウォーカーがこの映画で一番かっこよかったです。また、ゴードンのお荷物になるナオミを演じたマリアンヌ・ジャン・バティストが「秘密と嘘」の娘だったとプログラムで知ってびっくり。確かにドラマのアクセントとしての曲者ぶりが印象的でした。

地味ながら曲者役者を揃えて、各々のキャラが立つようにドラマを捌いた演出は見事だったと思います。強盗団の面々も悪役という描き方でないため、警察側にも、強盗側にも感情移入できるようになっていまして、そこへゴーストが大ワルだったというドラマ展開が、きちんとラストに娯楽映画としてのカタルシスをもたらしています。
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No title

もくれんさん、コメント&TBありがとうございました。脇の登場人物まできちんと描かれていることと、ポール・ウォーカーのかっこよさが印象的でした、ただの二流のアンチャンがぐっと渋くなっていいところをさらいました。

No title

これはなかなか拾いものでした。
派手な強盗の裏に地味なドラマがあって、ゴーストに嵌められるんだろうなと思うのがサスペンス的にも効いてましたね。
あのシーンで終わるラストに余韻もありました。
こちらもTBさせてくださいね。

No title

pu-koさん、複数人のキャラのドラマを丁寧にくみとっていて、アクションシーンも見応えがあり、さらにクールな味わいになっているのがよくできた娯楽映画だと思います。ポール・ウォーカーよかったですよね。以前はあまり印象に残らない若造だったのですが、この映画の存在感は見事でした。

No title

スタイリッシュなだけでなく、ドラマ性もあって丁寧な作品でしたね。
私も楽しめました。
そう、ポール・ウォーカーって若い頃はあまり意識したことのない役者さんだったけど、渋くなってはカッコ良くなりましたね。
強盗団にいてもひときわ品があって好きでした。
これからちょっとチェックだわ♪ TBさせてくださいね。

No title

けいときさん、コメント&TBありがとうございます。ありがちなドンパチアクションだと思って観に行ったのですが、思いがけず面白くてかっこいい映画でした。マット・ディロンの相棒のエピソードなんてホロリとくるところもありましたもの。

No title

これ、ほんと面白かったです~。
ありがちな犯罪アクションとは一線を画してたとおもう。
テイカーズの内部や、刑事の子供・家族など、描き方も丁寧でしたね。
TBお願いいたします☆
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einhorn2233

Author:einhorn2233
Yahooブログから引っ越してきました。静岡出身の横浜市民で映画とサントラのファンです。よろしくお願いいたします。

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